自衛隊戦国繚乱 プリンセスオブジパングトルーパーズ 

ブラックウォーター

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05 北陸の軍神編

念願の資源と、女の子たちのじれじれ あとなんかエロい文化ギャップ

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17
 
 越後、南長岡。
 「では、南長岡油田の創業を祝して、乾杯!」
 「「「「乾杯!」」」」
 年が明けて、越後は南長岡に建設された油田に隣接する事務所の中。油田が滞りなく創業を開始した祝いの宴が盛大に行われていた。
 織田、徳川、今川、武田、北条、上杉の主立った者たちが集められ、織田信長の音戸のもと笑顔で乾杯していた。
 織田と自衛隊の目玉商品であるグラスには、日本酒やワインの他、自衛隊が現地調達した材料で作り上げたビールや焼酎などが注がれている。
 酒をたしなまない者たちは、冷たい茶や、これまた自衛隊が作ったサイダーやジュースを飲んでいる。
 
 「まさか、あなたと一緒に宴に参加する日が来るとは思いもよりませんでしたわ」
 「それはお互い様だ。だが、お互い織田に破れて下った身だ。過去は関係なかろう?」
 「そうです。わたくしたちは今は織田のために尽力する立場なのですから」
 武田信玄の挑発的な物言いに、上杉謙信が同じように挑発的に返す。だが、信廉の穏やかな割り込みで、勢いを削がれてしまう。
 「やっぱり越後のお酒は美味しいねえ」
 「当然だ。米も水も技術も極上だからな!」
 酒好きの馬場信春が、越後産の酒をうまそうにあおる。兼継はその様子を見て鼻高々だった。
 「おちょこなんかじゃ物足りなーい。誰か大きい器持ってきて-!」
 「飲み過ぎはだめなの」
 酒をさながら水のようにあおろうとする慶次郎を、景勝が制止する。
 「それにしてもすごい施設ですね。これを2月程度で完成させるとは」
 「改めて、とんでもない相手と戦っていたものよ」
 北条早雲が窓の向こうにそびえる石油採掘施設を眺めて、驚嘆の吐息を漏らす。今川義元が、最近のお気に入りであるビールをあおりながら相手をする。
 越後の油田をいち早く創業するために、輸送艦“しもきた”に積まれていた陸自の土木機材がトラックで越後に送られたのだ。離島防衛演習に当たり、破壊された道路や家屋に対応することを想定して積まれていたのが役に立った。
 お陰で、比較的短期間にそれなりの規模の採掘施設を完成させ、石油の採掘を始めることができたのだ。
 「佐渡で金鉱を掘るから事業計画を検討しろと言われたときはどうなることかと思ったけどー。案外何とかなるもんだねー」
 「まあ、佐渡の黄金のお陰で油田と精製施設の建設費も都合がついたからな。
 苦労させられたが、その甲斐はあった」
 今川氏実がほっぺたにスィーツのかけらをつけた顔で言う。氏康がアイスティーを口に含みながら応じる。
 家では内政で実績を上げて、様々な事業を仕切った経験もある2人が佐渡に派遣された。採掘した金をうまいこと石油採掘及び精製施設建設の資金とするのが2人の仕事になったのだ。
 「これでじえいたいは鉄の車や鉄の鳥を思うさま動かせるわけか。剛毅だね」
 徳川家康が、外に見えるUH-60JAと高機動車を眺めながら言う。
 あれが動けなくなり、ただの鉄の塊になるところは見たくはない。今はまだ。
 「私たちも、じえいたいが作る便利なものにすっかり馴れていますからね。これで“せんじょうべんざ”も“どらいやー”もまだまだ使えるというわけだ」
 「一度使ったら手放せなくなるものばかりだかんねー。あたし、“まっさーじき”が使えなくなったら肩こってやばいかも」
 本多忠勝と酒井忠次が、石油のありがたみを自分のこととして受け止める。
 燃料がなくなれば電気も使えなくなる。そうなったら、自分たちが日頃世話になっている文明の利器も使用不能だ。それが回避されたのは素晴らしいことだった。
 「それにしても、竹中殿の手腕には感服しました。越後が雪に閉ざされている間に、暇をもてあましている者たちを労働力に使ってしまおうとは」
 「いえいえ、雪斎様のご助言があったればこそです。
 なにせ人手はあっても、じえいたいの下請けの仕事をした経験のないものたちばかりでしたからね。
 作業の組み分け。“まにゅある”の作成。規則の周知徹底。賃金の明確な規定。
 私は具体策を立てられずにいましたからねえ」
 大原雪斎が、竹中半兵衛の閃きを称える。半兵衛も、雪斎の細かい仕事に強い面に感服していた。
 石油採掘施設と精製施設となれば、自衛隊の施設科だけでは手が足りない。2人が労働力を確保して、作業を教え、賃金を払うという地道な作業を効率よく行ったことで、予定より大幅に早く施設が完成を見たのだ。
 大垣海将補以下の自衛隊の幹部たちも集まって上機嫌で談笑している。
 「これで、戦国自衛隊と同じ最後を遂げることはなくなったわけだ」
 「しかし、21世紀じゃ新潟の油田て、消費量の内ごくわずかを賄ってただけでしょ?
 あんまり湯水のごとく使うのも不安というか…」
 「おいおい、21世紀の日本がどれだけ大飯食らいかお忘れじゃないか?
 1億2千万人が全員毎日電気を使って電車に乗っているような状態に比べれば、今の俺たちの消費量なんてかわいいもんさ」
 「まあ、考えてみれば夜の明かりは、自衛隊のまとまった施設以外はいまだに油やLEDランタンだもんな。
 冷暖房も扇風機や暖炉だし。燃料の消費という観点からは実に経済的でつましいわけだ」
 「パイロットとしては、思う存分機体をぶん回せるのがありがたいですね。新しい兵装の開発もはかどってるようですし」
 自衛隊員たちはみな酒が入っていることもあって、テンション高く石油の話題で盛り上がっているのだった。
 
