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4話 湿原にて!2
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「なめてた・・・」
もう10羽目になるウサギに逃げられてしまった。まだ1回も触れることすらできていない。僕の膝を隠してしまう高さの草木が生い茂っているため、そもそも見つけることが一苦労だ。
幸いこのコクロ湿原には数多くのウサギが生息しているようでそれなりに見つけられてはいると思うんだけど、彼らは僕に気付くとすぐに駆け出して、そのうち草木に紛れ見失ってしまう。
純真だったころの僕に撫でられていたあのウサギ達は野生を失っていたのだろう。
しかし、このように何一つ成果を挙げられていないものの僕に焦りは無い。
だってユリコがいるから。彼女は今片腕だけとは言え、この異世界に生まれ育った現地の人ですよ。人並み外れた体力も見せてたし、そもそも人じゃないんだろうし。
「じゃあ私は湖の方にいるから」
とか言ってたから彼女の成果を見に行って一安心するとしよう。
草木をガサガサと鳴らして湖畔に着くと、水面は穏やかな風に揺れて、遠くとも湖畔を色鮮やかに彩っていたオレンジ色の花は、どこか官能的で暖かさを感じさせる芳香を僕に届けた。
咲き乱れるその花の奥には湖岸に柔らかく座るユリコがいた。その姿は一輪で咲く純白の百合のように風景へと溶け込み、この湖畔を一層幻想的なものへと昇華させていた。
絵画の中に迷い込んでしまった、そんな気さえしてしまう。
「わぁ・・・」
僕は感嘆の声をあげるとはこういうことなんだと知った。
「いや なに座ってんの!?」
わぁ・・・じゃねえわ!絵画とか言い出して完全に雰囲気に呑まれてたけど。
「ウサギウサギ!獲れたの!?」
ユリコに駆け寄り聞くと、彼女はゆっくりと僕に振り向いた。
彼女はいつもの澄ました顔で何も言わなかった。
「なんか言って?」
「それ、私も参加してたの?」
え、嘘・・・これ合同作業じゃないの・・・?
「してなかったの・・・?」
「してなかったわ」
そうなんだ・・。それなら仕方ないね・・。
「じゃあ今から一緒にしてもらっていい?このまま僕一人だと一羽も捕まえられないよ」
「情けない男ね」
ぐうの音も出ない。
「一回見本見せてよ」
「仕方ないわね」
ユリコはゆっくりと腰を上げた。
情けない男に変わりはないかもしれないけど、あのウサギ達をを追いかけて捕まえるのは簡単でないはず。それに彼女は片腕しか使えないのだ。
ユリコはあそこ、と指さして歩き始めた。指が示した湖岸には水でも飲みに来たのか一羽のウサギがいた。
さっきまで僕の存在に気付くや否や、彼らはぴょんと逃げ出していたけれど、忍び足をするでもなく近付くユリコには警戒心の欠片も無い様子で、終いには「お、餌の時間?」とばかりにウサギの方から寄っていた。
ユリコは足元に寄ってきたウサギのお腹に右手を回して抱え上げる
「ほら」
「全然参考にならないんだけど」
ふれあい動物園かと思った。
「僕が近づいたらめちゃくちゃ逃げてくのになんで?」
「センスがないんでしょうね」
せっかく見本を見せてもらったけれどセンスの無い僕には何の意味も成さないものだった。
もう10羽目になるウサギに逃げられてしまった。まだ1回も触れることすらできていない。僕の膝を隠してしまう高さの草木が生い茂っているため、そもそも見つけることが一苦労だ。
幸いこのコクロ湿原には数多くのウサギが生息しているようでそれなりに見つけられてはいると思うんだけど、彼らは僕に気付くとすぐに駆け出して、そのうち草木に紛れ見失ってしまう。
純真だったころの僕に撫でられていたあのウサギ達は野生を失っていたのだろう。
しかし、このように何一つ成果を挙げられていないものの僕に焦りは無い。
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咲き乱れるその花の奥には湖岸に柔らかく座るユリコがいた。その姿は一輪で咲く純白の百合のように風景へと溶け込み、この湖畔を一層幻想的なものへと昇華させていた。
絵画の中に迷い込んでしまった、そんな気さえしてしまう。
「わぁ・・・」
僕は感嘆の声をあげるとはこういうことなんだと知った。
「いや なに座ってんの!?」
わぁ・・・じゃねえわ!絵画とか言い出して完全に雰囲気に呑まれてたけど。
「ウサギウサギ!獲れたの!?」
ユリコに駆け寄り聞くと、彼女はゆっくりと僕に振り向いた。
彼女はいつもの澄ました顔で何も言わなかった。
「なんか言って?」
「それ、私も参加してたの?」
え、嘘・・・これ合同作業じゃないの・・・?
「してなかったの・・・?」
「してなかったわ」
そうなんだ・・。それなら仕方ないね・・。
「じゃあ今から一緒にしてもらっていい?このまま僕一人だと一羽も捕まえられないよ」
「情けない男ね」
ぐうの音も出ない。
「一回見本見せてよ」
「仕方ないわね」
ユリコはゆっくりと腰を上げた。
情けない男に変わりはないかもしれないけど、あのウサギ達をを追いかけて捕まえるのは簡単でないはず。それに彼女は片腕しか使えないのだ。
ユリコはあそこ、と指さして歩き始めた。指が示した湖岸には水でも飲みに来たのか一羽のウサギがいた。
さっきまで僕の存在に気付くや否や、彼らはぴょんと逃げ出していたけれど、忍び足をするでもなく近付くユリコには警戒心の欠片も無い様子で、終いには「お、餌の時間?」とばかりにウサギの方から寄っていた。
ユリコは足元に寄ってきたウサギのお腹に右手を回して抱え上げる
「ほら」
「全然参考にならないんだけど」
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