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♡♀ 第十章 思考する彼女とやっぱり大人な彼女 ♀Zzz
22話
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シホ達より背が低い小さな少女は、表情を変えることなく摘まんだ刃をそのまま砕いた。少女は不可視化スキルを使っていた短剣使いの首を掴み、地面へ叩きつける。姿を見せた男だったが、今の衝撃で脊椎でも折れたのだろう、既に息が無かった。
少女は懐から見覚えのある小瓶を取り出すと、それを鼻先でスンスンと嗅ぎシホの事を見る。
「見つけた。同じ匂い」
「え?あ、それ私が落とした集魂の器」
少女は何も答えず今度はエルテに近づきまた匂いを嗅ぐ。戸惑うエルテを少女は見上げて呟く。
「この匂いも覚えてる気がする」
メリランダがその言動を不思議そうに見ていた。
「誰です?この子。見たところ魔物でも冒険者でもなさそうですが、とんでもない怪力でしたね。私達に敵意は無いどころか助けられた様にも見えましたが」
シホは少女に、
「あの、助けてくれてありがとう」
「そうしなきゃいけない気がした」
「えっと、あなたさっきどこから現れたの?そして何者?」
少女は大穴の下の方を指差す。
「ここ登ってきた。僕は僕が分からない」
え?こんな高い崖を?
「分からない?名前とかは?」
「ミィ・・・・、違う。ティ、ティ、ティオ」
「ティオっていうの?」
「分からない。でもそれでいい」
「私はシホこっちはエルテ、そしてメリランダ。ティオは一人なの?他に仲間や誰かいる?」
「僕は一人。さっき土の中で目が覚めた。土から出たら僕の上にこれがあった。そしたら上からこれと同じ匂い感じたから登ってきた。これシホのなら返す」
「ああ、ありがとう」
埒が明かなそうな状況を見てメリランダが提案する。
「ええと、とりあえずティオさんで良いですか?何か分かるかもしれないので、ティオさんにこれから解析魔法を掛けますから驚かないで下さいね。あなたの怪力でびっくりされたらどうなるか分かりませんから」
メリランダがいつもの解析魔法を唱えると、ティオの体に弾かれる様に魔力が散霧する。
「あれ?こんな事初めてです。素性は聞き出していくしかないですか・・・・。ティオさんはこれからどうするのですか?」
「何かやらなくちゃいけない事があったと思う。でもそれがわからない。シホとエルテの匂い嗅いだら思い出せそうになった。だから付いて行く」
「ぐ、私だけ蚊帳の外なのは少し寂しいですね・・・・。どうしますか?お二人とも」
シホ達は頷く。
「いいんじゃないかな?それにティオ凄い強いみたいだし。ただ私達はずっと下の層を目指してるから、登ってきたのが無駄になっちゃうけどね。という訳でティオよろしくね」
ティオが仲間に加わり冒険者達に邪魔された休憩の続きを取っていると、エルテはシホの背中の刺し傷を見つめていた。
「シホ、作戦だったとはいえ、傷大丈夫?」
「うん、何ともないよ。ちょっと嫌な役押し付けちゃったね」
「それはどうでもいい。大丈夫なのは分かってたけど。でもやっぱりシホに何かあったらと思うと怖かった。必要としてくれる人がいなくなったら困る」
「あのさエルテ、それなんだけど。私、エルテの事が必要って言ったの間違ってたかなって」
「メリランダを選ぶ事にした?」
「違う違う!そういう事じゃないって!・・・・なんかエルテの心の弱い部分を利用してる様で嫌だなって思ったの。何て言うか、必要って言っちゃうと所有物みたいで・・・・。難しい事は抜きでさ、ただエルテには私の世界に居てほしいんだよ。誰かに必要とされなきゃ居ちゃいけないなんて悲しいから」
「シホ珍しく難しい事言ってる」
「私だって色々考えるんだよ⁉とにかくエルテは大事な大事な存在って事」
少し離れた所で聞き耳を立てていたメリランダがシホに近寄ってくる。
「そこに私の場所はないのですか!シホさん!あの熱い夜は嘘だったのですか⁉」
「もちろんメリランダも大事だって。ていうか、エルテもティオも居るところでそれ言わないで!」
「ふふ。私、メリランダは二回戦でも三回戦でもお待ちしておりますよ。何ならシホさんの子を宿しても良いとも考えております」
「もう、無茶苦茶な事言わないでよ」
エルテが純粋そうな視線をシホに向ける。
「子作り。シホ、隠し持ってる?」
「いや、生えてないから!ていうか、お風呂の時見てるでしょ!」
◆ん?もし秘宝が見つかれば男になったりできるのかな?そうすればエルテも素直に私を恋愛対象と見てくれるかも。でも私自身、女である事に満足はしてるしなぁ・・・・。
少女は懐から見覚えのある小瓶を取り出すと、それを鼻先でスンスンと嗅ぎシホの事を見る。
「見つけた。同じ匂い」
「え?あ、それ私が落とした集魂の器」
少女は何も答えず今度はエルテに近づきまた匂いを嗅ぐ。戸惑うエルテを少女は見上げて呟く。
「この匂いも覚えてる気がする」
メリランダがその言動を不思議そうに見ていた。
「誰です?この子。見たところ魔物でも冒険者でもなさそうですが、とんでもない怪力でしたね。私達に敵意は無いどころか助けられた様にも見えましたが」
シホは少女に、
「あの、助けてくれてありがとう」
「そうしなきゃいけない気がした」
「えっと、あなたさっきどこから現れたの?そして何者?」
少女は大穴の下の方を指差す。
「ここ登ってきた。僕は僕が分からない」
え?こんな高い崖を?
