モノグサ彼氏とラブラブ大作戦っ!

藤宮りつか

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モノグサ彼氏とラブラブ大作戦っ!

Chapter 36

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「ゃあっ……天っ……馬ぁ……っ」
「どうした、智加。これは嫌か?」
「んっ……ううんっ……嫌じゃないっ……気持ちいいよぉ……」
「そうか。俺も凄く気持ちいい」
「ぁっ、ん……んんっ……ぁあっ…ん……」
 本来ならばあるはずのチャックアウトの時間というものが、俺達には適応されていなかったらしい。
 遅めの朝御飯を食べ終わった後、部屋に戻ってわりと好きなだけのんびりした俺達がホテルを後にしたのは、午後二時を回ろうかって頃だったと思う。
 朝が遅かったから、その時はまだお腹が空いていなくてお昼を食べなかったけれど、家に帰って来た時には小腹が空いてきたから、天馬が作ってくれたスパゲッティーを天馬と一緒に仲良く食べた。
 その後はバイトもないしで天馬とそこはかとなくイチャイチャしながらのんびり過ごしていたんだけれど、日が落ちて来るにつれ、なんだかどんどんイチャイチャ度が増していって……。
「ぁんんっ……やっ、ぁんっ……待って……奥っ……奥いっぱい……ダメぇっ……」
「ダメじゃないだろ? 智加、物凄く可愛い顔して感じてる。その可愛い顔、もっといっぱい見せて」
「んぁっ……あぁっ……んっ……」
 まるでそうなるのが当たり前といったような流れで、またまた天馬とエッチしている俺なのであった。
 昨日あんなにいっぱい気持ち良くしてもらって、身も心も沢山満たされたはずなのに……。
 一夜明けたらもう天馬が欲しくなってしまう自分の欲深さと性欲の強さにはびっくりした。
 天馬の方からも俺を求めてきてくれたことは物凄く嬉しかったけれど。
 でも、いくら昨日初体験を迎えた俺の身体がなんともないからって、連日エッチなんかして大丈夫なのかな?
 おそらく大丈夫なんだろう。相変わらず天馬は激しくする時は激しくしつつも、俺の身体を優しく丁寧に扱ってくれるし、俺の身体も今のところは気持ち良くなっているだけだから。
 ただ、連日いっぱい天馬に気持ち良くしてもらっていたら、俺の身体がエッチ大好きになってしまいそうではあるよね。相手が天馬なら、それでも構わないって思うけど。
「昨日あんなにシたのにな。智加と一緒にいると、すぐに智加が欲しくなるみたいだ」
「んっ……いいよっ……俺のこと……もっといっぱい欲しがってくれてもっ……」
「大好きだよ、智加。愛してる」
「俺もっ……天馬のことが大好きで……愛してるっ……」
 昨日、念願の初夜を迎えたばかりの俺達は、どうやらイチャイチャが止まらないらしかった。



