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第五章 迷い、見失い、それでも
02 恋敵たちの決意
『ごめんなさい……湊ちゃん……。あなたとはもう……。さよなら……』
雪美が背を向けて遠ざかる。
『待って……。待って雪美ちゃん……!』
遅すぎた言葉は、彼女に届かない。
(…………!?)
残された湊は、自分の両手を見て愕然とする。品のないネイルアートをした、指輪だらけの指。どう見てもDQNのブレスレットがジャラジャラ音を立てる。
まさか。鞄からコンパクトを取り出して顔を映す。
そこにあったのは、取り返しのつかないビッチと化した自分の顔だった。下品で派手な化粧と盛りすぎのウィッグのせいで、元がどんな顔をしていたのか見当もつかない。
空っぽで汚れて堕落しきった、誰からも必要とされない自分。
(なんてこと……どうして……どうしてこうなっちまったんだ……)
これでは、真面目な雪美に愛想を尽かされるのも当然だ。
だが絶望しかけたとき、身体が浮かぶような感覚に包まれる。
「は……」
意識を集中して目を開く。
目に入ったのは、見慣れた自室の天井だった。脇の机から鏡を取り、自分の顔を映す。
(良かった……)
いたっていつも通りの、すっぴんの自分が映っていた。
(でも……夢って片付けられないよね……)
湊には確信があった。このまま問題から逃げ続けていれば、今の夢が現実になる。雪美も、いつまでも待っていてはくれない。
自分も、どんどん堕落していってしまう。
(いつまでもプカプカ浮いてはいられないけど……けど……)
きっかけがつかめない。明日がある、明日があると先延ばしにして、どんどん時はなくなっていく。
明日とは今日だ。それがわかっているのに、どうしても自分と、周囲と向き合うことができなかった。
その日、鈴森雪美は喫茶店で待ちぼうけを食っていた。
呼び出した相手は、彼氏の浮気相手である真行寺梓。世界で一番愛している人の心を乱している張本人だ。
(遅いな……。なにかあったのかしら……?)
この店自慢のブレンドコーヒーに口をつけながら、少女は思う。
梓から事前に遅れるとメールがあったが、すでに約束の時間から二十分が経っている。
(中途半端に考える時間があるのが……一番困るのに……)
そんなことを思ってしまう。
梓と話し合いたい問題は、当然湊のことだ。彼女は優しさと表裏一体のヘタレなところがある。
自分の優柔不断さに負い目を感じて、雪美と会うことを避けているように見える。
そして、彼女の負い目の源泉は他ならない梓だ。
一度はっきりさせておかなければならない。湊は自分の恋人だと。湊の意向通り梓も一緒に突き合うか。あるいは梓を遠ざけるか。
いずれにせよ、「正妻」は自分なのだと言っておきたかった。
だが、待たされていると決意が鈍ってしまう。よけいなことをあれこれ考えて、はっきりと言うことができなくなりそうだ。
そんなことを思った時だった。
「ごめん。雪美ちゃん、お待たせ」
透き通った声がした。
「え……?」
顔を上げると、そこにははっとするような美少女が立っていた。
セミロングぱっつんの髪とメガネがよく似合う。服のチョイスも清楚ながらおしゃれだし、袖あまりがあざとい。
誰この娘? 一瞬そう考えて、すぐに雪美の中で糸がつながる。こんな美少女が知り合いにいた記憶はない。そう、「美少女」は。
湊が女装した梓に誘惑されて浮気をしたという話をすぐに思い出す。
「梓君……。お忙しいところ呼び出してごめんなさいね……」
少女は務めて冷静な調子で応じる。
(こんなにきれいでかわいいのに男の子……? うそでしょ……?)
内心、雪美は激しく動揺していた。不覚にも女装した梓の美しさに目を奪われていた。
湊のことをはっきりと言ってやろうという決意は、一瞬にしてしぼんでいた。
これだけ美しくて色気があるなら、男であることなど些末。湊が籠絡されてしまった気持ちもわかるからだ。
「今日お話ししたいこと、おわかりですね?」
「湊のことだよね。わかってますとも」
椅子にかけてカプチーノを注文した梓は、透明感のある声で応じる。
(すごい……声まで完全に女なんて……。ファルセットっていうのだったかな……?)
