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02 眼鏡ギャルのこだわり
梨香子のご用事
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01
それは、突然のお誘いだった。
「椿姫ー。治明くんちょっと借りてもいいー?」
椿姫のギャル友、眼鏡ギャルの青山梨香子が声をかけてきたのだ。
「んー。いいけど、ちゃんと返してよー」
椿姫も、仲のいい友人である梨香子の頼みでは断れないらしい。
治明は、梨香子に誘われて町に繰り出したのだった。
梨香子が治明を伴って向かった先は、カラオケボックスだった。
「話は後にして、取りあえず歌おっか?」
「うん、そうしようか」
梨香子がそういうのなら断る理由もない。
それに、梨香子の歌はなかなかにうまかった。
声もきれいだし、歌い方が優しい感じだ。
聞いていて心地がいい。
「すげえ。歌うまいんだね」
「そうかな?ふふふ、ありがと」
梨香子は素直に嬉しそうになる。
こうして近くで見ると、梨香子はかわいかった。
眼鏡がよく似合っているし、全身にまとっているアクセサリーも、不思議と嫌みに見えない。
ほっそりしてスタイルがいいのは、制服の上からも分かる。
ギャルにもいろいろいるが、かわいいギャルと言って差し支えない。
(今まであんまり接点なかったけど、こんなかわいい娘のきれいな歌聞けるならまた一緒にカラオケ来たいなあ)
治明はそんなことを思った。
「で、本題なんだけどね…」
2人でしばらく歌った後、梨香子が改まって切り出す。
「治明くんはー、ネット小説とか読むかなー?」
「ネット小説…?あんまり読まないかな」
梨香子は「そっか」と自分のスマホを取り出して、なにかを呼び出す。
「これ、ちょっち読んでみて欲しいんだけどね-」
そう言ってスマホが差し出される。
心なしか、梨香子のほおが赤い気がする。
「ほう、面白いのかな?」
治明は、勧められたネット小説を読んでいく。
それはなかなかに面白かった。
内容は学園ラブコメディらしい。
文章もうまいし、読ませ上手だ。
登場人物も個性的で好印象を持てる。
が…。
「これは…まさか…」
話を読み進めているうちに、治明は凍り付いてしまう。
主人公は普通の学生だが、女の子が処女かどうかを判別する超能力を持っている。
ひょんなことから主人公の超能力のことを知った処女ビッチなヒロインが、処女バレをおそれてドタバタを繰り広げるラブコメだ。
「こ…これって…」
治明は顔を上げて梨香子を見る。
「細かいところはいろいろ違うけど…その主人公とヒロイン、治明くんと椿姫だよね…?」
梨香子の質問に、治明は答えに窮してしまう。
ごまかしようがない。
人物像、主人公とヒロインに起きていること。
治明と椿姫そのものだ。
「それと、その小説の作者のペンネーム、なんかぴんとこない?」
「ペンネーム…?」
その作品、「処女ビッチじゃないもん」の作者はトラヴィアータといった。
(はてどっかで…)
治明は自分のスマホを取り出して、“トラヴィアータ”を検索してみる。
「まさか…」
ヒットした結果は、オペラの“椿姫”だった。
“椿姫”の原題が堕落した女を意味する“ラ・トラヴィアータ”なのだ。
キラキラネームである椿姫という名の元ネタは、同じつづりのオペラであることは想像がついた。
そのオペラの原題をペンネームにしたというわけだ。
「気がついた?
その作者さん、確実に椿姫だよね…?」
「うーむ…そうだね…」
あいまいに返答しつつ、治明は頭を抱える。
(ペンネームと言い内容と言い、もう少しひねれよ椿姫ちゃん)
心の中で全力で突っ込みを入れていた。
例え創作物であっても、実在の人物をモデルとしていて、話の内容がその人物を想起させるものであれば、内容にもよるが裁判で差し止めが認められることもある。
新聞で創作物の差し止めの判決が出たという記事を読んだとき、治明は理不尽に思ったものだ。
プライバシーや名誉の問題はあるにしても、差し止めはやり過ぎではないかと思ったのだ。
だが、今は真逆の考えを持つに至っている。
(こんなことまで事細かに書くか…)
作中には、ヒロインが主人公にマッサージをしてもらっていて図らずも発情してしまい、我慢できずに自慰をしてしまうこと。
それに気づいた主人公が、これまた我慢できずにヒロインをオカズに抜いてしまうこと。
雨宿りのために避難したラブホテルで、勢いでことに及ぼうとするが、ヒロインが怖じ気づいてうまくいかなかったこと。
間違いなく椿姫の実体験に基づくことが、大幅な脚色も交えて赤裸々に書かれている。
おまけに、主人公は、知る人間であればすぐに治明とわかってしまう。
確かに、こんなものが他人に読まれたら恥ずかしい。
裁判による差し止めの余地は認められて然るべきだと思える。
