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神獣の卵
しおりを挟む「え?もしかして…」
現れた途端ヒビの入った卵に凝視するリタと、いきなりの事にあたふたするえる、横でスヤスヤ寝ているルシア。
「キューィ…」
「あー!産まれる!どうするのさエル!」
「ぼ、僕も分かりません!」
2人の騒動に寝ていたルシアが起きて卵を温めようと抱えた。
「頑張って!」
「キュ…キューィ!!」
大きくヒビが入って産声を上げる神獣の子ども。表面がまだ濡れていてもぞもぞしているだけだ。
「エル!お、お湯と綺麗な布を持ってきて!」
「わ、わかった!」
取り敢えず人間の出産をTVのドキュメント番組で見ていたリタがエルに指示しながら産まれた神獣を寝かせ付けるまで落ち着いた。
「かぁわいいね!」
ルシアが神獣の子どもの寝顔を見ながら笑顔で呟くも2人共朝から疲れたとため息をもらす。初めて見たルシアがお母さんで、2番目に見たリタがお父さんだと神獣は思っているらしいが…
「神獣って何食べるんだろう?」
見た目は鷹みたいな大きくなりそうな翼とライオンみたいな感じの組み合わせだ。
「肉か、虫かな?取り敢えず、僕は少し休んだら市場に行くよ!」
「待って、私とルシアも行くよ!」
「誰が神獣見るの?」
「モナに無理を言って頼もう!ルシアの服と私の服、エルは分かんないけど神獣の首輪とかお買い物しなきゃ!」
エルはリタの言葉に合意して昼過ぎから街で買い物する事にした。
「神獣の子どもの名前はどうする?」
街の市場までの道のりで歩きながらエルに質問する。
「ルシアちゃんは名前決めてる?」
「ルシアきめていーの?」
エルとリタに手を引かれながら嬉しそうに言葉を返す。
「んー、ナッツ!」
「いいね!ナッツ!」
小さな子にしては可愛い名前を付けるルシア
「けってーい!」
まず向かったのは服を扱っているお店にやってきた。聖都なので割と薄い服が多いが、デザインはとても可愛い。3人分の服を買い、次に人に懐く獣の道具を扱うお店に向かう。
「ルシアはエルしゃんとリタお姉ちゃんがだぁいすきです!」
一気に住む世界が変わり優しくしてくれる2人に満面の笑みを向けながら握っている手が少し強くなる。
「私も大好きよ」
「ありがとう!ルシアちゃん!」
リタはルシアの頭を優しく撫でた。
到着した道具屋さんでは、獣用の首輪とエサ等を買った。
「リタ、話しちょっといい?」
ナッツとルシアが寝静まった後、安眠効果の高いと言われるお茶を2つ手に持ったエルがリタに話しかける。
「どうしたの?」
「この街でのリタの用事は終わった?」
寝ているルシア達に気を遣ってか、声のトーンを落として会話する2人。
「まぁ、一応は終わったよ!」
「僕もね、資金は調達してきたんだ!」
「へ!?いつの間に?って、お金集めてたの?」
「うん、リタは見た目子どもでしょ?お仕事できないからねー!」
驚いて一旦立ち上がったリタがゆっくり腰を下す。
「次の街なんだけどさ、僕に提案があるんだけど…」
「エルが次行き先決めていいよ、私はこっちの地理とかも分かんないし真っ先に行きたい所も行っちゃったし!」
「僕が行きたい街は…水の都、カシストガーデンって所なんだけど…」
エルの持ってきたお茶を啜りながら面白そうな言葉を聞くと胸が踊った。
「何それ!めっちゃファンタジー!」
「ファンタジー?って何?まぁいいか!水の都はその名の通り水の豊かな土地が発展して街の中の移動手段も舟と陸両方あって、大きな噴水が有名だったりとか本当にいい所なんだよ?」
深夜に寝静まった中話すことでは無いくらい2人共盛り上がって話しているが声は小さめだ。
「決まりだね、次は水の都カシストガーデン!」
次の日に水の都までの食料を積み荷に乗せ、身支度を整えるとモナの所に挨拶しに行く。
「モナ、急なんだけど…今日出発するんだ!」
「え、皆さんともうお別れですか?」
寂しそうな顔するが、客商売なので少し涙目だが笑顔に戻る。
「また来ます。旅はずっと続けますし」
「お気をつけて下さい!助けてくれたお礼も出来ず…」
エルがジャケットな胸の内ポケットからハンカチと一緒に小さくラッピングされた物を取り出す。
「ありがとうございます。何ですか?」
「開けてみて下さい!」
貰ったハンカチで涙を拭いながら小さなプレゼントを開けると中には緑色の鉱石を使った可愛いペンダントが入っていた。
「これ…エメラルドですか?」
鉱石の名前は地球と同じなんだとリタは思った。
「モナさんの髪と目の色と一緒ですね!」
「ありがとうございます、また来てください!」
「はい!」
荷物を纏めて最後まで見送ってくれたモナに手を振って宿屋を後にした。街中の馬車を返して、自分達の馬車に乗り換え聖都アロウスを後にする。
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