 さて、宴の上座に位置する場所では、主催者である信長を中心に、秀吉、勝家が語らっていた。酒が入っているわけでもないのに、3人とも赤い顔をしながら。
 「で、どうです信長様。夫君と進展はありましたか?越中では一緒にいる機会も多かったんでしょ?」
 「うう…。
 はっきり言おう。あの恥ずかしがり屋の朴念仁のせいで、私はいまだ”乙女”のままだ。いつでも待っておるというのに。
 お前たちはどうなのだ?」
 信長の言葉に、秀吉と勝家が気まずそうに沈黙する。
 「権六様、何か言ってくださいよ。ボクまで恥ずかしくなるじゃないですか…」
 「そう言われても…。私もいまだに手を付けられていないのは同じだし…」
 3人はそろって深く嘆息する。3人の共通の思い人である田宮知と、キスから先にさっぱり進展がないのだ。
 「全く、求めてくれればなんでもするのに、なぜ一言”お前を抱きたい”と言ってくれんのだ?」
 「いっそ媚薬でも飲ませて理性を失わせちゃいますか?」
 「いや、それでは問題の解決にならないぞ。多分…」
 勝家の言葉に、確かにそうだと信長も秀吉も思う。
 田宮がヘタレで恥ずかしがりだからというだけでもない。なぜか、田宮との関係が進展しようとするたびに邪魔が入ったり障害が発生するのだ。
 2人きりでいよいよいい雰囲気というところで、一揆が発生したという伝令が飛び込んでくる。身だしなみを整えて今日こそはと思ったら、いつもより早く月の物が来る。誰もいない屋外でこみあげる衝動のままに、と言うところで誰かが通りかかる。
 「ここまで障害が続くと、まるでなにかに呪われているようだな…」
 「こうなったら、人に見られててもいいから無理にでも男女の関係になっちゃおうかな」
 「いや、初めてくらい2人きりで愛し合いたいんだけど…」
 田宮の恥ずかしがりと、男女の関係に対する臆病さはともかく、いつも間が悪いことは人為的に解決できるかどうか大いに問題だ。
 3人は再び深く嘆息するのだった。
 「あの…なんかあったんですか?しんみりしちゃってますけど…」
 3人のため息の元凶、田宮が心配そうに、だが何もわかっていないという調子で話しかけて来る。
 「「「誰のせいだ!」」」
 3人の声がハモる。内心理不尽とは思うが、女の子を待たせる男に対する不満は理屈ではない。
 「え…なんかすんません…」
 田宮は理不尽なものを感じながらも、3人のあまりの迫力につい謝罪の言葉が出てしまうのだった。
 