梓の完璧な男の娘ぶりに、雪美は圧倒される。同時に、彼の意図を察していた。
梓もまた、湊を心から愛している。諦める気はない。
その本気度を、言葉でなく態度で示しているのだ。女装というわかりやすい手段で。
「湊ちゃんがあなたを好きな気持ちを否定する気はありません。もちろん、その逆も」
言葉を選びながら、雪美は切り出す。
「でも、湊ちゃんの彼女は私です。それはわかって下さい」
「わかってる。わかってるとも。湊を浮気させたのは、悪いとは一応思ってるよ」
そう応じた美貌の男の娘の表情は、真剣そのものだった。言い逃れする気はない。自分が泥棒猫なのは認める。目がそう言っていた。
「そう思うなら、既成事実を作るみたいなやり方はやめて下さい。それが湊ちゃんを傷つけてるって、あなたの方が良くわかってるでしょう?」
強い調子でそう言われ、梓がやましそうな顔になる。だが、それも一瞬だった。
「この際だからはっきり言うよ。まともなやり方じゃ、ボクは雪美ちゃんに勝てない。湊を……その……押し倒してひっぱたかれたとき、はっきりわかったんだ」
梓は一度言葉を句切り、カプチーノに口をつける。
「ボクは雪美ちゃんほど強くもないし器用でもない……。頭でだってかなわない。でも……湊のことはどうしても諦められない……。だから……こうするしかないじゃないか」
開き直った男の娘の眼は真剣そのものだった。
(私には……彼を翻意させるのは無理か……)
雪美は梓の必死さと思いの強さに、言葉は通じないと確信する。
いっそ、湊が雪美と梓と東村のみんなで付き合いたがっていると伝えるか? そう思って、すぐに考え直す。
湊が今は不安定で、なにひとつ決められない状態だ。自分が勝手に話を進めていい問題ではない。
「わかりました。梓君が本気だというのは。でも、あなたのわがままで湊ちゃんを苦しめるようなやり方はやめて。彼女、自分のしたことに開き直れる強さはない。浮気した自分を責めてしまう。わかってるでしょ?」
「そうだね……。いっそ湊にそれだけの図々しさがあったら、ボクらももっと楽だったかもね」
ふたりの会話は、意見の一致を見ているようで実は平行線だった。
雪美はせめて湊が苦しまないようにしたい。
だが、梓にとって湊を苦しめないこととは、好きな人を諦めるのと同義だった。今のところは。
互いにそれを理解して、しばらく言葉が途切れる。
「変な感じだね……。雪美ちゃんは、湊に近づかないでとか、浮気させるのはやめてとかは言わないんだ?」
沈黙に耐えかねた梓が、そんな話題を切り出す。雪美を怒らせるのを覚悟して。
「私は、みんなが思うほど優等生でも純真でもありませんから……。できれば湊ちゃんには私だけ見てて欲しいけど、それを強制することはできない。束縛するめんどくさい女にはなりたくないんです」
梓の眼を見ながら、雪美は言い切る。
やたら嫉妬したり束縛しようとするのは自信のなさの証。
浮気やハーレムが甲斐性とまでは言わない。だが、愛おしい人に自分だけを見ることを強制することは、とても狭いことに思える。
人の感情を理屈で制御できるとは思わない。なら、湊が他の女(男)を好きになることは認めるべき。自分が一番だという条件でだが。
それが雪美の偽らざる気持ちだった。
「雪美ちゃんはいい女だね。だから……ボクはまともな方法じゃかなわないんだ」
梓のその言葉は、話はこれで終わりだと言外に告げていた。
真行寺梓は、雪美ほど器用でも強くもない。湊を傷つけないようにする余裕などない。姑息でひどいやり方でも、愛おしい者を自分のものにしたければ是非もないのだと。
美貌の男の娘は、千円札をテーブルの上に置いて席を立つ。
「梓君、また明日学校で」
「うん、また明日」
そう言って振り返った梓がにっこり微笑む。
(かわいい……)
雪美はあまりに素敵な笑顔にドキリとしてしまう。
改めて、湊が梓の美貌と色気に抗えなかったのを痛感する。
(無駄足じゃ……なかったわよね……)
ひとりテーブルに残された少女は、せめてそう思いたかった。
湊の苦しみを解決する方法は、ついに見つからなかった。
だが、梓の本気と、誰でもドキリとしてしまう美しさを確認できた。それだけでも得るものはあったと思う。
自分に落ち度があるからではなく、梓が美しすぎるのが悪い。せめて、そう思うことで浮気された悔しさを慰めることができたのだから。
(さて……この後どうするか……)
少女は先のことを考え始めた。
取りあえずは、湊が精神的に落ち着くのを待つのが得策。だが、こちらも準備はしておく必要がある。
みんなで幸せになるために。
雪美が背を向けて遠ざかる。
『待って……。待って雪美ちゃん……!』
遅すぎた言葉は、彼女に届かない。
(…………!?)