「うー……」
「ちょっと、智加。シャンとしなよ。そんな調子で今日一日大丈夫なの?」
「だってぇ……」
 翌朝。全身に残る疲労感漂う身体に鞭打って目を覚ました俺は、重たい身体を引き摺るようにして玄関を出たところで一臣と光稀に会い、そのままのろのろと大学への道を歩く途中、呆れた顔と声の光稀にそう言われてしまった。
「全く……。天馬も天馬だよ。智加はあんまり体力がないんだから。無理させちゃダメでしょ?」
「悪い」
「エッチするのは自由だけど、日常生活に支障がない程度にしておきなよ。一年目は時間割も結構詰まってるんだから」
「肝に銘じておくよ」
 よろよろとした足取りで歩く俺に寄り添う天馬も、光稀から厳しい顔で小言を言われている。
 天馬との夢のイチャイチャ生活を手に入れられたのはいいけれど、恋人同士でイチャイチャするのも結構体力を使うものなんだな。俺も少しは体力をつけた方がいいのかも。天馬と心置きなくイチャイチャするためにも。
「大丈夫か? 智加。歩くのが辛いなら抱っこしてやろうか?」
「え⁈」
 光稀の小言が終わるなり、全身で疲労感を表現しているような俺を、天馬が心配そうな顔で覗き込んできながらそう言った。
「いっ……いいよっ! 俺、ちゃんと一人で歩けるから大丈夫っ!」
 その気遣いと優しさは物凄く嬉しいんだけれど、さすがに天馬に抱っこされて大学に登校するのは恥ずかしい。一体何事かと思われちゃうし、第一めちゃくちゃ目立っちゃうよ。
「そうか。でも、辛かったら遠慮なく言えよ。いつでも智加の足になってやるから」
「ありがとう、天馬。その気持ちだけで充分嬉しいよ」
 心なしか、天馬の顔はちょっと残念そうだった。
 ひょっとして天馬、俺を抱っこしたかったのかな?
 人目のあるところではあからさまにイチャイチャできないけれど、体調が優れない俺を抱っこしているという口実があれば、人前でも堂々と俺と触れ合えるわけだから。
(くぅっ! 天馬が俺のこと大好き過ぎるよっ!)
 パッと見、あまりデレているようには見えない天馬だけれど、俺と一線を越えた後の天馬は俺にデレデレだった。デレデレの甘々だった。
「どう思う? 一臣。この二人、そのうち人前でも平気でイチャイチャし始めそうな勢いなんだけど」
「まあまあ。恋人同士が仲睦まじいのはいいことだよ」
「一臣は呑気だね」
 当然、光稀には所構わずイチャつく(ように見える)俺達に、げんなりした顔をされてしまったわけだけど。
 いつもよりゆっくりとした足取りで大学に向かう俺達一行が、大学の門を潜って少しした時だった。
「おっはよ~、高城。メール見た?」
 まるで俺達が登校してくるところを待ち構えていたかのようなタイミングで、後藤さんが俺達に向かって大きく手を振りながら声を掛けてきた。
「うわ……」
 しかも、俺達に声を掛けてきた後藤さんの後ろには、白石さん、水嶋さん、安西さんの三人の姿もあった。
 水嶋さんと白石さんは日曜日に天馬から振られたばかりのはずなのに。もう天馬との接触を望んでいるの?
 どんな強靭な精神力の持ち主だよ。俺としては、少なくともこの一週間は大学内で女の子達から絡んで来られる心配はないと踏んでいたのに。
 その俺の読みは甘かったらしい。二人とも立ち直り早過ぎ。
「う……うん。まあ、見たは見たけど……」
「で、いつにする?」
「は⁈ え……ちょっと待とうよ……」
 でもって、後藤さんも俺達と遊びに行く約束を取り付けることに躊躇いがなさ過ぎるし、早急過ぎる。
 遊園地を出た後、一体この四人の間でどういう話になったんだろう。
「いつにする? って言われても……。俺達もそんなに暇じゃないっていうか……」
「日程は少し先でも構わないから。とりあえず、約束だけでも先にしておいてくれたら、あの三人も喜ぶから」
「って、言われてもねぇ……」
 天馬込みで遊びに行く約束を取り付けると、喜ぶ人間が二人から三人に増えている。
 もっとも、安西さんの狙いは天馬じゃなくて俺……ってことにはなるんだろうけれど。
 強引に話を進めてくる後藤さんに、さすがの一臣もたじたじになっていると
「ちょっと待ってよ。水嶋さんと白石さんは天馬に振られたばっかりだよね? それなのに、こんなに早く“また遊びに行きたい”とか言ってるの?」
「そう」
「どういうことなの?」
 口を挟まずにはいられなくなった光稀が、後藤さんからは少し離れた場所で、我関せずを装って談笑している三人には聞こえないくらいの小声で後藤さんを問い詰めた。
「だって、あの二人が“天馬(君)の好きな人が誰なのかを突き止めて、天馬(君)の相手として相応しいかどうかを見極めるまでは諦められない”って言うんだもん。で、また私にグループデートの約束を取り付けて欲しいって」
「そんな馬鹿な……」
 昨日、一臣のスマホに後藤さんからのメッセージが届いた時点で、水嶋さんや白石さんを俺達の日常から排除することは簡単じゃないとは思ったけれど……。
 まさか、ここまで早急で積極的に交流を求めてくるとは思わなかった。これには光稀も唖然として絶句してしまっている。
「なんかさ、最初に私が高城達と遊びに行く約束を取り付けちゃったから、すっかり頼られちゃってさ。元クラス委員だった私としては、人に頼られちゃうと弱かったりもするんだよね。高城達と私達の中で、お互いに連絡先を知っているのも私と高城だけだし」
「だからって……」
 後藤さんに悪気がないことはわかるし、今回は自分で計画したわけじゃなく、周りの人間に頼まれたことだから、若干俺達に気を遣っている風にも見えなくはない。
 でも、やっと面倒臭いイベントが終わったと思っていた俺達からしてみれば、またそんな話題が上がってくることにげんなりとしてしまうし、後藤さん以上に気が乗らない。
 大体、“天馬(君)の好きな人が誰なのかを突き止めて、天馬(君)の相手として相応しいかどうかを見極めるまでは諦められない”ってどういうこと?
水嶋さんと白石さんに天馬を諦めてもらうためには、二人に俺と天馬の関係を明かして、俺が天馬の恋人に相応しいと認めてもらわなくちゃいけないの?
 一体なんの権利があって、あの二人はそんなことを言っているんだろう。あの二人は天馬のなんなんだ。
 水嶋さんと白石さんの二人に俺と天馬の関係を打ち明けることももちろん嫌だけど、仮に打ち明けたとしても、あの二人が俺を天馬の恋人として認めてくれるわけがないじゃんか。一体どうやってあの二人に天馬を諦めてもらえばいいんだよ。
 ちなみに、一臣と後藤さんが連絡先を交換したのは、今回の計画を練るために必要なことで、俺、天馬、光稀の三人が女の子と連絡先を交換することを面倒臭がったから、一臣が代表して後藤さんと連絡先を交換したのである。
 計画が実行された後、お互いに連絡先を消去していれば、こんなに早く「また一緒に遊びに行こう」とはならなかったのかな?
 いや。連絡先がわからなくても、大学で一緒になれば同じことか。
「天馬……」
 せっかく天馬が頑張ってくれたのに、思いの外に現状が変わっていないことに困惑してしまう俺が、心配になって天馬の顔を見上げてみると――。
「はぁ……ほんと、女って面倒臭いな……」
 心の底から憂鬱そうな顔をした天馬が、ぽつりとそう呟いた。
 かつてないほどの天馬とのラブラブ生活を手に入れた俺だけど、誰の邪魔も入ることなく、天馬とイチャイチャする日々を手に入れるのは、もう少し先の話になりそうである。


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