 その日の宴はつつがなく終わるとともに、織田の力を穏やかにだが示す効果もあった。
 なにせ、織田だけではない。徳川、今川、武田、北条、そして上杉の当主と重臣たちが一堂に会しているのだ。
 そして、それをまとめ、統率する立場にあるのは織田信長だ。
 すでに織田が京を抑えていることと合わせて、織田信長こそが天下人と多くの人間に認識させるには十分と言えた。
 なにより、佐渡の黄金と越後の石油が織田と自衛隊によって確保されたことは、もはや軍事的に織田と自衛隊にかなう者はいないと多くの者たちに推量させる効果があったのだ。
 織田と自衛隊の勢いを止められる者はいない。
 それは織田家自信にとっても大きな自信となったのだった。

 が、めでたい席であるはずなのに、信長、秀吉、勝家に、他の何人かの女性たちが不満そうに嘆息していた。
 「朴念仁め」「肌が寂しい」「いつでも待ってるのに」「女の子から抱いて欲しいというのは恥ずかしいし…」「スケベなくせに、変なところで誠実なんだもんなあ」
 悩ましく嘆息する女性たちに、列席する者たちは生温かい同情の視線を向けるのだった。
 「ま、あのヘタレを好きになった以上はこうなるよね」「女の子にあんな顔をさせるなんて、男としてどうよ?」「いっそ開き直って全員妊娠させるとかした方が不満も出ないんじゃ?」「ハーレムの主がヘタレなんて何の冗談さ?」
 「え、俺のせい?」
 肝心の女の子たちを悶々とさせている元凶は、一応加害者意識はあるものの、問題を解決しようという意思はほとんどゼロ。
 女の子たちのじれじれと嘆息は続くのだった。

