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門出
しおりを挟む昨日の気持ち悪い奴は置いといて、今日はもう荷物もまとめたし、まとめたといっても衣類と食べ物を分けてもらったわけだが…そろそろ出発するか。
「セレナの寝顔だけしか見れなかった。泣き腫らした顔してたな…」
セレナの寝室のテーブルに手紙を残し、領城を後にする。お世話になったメイドさんや料理長さんにも手紙をドアに挟んで来た。
「よし、行くか!」
城門前だったよな、ギルが待ってるらしいがどこだろう?
「リタ!おはよう!」
振り返る。
ンンン?!キラキラロリコンイケメン!?
なんで俺の名前を知ってるんだ?しかも待ち合わせの場所まで!
「僕も旅に連れてって♪」
「お断りします!」
「リタ!遅くなってすまない!ん?兄さん、何してるんだ?」
兄さん?は?全然似てないじゃん!
「ギル!僕はリタと旅行したいんだ!」
「絶対やだ!死んでもやだ!」
「そんな事言わないで…どうしてだい?」
急にしゅんとされる。可哀想に見えるけどタダのロリコンだからなぁ。
「取り敢えず、兄さんは強いよ!リタ!領内一と言っても良いくらいに」
「性格がぁ…」
泣き言を言う。
「とても優しい兄さんだよ?血は半分しか繋がってないけど!」
「お願い!」
なんかギルにまで押し付けられてる感がある。
「分かった。」
折れた。心も折れたが、信念も折れた。
可愛い女の子とウハウハ旅行がぁ…男としては夢があるだろ?まぁ、か弱い幼女の旅だから強い用心棒いても良いけど…
「リタ、1週間ちょっとセレナと一緒に居てくれてありがとう!少しだけど、商人用の中古で悪いな…荷馬車としばらくの食料、薬等入っている。貰ってくれ!」
1週間の賃金としては高くないか?この街はこんなに稼げるのだろうか?それともギルの好意なのか?
「ありがとうございます。ギルもお幸せに!また近くに来たら寄ります。」
「大歓迎だ!兄さんをよろしく!」
馬車の手網はロリコンに握らせ荷台に乗り込みギルに別れの手を振った。遠くに領城の部屋の辺りから花びらを飛ばすセレナの姿が小さく見えた。涙が出た気がした。
「はいや!所でリタ、何処に向かうんだ?」
「その前に名前を聞いても?」
ギルの腹違いのお兄さんだ、仲間なんだし色々知っておきたいからな。
「エルフォード=ランス、父は元領主母は、夜のお店で働いてて3年前に亡くなったよ。今年22歳になる。知りたい事は他にない?」
「ランスって母方の名前?」
「そう、父は援助はしてくれたけど容認してくれなかったからね」
荷台から顔を出しながら話しを聞く。
「実は良いやつ?」
「うん?所で次の目的地は?」
「聖都、アロウス」
「アロウスってガチガチに宗教都市だよ?何しに行くの?」
「秘密!」
アロウス…信仰心の強いもの達が居る街。秩序、祈りとても厳しい教えもある。アロウスの神はあの夢に出てきたもふもふでアロウス神と呼ばれる。神獣で立派な獣の姿をしていたのに、夢に出てきたもふもふとは全然似ていないので神を探すのに書物を1週間も読んでいた。
「リタについても教えてよ!」
「エルと呼んでも?」
「いいよ!」
まだロリコン疑惑が晴れないため少し離れて話す。馬車の荷台にちょうどいいクッションが入っており、そこにちょこんと座った。
「私は転生人なんだ。」
「転生か、なるほど!だから口調がしっかりしてるんだね。」
うんうんと頷く。
「転生人って何か特別な力を授かるらしいね!」
「そうみたい」
「今はでも、強い魔物も魔王も居ない平和な世界だよ?昔は魔王も居たみたいだけど今封印されてるし。」
昔話しは有名なのかな?
「平和な世界も悪くない!魔物を討伐する気もないからなぁ」
「何か目的でも?」
「せっかく来たファンタジーなんだ!平和ならエルフとかドワーフとか精霊とか色々会ってみたい!」
「そっか、気まま旅ってとこだな!」
「そういう事!」
なんか、エル良い奴だな!嫌いじゃなくなってきた!
「行きますか!アロウスの街!」
「おー!」
なんかノリノリになってきた。
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