15 / 64
初任務
道中−3
しおりを挟む
「これで、辺りの様子の監視をお願い!異常があったら、すぐに知らせて!」
「わかった!」
蒼は、両手で双眼鏡を持つと、辺りをキョロキョロと見渡しだした。
それから約1時間、ランツェが馬車を走らせるが、それといった危険な動物が見つかるっことはなかった。見つけたとしても、シカやタカなどの無害な生物ばかりだ。
「見つからない。まあ、見つからない方が良いのかもしれないけど・・」
「確かにそうかもね、危険だし。その分、ヒグマなどの生物の皮は、高く取引できるんだよ。」
蒼はランツェの話を興味深そうに聞いている。それと同時に、目を右左と動かしながら、周りを見ている。
ランツェは、そんな蒼の姿を見て、クスッと小笑いした。
そして、2時間後・・
夕日がほとんど山に沈み、辺りが暗くなってきた。
向こうの山の辺りには、トキ色の夕焼けの空が広がっており、帯連なった雲がまた壮観さを底上げしている。
「もうそろそろ、日が沈むね。蒼」
「そうだな」
蒼は、何も考えずに、その美しい夕焼けを眺め続けている。
その間、ランツェが何度か話しかけても、聞こえていないくらい、その圧感の景色に見惚れていたようだ。
2、30分もすると、太陽は山に隠れ、空は闇に包まれた。
「何にも見えなくならない!夜の山は危険だと思うけど」
蒼は慌てて、ランツェに聞く。
「大丈夫だよ。それに、もうすぐ頂上だよ!」
森を抜けると、辺りは一面の草原が広がっているのが、薄暗い視界の先に見える。
そして、夜空には星が一面に広がっていた。
「うっ。着いたのか?」
「目的地には、まだね。今日、寝る場所だよ。テントを張ったり、食事の準備をしたりするから、ちょうど良かった」
ランツェが2枚のテントを抱えている。
「わかった。手伝おう」
3人は、夕食の下ごしらえやテント張りなどを40分弱ほどで済ませた。そして、まだ沸騰していない鍋を囲んで、座っている。
「・・星がキレイだな」
「そうだね。それに、ロートンさんの2階の部屋から見た時より、多く感じる」
蒼とサンダーは、その無数の星々を瞬きもせず眺めている。
その横で、ランツェは料理の仕上げに取り掛かっていた。
「今日の夕食のメニューを紹介するね。・・」
メニューは、レーズン入りのパン、クリームスープ、そして、バーベキューらしい。
「キャンプみたいだ」
「みたいだ、じゃない。実際に、キャンプだ。これは・・」
サンダーのそのツッコミで、蒼とランツェは軽く笑い出した。それにつられて、サンダーも少しクスッと笑っている。
串刺しにされた野菜や肉、海鮮などを焼いて、パンと一緒に食べる。蒼たちがいた場所では、米の方が主流だった。パンが存在しない訳では無いが・・。
「以外に、焼き肉とパンも合うんだ!」
「そうだな!これはこれで美味いな!」
食事を済ませ、片付けをしている内に時間は、とうに11時を過ぎていた。
3人はマットを敷き、川の字になって、星を眺めている。星の中には、バーの2階から見えていた橙色の星も見えている。
「あの少し目立つ星の名前は、セレネって呼ばれていて・・。過去に存在した女神の名前が由来なんだって」
「そうなのか、詳しいな!ランツェ。」
ランツェは、星に興味を寄せており、よくテネレ国立図書館で借りて読んでいるらしい。詳しいのは、そのためだそうだ。
「それから、あの星は・・」
ランツェの星のうんちく・・ではなく、説明は数分間続いた。
そんな中、テントの後ろの背が高めの草むらが、ガサッと揺れる音が聞こえた。
「何だ。」
耳を澄ますと、草むらからは何らかの動物のグルルという激しい威嚇声と鼻息が聞こえている。
「下がって!二人とも!」
ノソノソと熊のようでそうでないような見たことのない生物が姿を表した。
「こいつは!少し前から、遭遇が報告されている突然変異型生物だ。」
突然変異型生物というのは、低級精霊に取り憑かれたり、属性持ちの魔物の一部を口にすることで、その力を使えるようになったモノのことらしい。
「もしかして戦う気?ランツェ」
「もちろん戦うつもりよ。まあ、二人は見てて。突然変異型生物とは、一度やり合ったことがあるからね。」
そう言うと、ランツェは槍を構え、単独でその生物に向かって、走っていった。
蒼とサンダーは止めようとしたが、ただ黙って見ていることしかできない。
「はっ!」
ランツェは生物の引っ掻き攻撃を華麗にかわすと、首元目がけて、力一杯突きをした。突きが命中すると、生物は後ろにのけぞった。どこかランツェのことを睨みつけているように見える。
「やっぱり再生し始めたね。」
「どうするんだ、ランツェ」
ランツェは、後ろに魔法陣を作り出すと『サード・フレイム』という名の技を放った。3つの魔法陣から火球が放たれる技のようだ。
火球をほぼゼロ距離で命中させると、生物はグォォと叫び声を上げると、倒れ込み、起き上がろうと必死にもがいている。
「これで、トドメね。」
ランツェは倒れ込んだ生物の上に立つと、指を銃の形にすると脳天に『フレイムショット』を一発撃ち込んだ。
「わかった!」
蒼は、両手で双眼鏡を持つと、辺りをキョロキョロと見渡しだした。
それから約1時間、ランツェが馬車を走らせるが、それといった危険な動物が見つかるっことはなかった。見つけたとしても、シカやタカなどの無害な生物ばかりだ。
「見つからない。まあ、見つからない方が良いのかもしれないけど・・」