18

 越後、春日山城。
 「うー寒い」
 田宮は速足で便所に向かっていた。上杉家と、地下資源のロイヤリティの支払いや軍事的な協力のことで話し合いに来ている。この城に滞在して3日目になるが、どうにもこの寒さは慣れない。
 「あ、これは田宮殿」
 「あ、お疲れ様です。しかし冷えますねえ」
 男子便所には、寒さで便所が近くなった者たちが詰めかけていた。いや、男子便所はまだましな方と言えるかもしれない。女子便所の前には、女性の将兵や腰元たちが長蛇の列を作っている。
 (こういう時女性は本当に大変だ)
 田宮はそう思わざるを得ない。今までの人生で何度か試験を受けてきたが、どんな教育施設だろうとトイレには限りがある。特に女は小さい方でも後始末に手間がかかるから、女子トイレの前には常に長蛇の列ができていたのを思い出したのだ。
 「うー寒いなあ」
 用を足している間、水分と一緒に体温までが急速に逃げていくのが体感できる。体の震えが止まらない。このまま凍えてしまうかとさえ思うほどだ。
 「男衆すまん。ちと邪魔をするぞ」
 きれいでよく通る声の方向に目を向けると、なんと謙信と兼続、慶次郎、景勝が男子便所に入って来るところだった。
 「ええ!?あの…邪魔するぞって何するんです?」
 田宮は慌てて用足しを済ませると、ズボンのジッパーを上げる。
 「うむ…迷惑なのはわかっているのだが、急ぎの仕事があって早く戻らなくてはならんでな。
 それに…その…もう我慢できそうにないのだ…」
 頬を赤く染めながらそういう謙信だが、体に力を入れて何かを懸命に我慢しているのが見て取れる。
 「ごめんなさいよお」
 そう言った慶次郎が、遊女のような派手な着物の裾を大きく上げる。
 「わああ!ちょっと待った!ちょっと待った!」
 田宮は慌てて慶次郎を制止する。
 見えた。一瞬だがはっきりと、はいてないのが見えた。股間のきれいに手入れをされた茂みまで。考えてみれば、着物の下は腰巻で、パンツは身に着けていないのだから見えるのは当然だ。
 慶次郎の仕草から、田宮は謙信たちが何をしようとしているのか察する。
 要するに、女子便所が混んでいるから、男子便所の小便器で立ちションをするつもりらしい。
 ここの男子便所の小便器は原始的かつシンプル。便所の壁に漆喰を塗り付け、下に排水溝を設けただけのものだ。詰めればかなりの数の人間が同時に用を足すことが出来る。
 が、これはそう言う問題ではない。美女と美少女取り交ぜて4人がそろって男子便所の小便器で立ちションなど、なんのエロゲかアダルト動画だと思わずにはいられない。
 「せめて、男たちが出て行ってからにしてください!
 男衆、すまんが外に出るぞ!もう少し我慢だ!」
 そういって田宮は手を叩き、男衆を伴って便所の外に出る。
 「知殿は優しいな。礼を言う…。男がいるところでするのは…やっぱり恥ずかしいからな…」
 謙信がそう言ってはにかむ。が、猛烈な尿意と戦っているせいで表情が硬い。図らずも田宮は、美女のおしっこ我慢の素晴らしさと美しさを知った思いだった。
 「お義父さんありがとなの。なるべく早く済ませるから…」
 同じように切迫した表情で、景勝が健気に微笑む。いつの間にか、田宮は彼女の義母の配偶者、つまりお義父さんということになっているらしい。
 「その…すまんがいいというまで外していてくれると助かる…」
 兼続が本当にすまなそうに言う。
 「では、ごゆっくり…」
 そう言って便所を後にする田宮は、いけないとは思いながらも振り向いてしまう。
 そして、確かに見た。
 謙信と兼続は着物の裾をまくり上げ、足をがに股に開いて腰を突き出したハレンチかつ下品なポーズで。景勝と慶次郎は美味しそうな尻を露わにして、小便器に背中を向けて前かがみになったポーズで後ろ向きに。
 女の子としてはあまりにハレンチで煽情的で卑猥なポーズで、4人は溜まった尿意を解放しようとしていた。
 黄色い飛沫が日の光を浴びてきらきらと輝きながら放出され始めたところで、田宮は慌てて便所の外へ出る。
 「ただ用を足してるだけのなのに…エロ過ぎる…」
 田宮はつぶやいていた。
 冷静に考えれば、女の子が立ちションをするのは歴史上珍しいことではなかった。
 平安時代までの日本の朝廷や、かのヴェルサイユ宮殿にはトイレがなかった。ではどうしていたかというと、携帯便器、つまりおまるにするか、その辺の人目につかないところでこっそりするのが普通だった。
 欧州の古いタイプの下着であるドロワーズの股間が開くようにできているのは、ぶっちゃけて言えば女の子が立ちションをするためだ。
 要するに、女性がトイレの個室で慎ましく用を足すようになったのは、地域にもよるが近代に入ってからなのである。
 理屈ではわかる。理屈ではわかるが、4人の美女、美少女が尿意をがまんできず、男子便所の小便器で立ちションをしているという状況は、卑猥でエロティックなものを感じずにはいられないのだった。
 「こうしてみると、時代が違うのを感じますね」
 「ま、おしっこ我慢と立ちションで時代を感じるのがアレだけどね…」
 便所の順番待ちをしている牛島三曹に田宮は口をへの字にしながら答える。
 謙信たち4人が男子便所から出て来たのは、かなり時間が経ってからだった。順番待ちをしていた男衆が漏れそうになるのを必死でこらえている姿に、4人は頭を下げて詫びていた。
 田宮は、女の子の用足しはやはり手間なのだと理解する。男と違い、小さい方でも後を丁寧に拭いて処理しなければならないのだからある意味で当然だろう。

 余談だが、田宮はこの後謙信たちのおしっこ我慢と立ちションの光景が頭から離れず、自室に戻るとたけり狂って鎮まらない自分のものを右手で処理したのだった。
 謙信たちのあまりにハレンチで卑猥だが美しい姿を想像すると、1度果てたくらいでは収まらなかった。田宮は2度3度と自分の猛り狂ったものを成敗することになるのだった。
 「知殿…もしかして自分で処理していたのか?
 そんなもったいないことをせずとも、私が相手をさせてもらうのに…」
 そして、たけり狂った物を自分で処理していたことはなぜか謙信に気づかれてしまう。
 謙信たちのおしっこ我慢とおしっ娘姿に興奮してしまったとは言えず、悶々とする田宮だった。

 「どうでもいいけど、なんか取ってつけたように萌えとエロスが積み込まれてません?」
 「歴史や文化の考察を言い訳にってか?筆者の都合だろう、深く考えたら負けだ」
 「メタいっすね」
 牛島の疑問も最もとは思うが、深く考察する気にはなれない田宮だった。

 何はともあれ、女の子の用足しの素晴らしさ…いやさ、淫猥さ…でもなく、難しさを再確認した田宮だった。
 寒くてトイレが近くなるときは特に。
 後に田宮は、トイレの混雑に難儀する女の子たちのために知恵を絞ることになる。
 女の子たちの用足しの問題をかなりの部分で解決して、感謝されるのだが、それはまた別の講釈だ。
 
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