アンタレス 『電脳世界の恋愛とは』なんて言ってる暇はない

ウエノ ワカ

文字の大きさ
18 / 50
薔薇の香りと剣舞曲

18 掘って掘られる。まさかのそっち系?

しおりを挟む
 街を仕切る影の三人組、彼等の正体はアンタレスONLINEのエメラルドサーバーを管理するゲームマスター、略して 《GM 》 なのであった。

 △▽ △▽ △▽

 ラヴィとモフモフうさぎ、そしてロビーの3人は、やっとアクエリアの街の中、レンガが敷き詰められた大通りを歩く事が出来ていた。

(凄いなぁ、本当に細部までしっかり作られているじゃん。見たところ、この辺りはお決まりの中世ヨーロッパの古い街並みを再現したものだ。どこの国系かな? よくわかんないけど)

 今風に言えばインスタ映えする景色が当たり前のように溢れている。そして凄い事があって、人々が普通に生活をしているって事だ。

 AIが搭載されたそれぞれが独立したNPCは、敢えてプレイヤーと区別がつかないように、プレイヤーと同じネーム表示が頭の上にされている。だから、自分達と同じ冒険者かと思って近くに寄って行くと、普通にこの世界の日常会話をしているのが聞こえて、そこで初めてNPCなんだって気がついたりする。

 3人が歩く通りの両側に、酒場、飯屋、道具屋、宿屋などが増えて来た。街の外周部にあるこの通りには、新参者が利用する安っぽい店が軒を並べ、客を呼び込む人々が通りに立っていたりしていた。


──────────────
 モフモフうさぎ>ラヴィちゃん、キョロキョロしすぎ

 ラヴィアンローズ>いやいや、モフモフさんもだろっ

 白刃のロビー>こんにちは~

(あっ、ロビーちゃんが文字チャットで店先のNPCに話しかけた)

 アポロンビターン>やぁっ、お嬢さんなにか用かい?
──────────────


(えっ? 声で返事した。このNPCって普通に喋れるのか!)

 俺とモフモフさんも会話に加わろうと、NPCに合わせてチャットを繋ごうとした。


──────────────
 白刃のロビー>NPC?

 アポロンビターン>NPCだとっ! まだ声で喋れないくせに随分な物の言い様だな。ケツの青い姉ちゃんよぉ、オメェなんぞに用はねぇ、明後日来なっ!
──────────────


 アポロンビターンは去って行った。
 ── 呆然とした三人。


──────────────
 モフモフうさぎ>マジか

 ラヴィアンローズ>すげぇ

 白刃のロビー>コロス、あのダサ坊

(えっ、なんつった? ロビーちゃんがコロスって)

 白刃のロビー>みんなパーティー組もうよ、モフモフさんもそろそろメモのお話の続きがあるでしょ

(わおっ、ロビーちゃんの素が垣間見えた気がしたぞ)

 モフモフうさぎ>そうだった。いい加減聞いてくれー

 ラヴィアンローズ>掘るより掘られる方がって話だっけ?

 モフモフうさぎ>ちがーう、身体の動きのシンクロ率の話だよ!
──────────────


 △▽ △▽ △▽


 スワンは、ラヴィアンローズ達の現在位置をマップで確認しながら進んでいる、それと同時にラヴィアンローズのログも辿っていた。


 OL /UN @ラヴィアンローズ
 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
 >もうちょっとそのままでいいかな?

 >次いくよー、はい動かないでね

 >いいよっ、そうそう

 >はいっ、お互い見つめてっ! オッケー、いいね、いいねっ

 >ロビーちゃん、よそ見しない、いやっ、それもいいっ

 >いやいや、モフモフさんもだろっ

 >すげぇ

 >掘るより掘られる方がって話……
 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡

「なあ、ちょっと聞いてくれる」

 スワンは歩みを止めて、一旦店と店の間にある路地に身を寄せた。

「なんだ?」

 面倒臭そうにRが返事をした。

「小声で話すから」
「わかった」
「了解」

 狭い路地に無理やり3人がひっついてごそごそやり始めた。側から見ると、物凄くアブナイ男3人が居る。

「あのラヴィアンローズの会話のログのリンクをカルとRにも繋いだから、見てくれないか」

 スワンが言った後、少し時間を開けてRがログを読んだのか腕を組んで言った。

「見たぞ、本当のあっち系か? 」
「周りも同類なのか? 掘るとか掘られるとか言ってるぞ」

 カルがRの尻を触ろうとする。

「このまま放置でもいいんじゃないか、こんなの」

 カルの手から逃げながらRが言った。

「いや、それは出来ませんけど。真性の〇マでしょうね。凄く楽しそうに話をしてますし……」

 3人で顔を寄せて話す。

「刺激しないように発言に気をつけような」
「了解です」
「俺喋らんわ、ボロ出しそうだから。音声切っとく」

 Rが口にチャックを閉めるフリをしてみせた。

「基本、俺が話しますから、では行きましょう」

 スワンは真性のネカマ、《ラヴィアンローズ》とのお詫び交渉の第一歩を踏み出したのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

異世界転生してしまった。どうせ死ぬのに。

あんど もあ
ファンタジー
好きな人と結婚して初めてのクリスマスに事故で亡くなった私。異世界に転生したけど、どうせ死ぬなら幸せになんてなりたくない。そう思って生きてきたのだけど……。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...