詩《うた》をきかせて

生永祥

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☆第31話 三つ巴

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 職員室の中に居る周囲の人々の興味と関心が、段々とこちらに集中していくのを感じる。
 これ以上時間をかけるのはどうかと思ったのだろう。
 若菜は再びテストの答案用紙に赤点をつけながら、大賀と明博の方を見て、話を続けた。

「……君たちには関係のない話だ」

 そう言って、誤りのあったテストの解答欄に大きくバツをつける。

 どんどん怒りで顔を真っ赤にしていく大賀と、益々笑顔を崩さない明博は、テコでも動かない、といった様子で若菜の前に居座り続けた。

 三人の間に重苦しい沈黙が流れる。

 すると沈黙に耐えきれずに、苛立った大賀が口火を切った。そして大賀は若菜のほうをきつく睨みつけてこう言った。

「お前。昨日の事は、どうしても話さないつもりなんだな!?」
「……立花は昨日病院に入院した。私が君たちに説明することが出来るのはここまでだ」
「それで俺たちが納得出来ると思うのかよ!?」
「……立花のプライバシーに関わる発言は、私には出来ないからな」

 そう言って淡々と、答案用紙の採点をしている若菜に向かって、明博が声をかけた。

「立花さんのプライバシーですか、なるほど。そう言われると僕達も引き返すしかありませんね。……ですが若菜先生、プライバシーに関わるというのは、若菜先生の方ではありませんか?」
「……」
「大分、お時間をお取りしましたね。大変申し訳ございませんでした。それではこれにて失礼致します」

 そう言って、大賀をずるずると引きずりながら、明博は職員室を後にした。
 突然の明博の行動にびっくりした大賀は、思わず明博に向かって大声で叫んだ。

「明博!お前、何で職員室から出て行くんだよ!?お前はあの若菜の説明で納得出来たのかよ!?」
「納得なんて、出来る訳無いでしょう?でもあのまま職員室に居ても、若菜先生は絶対に口を割らないよ」

「じゃあ、どうするんだよ!?」と言いながら、大賀が足をジタバタとさせる。

 すると明博が大賀の目を見てこう言った。

「大賀、放課後、ちょっと僕に付き合ってくれないかな?」

 そう言った明博の目が怒りで燃えている事に気が付いた大賀は、ぴたっと自身の動きを止める。

 先程の若菜の態度に対して、静かに怒る明博の様子に気がついた大賀は、その恐ろしさにごくりと息を飲んだ。
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