「分からない?名前とかは?」
「ミィ・・・・、違う。ティ、ティ、ティオ」
「ティオっていうの?」
「分からない。でもそれでいい」
「私はシホこっちはエルテ、そしてメリランダ。ティオは一人なの?他に仲間や誰かいる?」
「僕は一人。さっき土の中で目が覚めた。土から出たら僕の上にこれがあった。そしたら上からこれと同じ匂い感じたから登ってきた。これシホのなら返す」
「ああ、ありがとう」
埒が明かなそうな状況を見てメリランダが提案する。
「ええと、とりあえずティオさんで良いですか?何か分かるかもしれないので、ティオさんにこれから解析魔法を掛けますから驚かないで下さいね。あなたの怪力でびっくりされたらどうなるか分かりませんから」
メリランダがいつもの解析魔法を唱えると、ティオの体に弾かれる様に魔力が散霧する。
「あれ?こんな事初めてです。素性は聞き出していくしかないですか・・・・。ティオさんはこれからどうするのですか?」
「何かやらなくちゃいけない事があったと思う。でもそれがわからない。シホとエルテの匂い嗅いだら思い出せそうになった。だから付いて行く」
「ぐ、私だけ蚊帳の外なのは少し寂しいですね・・・・。どうしますか?お二人とも」
シホ達は頷く。
「いいんじゃないかな?それにティオ凄い強いみたいだし。ただ私達はずっと下の層を目指してるから、登ってきたのが無駄になっちゃうけどね。という訳でティオよろしくね」
ティオが仲間に加わり冒険者達に邪魔された休憩の続きを取っていると、エルテはシホの背中の刺し傷を見つめていた。
「シホ、作戦だったとはいえ、傷大丈夫?」
「うん、何ともないよ。ちょっと嫌な役押し付けちゃったね」
「それはどうでもいい。大丈夫なのは分かってたけど。でもやっぱりシホに何かあったらと思うと怖かった。必要としてくれる人がいなくなったら困る」
「あのさエルテ、それなんだけど。私、エルテの事が必要って言ったの間違ってたかなって」
「メリランダを選ぶ事にした?」
「違う違う!そういう事じゃないって!・・・・なんかエルテの心の弱い部分を利用してる様で嫌だなって思ったの。何て言うか、必要って言っちゃうと所有物みたいで・・・・。難しい事は抜きでさ、ただエルテには私の世界に居てほしいんだよ。誰かに必要とされなきゃ居ちゃいけないなんて悲しいから」
「シホ珍しく難しい事言ってる」
「私だって色々考えるんだよ⁉とにかくエルテは大事な大事な存在って事」
少し離れた所で聞き耳を立てていたメリランダがシホに近寄ってくる。
「そこに私の場所はないのですか!シホさん!あの熱い夜は嘘だったのですか⁉」
「もちろんメリランダも大事だって。ていうか、エルテもティオも居るところでそれ言わないで!」
「ふふ。私、メリランダは二回戦でも三回戦でもお待ちしておりますよ。何ならシホさんの子を宿しても良いとも考えております」
「もう、無茶苦茶な事言わないでよ」
エルテが純粋そうな視線をシホに向ける。
「子作り。シホ、隠し持ってる?」
「いや、生えてないから!ていうか、お風呂の時見てるでしょ!」
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