残された湊は、自分の両手を見て愕然とする。品のないネイルアートをした、指輪だらけの指。どう見てもDQNのブレスレットがジャラジャラ音を立てる。
まさか。鞄からコンパクトを取り出して顔を映す。
そこにあったのは、取り返しのつかないビッチと化した自分の顔だった。下品で派手な化粧と盛りすぎのウィッグのせいで、元がどんな顔をしていたのか見当もつかない。
空っぽで汚れて堕落しきった、誰からも必要とされない自分。
(なんてこと……どうして……どうしてこうなっちまったんだ……)
これでは、真面目な雪美に愛想を尽かされるのも当然だ。
だが絶望しかけたとき、身体が浮かぶような感覚に包まれる。
「は……」
意識を集中して目を開く。
目に入ったのは、見慣れた自室の天井だった。脇の机から鏡を取り、自分の顔を映す。
(良かった……)
いたっていつも通りの、すっぴんの自分が映っていた。
(でも……夢って片付けられないよね……)
湊には確信があった。このまま問題から逃げ続けていれば、今の夢が現実になる。雪美も、いつまでも待っていてはくれない。
自分も、どんどん堕落していってしまう。
(いつまでもプカプカ浮いてはいられないけど……けど……)
きっかけがつかめない。明日がある、明日があると先延ばしにして、どんどん時はなくなっていく。
明日とは今日だ。それがわかっているのに、どうしても自分と、周囲と向き合うことができなかった。
その日、鈴森雪美は喫茶店で待ちぼうけを食っていた。
呼び出した相手は、彼氏の浮気相手である真行寺梓。世界で一番愛している人の心を乱している張本人だ。
(遅いな……。なにかあったのかしら……?)
この店自慢のブレンドコーヒーに口をつけながら、少女は思う。
梓から事前に遅れるとメールがあったが、すでに約束の時間から二十分が経っている。
(中途半端に考える時間があるのが……一番困るのに……)
そんなことを思ってしまう。
梓と話し合いたい問題は、当然湊のことだ。彼女は優しさと表裏一体のヘタレなところがある。
自分の優柔不断さに負い目を感じて、雪美と会うことを避けているように見える。
そして、彼女の負い目の源泉は他ならない梓だ。
一度はっきりさせておかなければならない。湊は自分の恋人だと。湊の意向通り梓も一緒に突き合うか。あるいは梓を遠ざけるか。
いずれにせよ、「正妻」は自分なのだと言っておきたかった。
だが、待たされていると決意が鈍ってしまう。よけいなことをあれこれ考えて、はっきりと言うことができなくなりそうだ。
そんなことを思った時だった。
「ごめん。雪美ちゃん、お待たせ」
透き通った声がした。
「え……?」
顔を上げると、そこにははっとするような美少女が立っていた。
セミロングぱっつんの髪とメガネがよく似合う。服のチョイスも清楚ながらおしゃれだし、袖あまりがあざとい。
誰この娘? 一瞬そう考えて、すぐに雪美の中で糸がつながる。こんな美少女が知り合いにいた記憶はない。そう、「美少女」は。
湊が女装した梓に誘惑されて浮気をしたという話をすぐに思い出す。
「梓君……。お忙しいところ呼び出してごめんなさいね……」
少女は務めて冷静な調子で応じる。
(こんなにきれいでかわいいのに男の子……? うそでしょ……?)
内心、雪美は激しく動揺していた。不覚にも女装した梓の美しさに目を奪われていた。
湊のことをはっきりと言ってやろうという決意は、一瞬にしてしぼんでいた。
これだけ美しくて色気があるなら、男であることなど些末。湊が籠絡されてしまった気持ちもわかるからだ。
「今日お話ししたいこと、おわかりですね?」
「湊のことだよね。わかってますとも」
椅子にかけてカプチーノを注文した梓は、透明感のある声で応じる。
(すごい……声まで完全に女なんて……。ファルセットっていうのだったかな……?)
