愚者の恋

橋本かおす

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友達として

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 結局S子とは大した進展はなくlineのやりとりもフェードアウトしてしまった。Y美とは学校で会って話すのだがS子の話もしなくなっていた。


 しかし、友達として春とのlineのやりとりは続いていた。別れてから数日は連絡は来なかったのだが、数日経つと毎日のようにやりとりをしていた。自分で振ったものの無視するのは気が引けたので私は毎日返し続けていた。


 そして、学校は春休みに突入した。私たちの学校は私立だったので春休みでもかなりたくさんの課題があった。課題が春休み開けに提出できないとどうやら居残りをさせられて終わるまでやらされるという話を聞いた。私は計画的にできる方ではないので、少し不安を募らせていた。


 そんな時、春から春休みの間図書館で一緒に勉強しないか、という提案があった。私はその提案を受け入れ、春休みの間、朝9時頃から夕方4時頃まで春と一緒に勉強することになった。


 図書館の近くにある公園などを散歩して適度に息抜きをしながら二人で勉学に励んでいる時間はとても有意義であった。相変わらず彼女は私に好意を抱いてくれている。私の感情も少しずつ変わりつつあった。


 春休みには図書館にこもりっきりだったおかげで課題は何とか終わらすことができた。学校が始まった後も土日に春と図書館に行く習慣は失われなかった。


 その日も図書館へ勉強に行っていた。朝9時頃から昼12時くらいの3時間くらい勉強していたのでそろそろお昼休憩にしようということになった。いつもならコンビニで買うかスガキヤで済ませるのだがその日は違っていた。


『私今日お弁当作ってきたよ』


 なんと春はその日お弁当を作ってきてくれたのである。手作り弁当。それは筆舌に尽くしがたい愛と努力の結晶である。母さん以外の女性から生まれて初めて手作り弁当を作ってもらった私は完全に舞い上がっていた。


 パカっと蓋を開けると中には卵焼きとソーセージとほうれん草のおひたし、そして鳥そぼろがかかったご飯が入っていた。なんとも家庭的でおいしそうである。


『男の人に作ったの初めてだしあんまり期待しないでよ(笑)』


 彼女は照れ臭そうに顔を赤らめて言った。まずいはずがない。まずは鳥そぼろにがっつく。鶏肉に凝縮された旨味が口いっぱいに広がっていった。次は卵焼き。ほんのりと甘いしっかりとした味のある卵焼きだった。ソーセージとほうれん草を食べ終えた私は満足感でいっぱいだった。


ものすごくおいしいと笑顔で春に言うと彼女もいっぱいの笑顔を返してくれた。


『よかったらまた作ってくるね』


 ぜひ食べたいというと彼女はまた微笑むのだった。


 家に帰ってから私は今日のことを振り返っていた。自分のために作ってもらったお弁当がこんなにおいしいものだとは知らなかった。何より彼女の笑顔がとても可愛かった。


 私はその日のことに感動して涙を流した。
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