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彼女に報告
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「というわけなんじゃ」
「そうなのかい…」
翌日の夜。
予定を変更して取引先との会食を一次会で切り上げ、赤線を訪れた祥二は、恵子を指名していた。
昨日のことの顛末を報告するために。
「でも…それってあたしにわざわざ言いに来ることかい?」
「当然じゃないか。こそこそ他の女に会ってるって思いたくない。でも、佐藤のおじ貴の持ってきてくれた話じゃ。あんまりすげのうもできんでなあ。だから、頼みに来たんじゃ。取りあえずおじ貴の顔を立てて会うだけ。色目は使わんけえ、それだけ認めて欲しい、てな」
言い訳くさいのは承知で、祥二は自分の置かれた状況を説明する。
会社の社長で、しかも国会議員の後援会委員であるとなれば、いろいろとしがらみも不可避。
“好きな女がいるから、縁談はお断りします”
そう突っぱねて終わりとも行かないのだ。
佐藤栄作の紹介であり、先方もそれなりの立場のある人間のお嬢様となればとくに。
「まあ、その辺のことは…あたしにもわかるけど」
祥二の話に、恵子は少し真面目な顔になる。
赤線で商売をしていても頭はいい女だが、これだけ真面目に考えているのを見るのは珍しい。
祥二にお酌をして、言葉を選びながら話し始める。
「祥二さん、あたしがどうこう言う話じゃないけど、ひとつ約束して。相手の女の人に、そっけない態度はやめて。しがらみで会うだけ会っただけ、とあからさまに態度に出すべきじゃない」
恵子の声は、真剣そのものだった。
祥二は少し気圧されてしまう。
「ほうか。じゃけど、どうしてかのう?」
根っこの所で単純である祥二には、そうしなければならない理由がわからなかった。
いろいろしがらみのある縁談とはいえ、男と女のことだ。
世界で一番、理屈ではどうにもならないことなのだ。
そこまでの社交辞令が必要だろうか?
だが、恵子は大まじめな表情になる。
「というわけなんじゃ」
「そうなのかい…」
翌日の夜。
予定を変更して取引先との会食を一次会で切り上げ、赤線を訪れた祥二は、恵子を指名していた。
昨日のことの顛末を報告するために。
「でも…それってあたしにわざわざ言いに来ることかい?」
「当然じゃないか。こそこそ他の女に会ってるって思いたくない。でも、佐藤のおじ貴の持ってきてくれた話じゃ。あんまりすげのうもできんでなあ。だから、頼みに来たんじゃ。取りあえずおじ貴の顔を立てて会うだけ。色目は使わんけえ、それだけ認めて欲しい、てな」
言い訳くさいのは承知で、祥二は自分の置かれた状況を説明する。
会社の社長で、しかも国会議員の後援会委員であるとなれば、いろいろとしがらみも不可避。
“好きな女がいるから、縁談はお断りします”
そう突っぱねて終わりとも行かないのだ。
佐藤栄作の紹介であり、先方もそれなりの立場のある人間のお嬢様となればとくに。
「まあ、その辺のことは…あたしにもわかるけど」
祥二の話に、恵子は少し真面目な顔になる。
赤線で商売をしていても頭はいい女だが、これだけ真面目に考えているのを見るのは珍しい。
祥二にお酌をして、言葉を選びながら話し始める。
「祥二さん、あたしがどうこう言う話じゃないけど、ひとつ約束して。相手の女の人に、そっけない態度はやめて。しがらみで会うだけ会っただけ、とあからさまに態度に出すべきじゃない」
恵子の声は、真剣そのものだった。
祥二は少し気圧されてしまう。
「ほうか。じゃけど、どうしてかのう?」
根っこの所で単純である祥二には、そうしなければならない理由がわからなかった。
いろいろしがらみのある縁談とはいえ、男と女のことだ。
世界で一番、理屈ではどうにもならないことなのだ。
そこまでの社交辞令が必要だろうか?
だが、恵子は大まじめな表情になる。
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