(しかも、椿姫ちゃんのことをよく知ってる梨香子ちゃんに読まれるとは…)
ただただ、治明は頭を抱えるしかなかった。
それは、突然のお誘いだった。
「椿姫ー。治明くんちょっと借りてもいいー?」
椿姫のギャル友、眼鏡ギャルの青山梨香子が声をかけてきたのだ。
「んー。いいけど、ちゃんと返してよー」
椿姫も、仲のいい友人である梨香子の頼みでは断れないらしい。
治明は、梨香子に誘われて町に繰り出したのだった。
梨香子が治明を伴って向かった先は、カラオケボックスだった。
「話は後にして、取りあえず歌おっか?」
「うん、そうしようか」
梨香子がそういうのなら断る理由もない。
それに、梨香子の歌はなかなかにうまかった。
声もきれいだし、歌い方が優しい感じだ。
聞いていて心地がいい。
「すげえ。歌うまいんだね」
「そうかな?ふふふ、ありがと」
梨香子は素直に嬉しそうになる。
こうして近くで見ると、梨香子はかわいかった。
眼鏡がよく似合っているし、全身にまとっているアクセサリーも、不思議と嫌みに見えない。
ほっそりしてスタイルがいいのは、制服の上からも分かる。
ギャルにもいろいろいるが、かわいいギャルと言って差し支えない。
(今まであんまり接点なかったけど、こんなかわいい娘のきれいな歌聞けるならまた一緒にカラオケ来たいなあ)
治明はそんなことを思った。
「で、本題なんだけどね…」
2人でしばらく歌った後、梨香子が改まって切り出す。
「治明くんはー、ネット小説とか読むかなー?」
「ネット小説…?あんまり読まないかな」
梨香子は「そっか」と自分のスマホを取り出して、なにかを呼び出す。
「これ、ちょっち読んでみて欲しいんだけどね-」
そう言ってスマホが差し出される。
心なしか、梨香子のほおが赤い気がする。
「ほう、面白いのかな?」
治明は、勧められたネット小説を読んでいく。
それはなかなかに面白かった。
内容は学園ラブコメディらしい。
文章もうまいし、読ませ上手だ。
登場人物も個性的で好印象を持てる。
が…。
「これは…まさか…」
話を読み進めているうちに、治明は凍り付いてしまう。
主人公は普通の学生だが、女の子が処女かどうかを判別する超能力を持っている。
ひょんなことから主人公の超能力のことを知った処女ビッチなヒロインが、処女バレをおそれてドタバタを繰り広げるラブコメだ。
「こ…これって…」
治明は顔を上げて梨香子を見る。
「細かいところはいろいろ違うけど…その主人公とヒロイン、治明くんと椿姫だよね…?」
梨香子の質問に、治明は答えに窮してしまう。
ごまかしようがない。
人物像、主人公とヒロインに起きていること。
治明と椿姫そのものだ。
「それと、その小説の作者のペンネーム、なんかぴんとこない?」
「ペンネーム…?」
その作品、「処女ビッチじゃないもん」の作者はトラヴィアータといった。
(はてどっかで…)
治明は自分のスマホを取り出して、“トラヴィアータ”を検索してみる。
「まさか…」
ヒットした結果は、オペラの“椿姫”だった。
“椿姫”の原題が堕落した女を意味する“ラ・トラヴィアータ”なのだ。
キラキラネームである椿姫という名の元ネタは、同じつづりのオペラであることは想像がついた。
そのオペラの原題をペンネームにしたというわけだ。
「気がついた?
その作者さん、確実に椿姫だよね…?」
「うーむ…そうだね…」
あいまいに返答しつつ、治明は頭を抱える。
(ペンネームと言い内容と言い、もう少しひねれよ椿姫ちゃん)
心の中で全力で突っ込みを入れていた。
例え創作物であっても、実在の人物をモデルとしていて、話の内容がその人物を想起させるものであれば、内容にもよるが裁判で差し止めが認められることもある。
新聞で創作物の差し止めの判決が出たという記事を読んだとき、治明は理不尽に思ったものだ。
プライバシーや名誉の問題はあるにしても、差し止めはやり過ぎではないかと思ったのだ。
だが、今は真逆の考えを持つに至っている。
(こんなことまで事細かに書くか…)
作中には、ヒロインが主人公にマッサージをしてもらっていて図らずも発情してしまい、我慢できずに自慰をしてしまうこと。
それに気づいた主人公が、これまた我慢できずにヒロインをオカズに抜いてしまうこと。
雨宿りのために避難したラブホテルで、勢いでことに及ぼうとするが、ヒロインが怖じ気づいてうまくいかなかったこと。
間違いなく椿姫の実体験に基づくことが、大幅な脚色も交えて赤裸々に書かれている。
おまけに、主人公は、知る人間であればすぐに治明とわかってしまう。
確かに、こんなものが他人に読まれたら恥ずかしい。
裁判による差し止めの余地は認められて然るべきだと思える。
(しかも、椿姫ちゃんのことをよく知ってる梨香子ちゃんに読まれるとは…)
ただただ、治明は頭を抱えるしかなかった。
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