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☆第42話 名前と呼び名
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「ところで嬢ちゃん、名前は何っていうんだ?俺は冬四郎っていうんだが」
冬四郎と名乗った男性の一言で、小夜子はまだ男性に、自分の名前を名乗っていなかったことに気が付いた。
そして小夜子は慌てて冬四郎の方を向いて、自身の名を名乗った。
「た、立花。立花小夜子です」
「へぇ。良い名前だな」
そう言って冬四郎が、その場で腕を組んで何やら考え込む。
冬四郎の真剣な表情に、しばらくの間、小夜子が黙って様子を見ていた。
すると長い時間考え込んでいた、冬四郎がおもむろに口を開いた。
「……確かに、良い名前なんだが、俺が嬢ちゃんのことを名前で呼ぶのは、ちょっと怪しいよな。だから呼び名は嬢ちゃんのままでも大丈夫か?」
「は、はい」
「じゃあ、そういうことで」
「よろしくな」と言って握手を求める冬四郎に対して、自身の右手を差し出そうとした小夜子は、途中ではたっと気が付いた。
「あ、あの私は、何と呼んだら良いですか?」
「冬四郎さん?」と首を傾げる小夜子に、「何かガラじゃねぇなぁ」と呟き、苦笑しながら冬四郎が考え込む。
「病院の奴等は、俺のことを『とーちゃん』というけれどな」
「……とーちゃんさん?」
「嬢ちゃん!嬢ちゃんはやっぱり面白い奴だな!」
がははと大きな声で冬四郎が笑うと、その楽しそうな声につられて小夜子もあははと笑った。
ロビー中に二人の楽しそうな声が反響する。
それは小夜子が久しぶりに見せた最高の笑顔だった。
「これからよろしくな!嬢ちゃん」
再度冬四郎から差し出された右手を、小夜子は笑いながら、しっかりと自身の右手で握りしめる。そして二人はがっちりと固い握手を交わした。
冬四郎と名乗った男性の一言で、小夜子はまだ男性に、自分の名前を名乗っていなかったことに気が付いた。
そして小夜子は慌てて冬四郎の方を向いて、自身の名を名乗った。
「た、立花。立花小夜子です」
「へぇ。良い名前だな」
そう言って冬四郎が、その場で腕を組んで何やら考え込む。
冬四郎の真剣な表情に、しばらくの間、小夜子が黙って様子を見ていた。
すると長い時間考え込んでいた、冬四郎がおもむろに口を開いた。
「……確かに、良い名前なんだが、俺が嬢ちゃんのことを名前で呼ぶのは、ちょっと怪しいよな。だから呼び名は嬢ちゃんのままでも大丈夫か?」
「は、はい」
「じゃあ、そういうことで」
「よろしくな」と言って握手を求める冬四郎に対して、自身の右手を差し出そうとした小夜子は、途中ではたっと気が付いた。
「あ、あの私は、何と呼んだら良いですか?」
「冬四郎さん?」と首を傾げる小夜子に、「何かガラじゃねぇなぁ」と呟き、苦笑しながら冬四郎が考え込む。
「病院の奴等は、俺のことを『とーちゃん』というけれどな」
「……とーちゃんさん?」
「嬢ちゃん!嬢ちゃんはやっぱり面白い奴だな!」
がははと大きな声で冬四郎が笑うと、その楽しそうな声につられて小夜子もあははと笑った。
ロビー中に二人の楽しそうな声が反響する。
それは小夜子が久しぶりに見せた最高の笑顔だった。
「これからよろしくな!嬢ちゃん」
再度冬四郎から差し出された右手を、小夜子は笑いながら、しっかりと自身の右手で握りしめる。そして二人はがっちりと固い握手を交わした。
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