「確かにそうかもね、危険だし。その分、ヒグマなどの生物の皮は、高く取引できるんだよ。」
蒼はランツェの話を興味深そうに聞いている。それと同時に、目を右左と動かしながら、周りを見ている。
ランツェは、そんな蒼の姿を見て、クスッと小笑いした。
そして、2時間後・・
夕日がほとんど山に沈み、辺りが暗くなってきた。
向こうの山の辺りには、トキ色の夕焼けの空が広がっており、帯連なった雲がまた壮観さを底上げしている。
「もうそろそろ、日が沈むね。蒼」
「そうだな」
蒼は、何も考えずに、その美しい夕焼けを眺め続けている。
その間、ランツェが何度か話しかけても、聞こえていないくらい、その圧感の景色に見惚れていたようだ。
2、30分もすると、太陽は山に隠れ、空は闇に包まれた。
「何にも見えなくならない!夜の山は危険だと思うけど」
蒼は慌てて、ランツェに聞く。
「大丈夫だよ。それに、もうすぐ頂上だよ!」
森を抜けると、辺りは一面の草原が広がっているのが、薄暗い視界の先に見える。
そして、夜空には星が一面に広がっていた。
「うっ。着いたのか?」
「目的地には、まだね。今日、寝る場所だよ。テントを張ったり、食事の準備をしたりするから、ちょうど良かった」
ランツェが2枚のテントを抱えている。
「わかった。手伝おう」
3人は、夕食の下ごしらえやテント張りなどを40分弱ほどで済ませた。そして、まだ沸騰していない鍋を囲んで、座っている。
「・・星がキレイだな」
「そうだね。それに、ロートンさんの2階の部屋から見た時より、多く感じる」
蒼とサンダーは、その無数の星々を瞬きもせず眺めている。
その横で、ランツェは料理の仕上げに取り掛かっていた。
「今日の夕食のメニューを紹介するね。・・」
メニューは、レーズン入りのパン、クリームスープ、そして、バーベキューらしい。
「キャンプみたいだ」
「みたいだ、じゃない。実際に、キャンプだ。これは・・」
サンダーのそのツッコミで、蒼とランツェは軽く笑い出した。それにつられて、サンダーも少しクスッと笑っている。
串刺しにされた野菜や肉、海鮮などを焼いて、パンと一緒に食べる。蒼たちがいた場所では、米の方が主流だった。パンが存在しない訳では無いが・・。
「以外に、焼き肉とパンも合うんだ!」
「そうだな!これはこれで美味いな!」
食事を済ませ、片付けをしている内に時間は、とうに11時を過ぎていた。
3人はマットを敷き、川の字になって、星を眺めている。星の中には、バーの2階から見えていた橙色の星も見えている。
「あの少し目立つ星の名前は、セレネって呼ばれていて・・。過去に存在した女神の名前が由来なんだって」
「そうなのか、詳しいな!ランツェ。」
ランツェは、星に興味を寄せており、よくテネレ国立図書館で借りて読んでいるらしい。詳しいのは、そのためだそうだ。
「それから、あの星は・・」
ランツェの星のうんちく・・ではなく、説明は数分間続いた。
そんな中、テントの後ろの背が高めの草むらが、ガサッと揺れる音が聞こえた。
「何だ。」
耳を澄ますと、草むらからは何らかの動物のグルルという激しい威嚇声と鼻息が聞こえている。
「下がって!二人とも!」
ノソノソと熊のようでそうでないような見たことのない生物が姿を表した。
「こいつは!少し前から、遭遇が報告されている突然変異型生物だ。」
突然変異型生物というのは、低級精霊に取り憑かれたり、属性持ちの魔物の一部を口にすることで、その力を使えるようになったモノのことらしい。
「もしかして戦う気?ランツェ」
「もちろん戦うつもりよ。まあ、二人は見てて。突然変異型生物とは、一度やり合ったことがあるからね。」
そう言うと、ランツェは槍を構え、単独でその生物に向かって、走っていった。
蒼とサンダーは止めようとしたが、ただ黙って見ていることしかできない。
「はっ!」
ランツェは生物の引っ掻き攻撃を華麗にかわすと、首元目がけて、力一杯突きをした。突きが命中すると、生物は後ろにのけぞった。どこかランツェのことを睨みつけているように見える。
「やっぱり再生し始めたね。」
「どうするんだ、ランツェ」
ランツェは、後ろに魔法陣を作り出すと『サード・フレイム』という名の技を放った。3つの魔法陣から火球が放たれる技のようだ。
火球をほぼゼロ距離で命中させると、生物はグォォと叫び声を上げると、倒れ込み、起き上がろうと必死にもがいている。
「これで、トドメね。」
ランツェは倒れ込んだ生物の上に立つと、指を銃の形にすると脳天に『フレイムショット』を一発撃ち込んだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~
日和崎よしな
ファンタジー
―あらすじ―
異世界に転移したゲス・エストは精霊と契約して空気操作の魔法を獲得する。
強力な魔法を得たが、彼の真の強さは的確な洞察力や魔法の応用力といった優れた頭脳にあった。
ゲス・エストは最強の存在を目指し、しがらみのない異世界で容赦なく暴れまくる!
―作品について―
完結しました。
全302話(プロローグ、エピローグ含む),約100万字。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~
専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。
ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる