詩《うた》をきかせて

生永祥

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★第29話 カミングアウト

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絶対的な支配力
学校というフィールドで
プログラミングされた
『良い子』を演じている

方程式は詰め込めど
人間性は鍛えない
高血圧の先生に
赤点を付けてみる

制服は鉄の拘束具
ビン底眼鏡で片頭痛が発生
きつく縛った髪紐解いたら

さぁ
教科書にない定義を
答えにして

2Bの鉛筆で
壁に刻んだ『自由』の二文字が
アルミサッシの窓から
溢れるあかい夕日で
輝く放課後



相対的な嫌悪感
箱庭に似た教室で
画一化したヒューマンタイプ
それを『人間』だと言える?

マニュアル通りの
大人にはなれなくて
落ちこぼれという
レッテルを貼られても
つぎはぎだらけの完璧は築けない

だから
黒板に書かれぬ理論導いて

白く大きなキャンバスに
何にも描かず
『無限』と名付けた
何ものにも染まらない
自分の凛とした姿
空に影送り



2Bの鉛筆で
壁に刻んだ『自由』の二文字が
アルミサッシの窓から
溢れる朱い夕日で
輝く放課後

白く大きなキャンバスに
何にも描かず
『無限』と名付けた
何ものにも染まらない
自分の凛とした姿
空に影送り



此処から
さぁ
私のカミングアウト



『――カミングアウト・倉松紅』
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