梓の完璧な男の娘ぶりに、雪美は圧倒される。同時に、彼の意図を察していた。
梓もまた、湊を心から愛している。諦める気はない。
その本気度を、言葉でなく態度で示しているのだ。女装というわかりやすい手段で。
「湊ちゃんがあなたを好きな気持ちを否定する気はありません。もちろん、その逆も」
言葉を選びながら、雪美は切り出す。
「でも、湊ちゃんの彼女は私です。それはわかって下さい」
「わかってる。わかってるとも。湊を浮気させたのは、悪いとは一応思ってるよ」
そう応じた美貌の男の娘の表情は、真剣そのものだった。言い逃れする気はない。自分が泥棒猫なのは認める。目がそう言っていた。
「そう思うなら、既成事実を作るみたいなやり方はやめて下さい。それが湊ちゃんを傷つけてるって、あなたの方が良くわかってるでしょう?」
強い調子でそう言われ、梓がやましそうな顔になる。だが、それも一瞬だった。
「この際だからはっきり言うよ。まともなやり方じゃ、ボクは雪美ちゃんに勝てない。湊を……その……押し倒してひっぱたかれたとき、はっきりわかったんだ」
梓は一度言葉を句切り、カプチーノに口をつける。
「ボクは雪美ちゃんほど強くもないし器用でもない……。頭でだってかなわない。でも……湊のことはどうしても諦められない……。だから……こうするしかないじゃないか」
開き直った男の娘の眼は真剣そのものだった。
(私には……彼を翻意させるのは無理か……)
雪美は梓の必死さと思いの強さに、言葉は通じないと確信する。
いっそ、湊が雪美と梓と東村のみんなで付き合いたがっていると伝えるか? そう思って、すぐに考え直す。
湊が今は不安定で、なにひとつ決められない状態だ。自分が勝手に話を進めていい問題ではない。
「わかりました。梓君が本気だというのは。でも、あなたのわがままで湊ちゃんを苦しめるようなやり方はやめて。彼女、自分のしたことに開き直れる強さはない。浮気した自分を責めてしまう。わかってるでしょ?」
「そうだね……。いっそ湊にそれだけの図々しさがあったら、ボクらももっと楽だったかもね」
ふたりの会話は、意見の一致を見ているようで実は平行線だった。
雪美はせめて湊が苦しまないようにしたい。
だが、梓にとって湊を苦しめないこととは、好きな人を諦めるのと同義だった。今のところは。
互いにそれを理解して、しばらく言葉が途切れる。
「変な感じだね……。雪美ちゃんは、湊に近づかないでとか、浮気させるのはやめてとかは言わないんだ?」
沈黙に耐えかねた梓が、そんな話題を切り出す。雪美を怒らせるのを覚悟して。
「私は、みんなが思うほど優等生でも純真でもありませんから……。できれば湊ちゃんには私だけ見てて欲しいけど、それを強制することはできない。束縛するめんどくさい女にはなりたくないんです」
梓の眼を見ながら、雪美は言い切る。
やたら嫉妬したり束縛しようとするのは自信のなさの証。
浮気やハーレムが甲斐性とまでは言わない。だが、愛おしい人に自分だけを見ることを強制することは、とても狭いことに思える。
人の感情を理屈で制御できるとは思わない。なら、湊が他の女(男)を好きになることは認めるべき。自分が一番だという条件でだが。
それが雪美の偽らざる気持ちだった。
「雪美ちゃんはいい女だね。だから……ボクはまともな方法じゃかなわないんだ」
梓のその言葉は、話はこれで終わりだと言外に告げていた。
真行寺梓は、雪美ほど器用でも強くもない。湊を傷つけないようにする余裕などない。姑息でひどいやり方でも、愛おしい者を自分のものにしたければ是非もないのだと。
美貌の男の娘は、千円札をテーブルの上に置いて席を立つ。
「梓君、また明日学校で」
「うん、また明日」
そう言って振り返った梓がにっこり微笑む。
(かわいい……)
雪美はあまりに素敵な笑顔にドキリとしてしまう。
改めて、湊が梓の美貌と色気に抗えなかったのを痛感する。
(無駄足じゃ……なかったわよね……)
ひとりテーブルに残された少女は、せめてそう思いたかった。
湊の苦しみを解決する方法は、ついに見つからなかった。
だが、梓の本気と、誰でもドキリとしてしまう美しさを確認できた。それだけでも得るものはあったと思う。
自分に落ち度があるからではなく、梓が美しすぎるのが悪い。せめて、そう思うことで浮気された悔しさを慰めることができたのだから。
(さて……この後どうするか……)
少女は先のことを考え始めた。
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