シたい彼女と寝てたい彼女

とちのとき

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♡♀ 第九章 悶々彼女と芽生える彼女 ♀Zzz

20話

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 その日の夜、宿の部屋で三人は反省会という名の談笑をしていた。すると、メリランダがもじもじと落ち着かない様子を見せる。エルテはそれが今日一日気になって仕方がなかった。
 「メリランダ、今日様子変。体調でも悪い?」
 「体調といえば体調です。お二人に最初に会った時に、お楽しみを中断させられて以来数日が経ちます。そろそろ死活問題なのですよ・・・・」
 「男の人はよく我慢できないって聞く」
 「性欲が殿方だけのものなんて幻想ですよ」
 「じゃあ暫く一人にする?」
 「そ、それが、あの・・・・。私、一人じゃダメなんですよ。死体との営みに慣れ過ぎて・・・・。ここでは美少女の死体なんてそうそう手に入りませんし」
 メリランダは上目遣いでシホを凝視する。
 「なんでこっち見るの⁉わ、私だって我慢してるんだから・・・・!」
 「おやおや?という事は利害の一致ではありませんか、シホさん」
 「私は浮気なんてしないもん!何とか我慢できないの?」
 「このままではエルテさんにも手を出してしまいそうです」
 「そんなのダメに決まってるでしょ!」
 二人の今にも爆発しそうな何かを感じ取ったエルテはボソッと呟く。
 「シホ、まだ友達なんだから浮気にはならない」
 「いや、そういう問題じゃ・・・・」
 「集中力が落ちて戦闘で危険な目に遭う方が良くない。それにまたイライラして一人でどっか行かれたら困る」
 「それはそうだけど。が、我慢できるもん」

◆くそぅ、エルテは自衛のためにそんな事言ってるのかもしれないけど、これじゃあ欲望に負けそうじゃない。メリランダって変な性格を除けば普通に可愛い子だし。でもここで負けたら絶対エルテに嫌われる!

 メリランダはため息交じりの深呼吸をすると、とぼとぼと部屋から出ていく。
 「仕方ないですね。今日は隣の部屋で一人で寝ます」


 就寝時間。エルテと同じベッドで横になるシホが寝返りを打つと、隣で目を閉じる彼女の手に触れてしまう。慌てて自分の手を引くシホは小さな声で謝る。
 「ご、ごめん」
 「ん」
 「あ、起きてた?」
 「シホ、我慢良くない。私なら大丈夫だから」
 「でも私はエルテが・・・・」
 「メリランダの気持ちにも応えてあげて。いつも冗談交じりに話してるけど、シホの事好きなのは本当だと思う」
 「エルテ、自分が優しくないなんて嘘じゃない」
 「この前の・・・・。シホの胸を痛くしたお詫び」
 「そんなのいいって。私がエルテを好きな気持ちは変わらないよ」
 「シホがスッキリしてくれたら、同じ位置から始められる様な気がする。それにちょっとメリランダ可哀想だし」
 「もうそんな事・・・・。私は寝るよ。おやすみ」
 「ん」

 そうは言ったものの眠れずにいたシホは静かに部屋を抜け出すと、メリランダの所へと向かった。部屋のドアを開けると小声で尋ねる。
 「メリランダ、起きてる?」
 「まさかシホさんから来てくれるとは思いませんでした」
 シホは横になるメリランダに覆いかぶさると、彼女の口を手で塞ぐ。
 「お願い、エルテには何も言わないで」
 頷く彼女を見て手を退けると下から抱きしめられ、位置が逆転し今度はメリランダがシホに覆いかぶさる。
 「そんな無粋な事はしませんよ。嬉しいですよ、シホさん」
 「誰かとなんて初めてだから、そ、その、よろしく・・・・」

 隣の部屋で横になるエルテの頬を一粒の涙が伝う。
 「シホ、あの時こんな痛みだったんだ・・・・」

 いくらか時が経ち、シホは布団から抜け出ると乱れた髪を整え服を着る。裸のままスヤスヤと眠るメリランダに布団を掛け直すと、何とも言えない気持ちに襲われる。

◆なんだろう。確かにスッキリはしたけど、モヤっとした気分。
 メリランダに体を可愛がられてる最中もずっとエルテの事思ってたし、それがまたメリランダには悪いなとも感じた。それを打ち消すように私もメリランダを必死に貪ってた。
 エルテと目合わせられるかな。普通に喋れるかな・・・・。

 シホは自分の部屋に戻ると、無言のままベッドに入りエルテに背を向けて眠りについた。

 翌朝、シホが目を覚ますと先に起きていたエルテが目も前で微笑んでいる。
 「スッキリできたんだ?良く寝てた」
 「ふぇ?ふぇぇぇぇ!?こ、声聞こえてた⁉」
 「違う。さっき廊下で寝ぼけたメリランダが、最高の夜でしたって言いながらニヤニヤして全裸で歩いてたから」

 メリランダのバカぁぁぁぁ!

 シホはベッドの上でちょこんと座ると、エルテに頭を下げ、
 「ごめん。色々冷静になれなくて、つい・・・・」
 「私が促した。だから謝らなくていい」
 「メリランダにはちょっと悪いんだけど、あのね、なんか違かった・・・・。スッキリは出来たんだ。でも何て言ったらいいか・・・・。エルテもその・・・・、シたときは似たような気持ちだったのかなって」
 「そうかも。人の心って不思議」
 「朝からする話じゃないね。気分悪くしたらごめん」
 「だから謝らなくていいって言ってる」
 「そっか、ごめん。・・・・あっ」
 「もう」

 三人は身支度を整えるとリズの居るロビーへと集まった。宿の窓に小さな影があるのにメリランダは気づく。
 「あ、伝書コウモリ。お父様からでしょうか?」
 リズは窓を開けコウモリを籠へ戻すと、足に巻かれた手紙を広げた。そこには「メリランダを行かせてはならぬ」と書かれていたが、リズはすぐにクシャクシャに丸める。
 「お父様は何と?」
 「いつもの愚痴よ。それより、戦闘も大分マシになってきてたみたいだし、シホちゃん達の防腐効果が持つ期間と成長にかかる時間を考えたら、そろそろ頃合いかもね。深層部、行ってらっしゃい。あなた達を信じるわ。でもダメだと感じたらいつでも戻ってきなさい」
 「お姉様・・・・。シホさんもエルテさんも心の準備はいいですか?私はこの先どうなっても悔いはありませんよ!」

 シホとエルテは頷き、リズに今までのお礼を伝える。三人は荷物を背負うと宿を出た。

 玄関で見送るリズは手を振りながら微笑んでいた。
 「宿代は出世払いにしとくわー」
 三人の姿が見えなくなると、少し心配そうな表情を浮かべた彼女は一人呟く。
 「ちゃんと聞かせなさいよ。誰も見たことのない世界の話を」


 その頃、冥府の大口の先にある“巨龍骨の洞”と呼ばれる場所では、シホが落とした集魂の器から一つの魂が零れ出ていた。それが地面に吸い込まれると、何かを宿した様にそこの一部が胎動し始めた。
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