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第一章 王子様はみんなに愛されている
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「なあハインツ、僕の子どもを産んでくれないか……?」
事後、ソファーの上で裸で抱き合いながらアンドレイが切り出す。手をラブ握りにし、目を覗き込む。
「クラリス様に言いつけますよ」
ハインツは握り合わせられた手を振りほどき、そっぽを向く。ちなみにクラリスとはアンドレイの婚約者の名だ。
「親同士が決めた婚約者さ。君とナオミ嬢と同じでね」
「私の婚約者を馬鹿にせんで頂きたい」
そう言った美貌の近衛長は、ソファーから起き上がる。親同士が決めた許婚でも、将来を誓った相手なのだとばかりに。
(真面目だな。そして優しい。相手はまだ11歳のお嬢さんなのに)
アンドレイはまた、幼なじみで近衛長でもある男を好きになっていた。いつだって誠実で慈愛に満ちた人物だった。許婚であるナオミは、言葉は悪いが両親に売られたも同然だった。ハインツの出世によって隆盛著しいシュタイナー子爵家と縁戚を持つため。引いては、ハインツの主で友人である王子、要するに自分に取り入るために。
それにまるでわだかまりを持っていない。姑息な政略結婚でも婚約者に変わりはない。自分は彼女を愛し大切にすべき立場。ならそうする。それが彼だ。
「別に彼女と別れろとか、彼女を愛してはいけないとか言うつもりは毛頭ない。ただ、君に僕の子を成して欲しいだけだ」
ここで引き下がる気はない。
近衛長の鍛えられた美しい身体を背後から抱きしめる。彼の体温が伝わってくる。
「仕事をしてください。アンドレイ殿下」
ハインツが、肩越しに真面目な視線を送ってくる。殿下をつけたのは、『ティータイム』は終わりという意思表示だ。これ以上しつこくするのは得策ではなさそうだ。
(今日は僕の負けか……。まあいい。焦る必要はない)
そんなことを思いながら美しい近衛長から離れる。
服を着て執務に戻りながらも、アンドレイは美しい幼なじみとの今後を考えていた。彼を本気で感じさせ、満足させられるのは自分だけだ。しばらく求めずに放置して差し上げるとするか。前回も1週間手を着けずにいたら、ハインツは寂しさと性欲を持て余した。愛を叫びながら自分に抱かれるまでに。
ことを急ぐ必要はない。じっくりとハインツに決断を促していけばいい。雄受胎魔法で自分の子を孕んでもらうことを。
傍らの机で書類をしたためる近衛長の横顔を見ながら、そんなことを考えた。
事後、ソファーの上で裸で抱き合いながらアンドレイが切り出す。手をラブ握りにし、目を覗き込む。
「クラリス様に言いつけますよ」
ハインツは握り合わせられた手を振りほどき、そっぽを向く。ちなみにクラリスとはアンドレイの婚約者の名だ。
「親同士が決めた婚約者さ。君とナオミ嬢と同じでね」
「私の婚約者を馬鹿にせんで頂きたい」
そう言った美貌の近衛長は、ソファーから起き上がる。親同士が決めた許婚でも、将来を誓った相手なのだとばかりに。
(真面目だな。そして優しい。相手はまだ11歳のお嬢さんなのに)
アンドレイはまた、幼なじみで近衛長でもある男を好きになっていた。いつだって誠実で慈愛に満ちた人物だった。許婚であるナオミは、言葉は悪いが両親に売られたも同然だった。ハインツの出世によって隆盛著しいシュタイナー子爵家と縁戚を持つため。引いては、ハインツの主で友人である王子、要するに自分に取り入るために。
それにまるでわだかまりを持っていない。姑息な政略結婚でも婚約者に変わりはない。自分は彼女を愛し大切にすべき立場。ならそうする。それが彼だ。
「別に彼女と別れろとか、彼女を愛してはいけないとか言うつもりは毛頭ない。ただ、君に僕の子を成して欲しいだけだ」
ここで引き下がる気はない。
近衛長の鍛えられた美しい身体を背後から抱きしめる。彼の体温が伝わってくる。
「仕事をしてください。アンドレイ殿下」
ハインツが、肩越しに真面目な視線を送ってくる。殿下をつけたのは、『ティータイム』は終わりという意思表示だ。これ以上しつこくするのは得策ではなさそうだ。
(今日は僕の負けか……。まあいい。焦る必要はない)
そんなことを思いながら美しい近衛長から離れる。
服を着て執務に戻りながらも、アンドレイは美しい幼なじみとの今後を考えていた。彼を本気で感じさせ、満足させられるのは自分だけだ。しばらく求めずに放置して差し上げるとするか。前回も1週間手を着けずにいたら、ハインツは寂しさと性欲を持て余した。愛を叫びながら自分に抱かれるまでに。
ことを急ぐ必要はない。じっくりとハインツに決断を促していけばいい。雄受胎魔法で自分の子を孕んでもらうことを。
傍らの机で書類をしたためる近衛長の横顔を見ながら、そんなことを考えた。
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