銀色童話

黒池 火魚

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春…真っ只中、木村さんとこのリビングでお昼寝最中…
ぽかぽかと温かい季節で一番好きなんだ。

あ、僕ね三毛猫の剛っていうの。
男の子みたいな名だけど、一応雌なんだよ。
ご主人様が、強くなれっていう意味でつけたっていうんだ。

まだ春の季節を自分では体感してないんだ。

体感すると世界が変わるって良く言ってるけど…ご主人様や皆は、早くその季節を迎えられるといいなって言うんだ。
別にそんな事は、どうでもいいって思ってるんだけどねぇ…
だってさ、面倒臭そうなんだもん。
周りの猫達を見て、そう思うんだ。
だって…求愛の鳴き声を上げて…返事をして貰うまで、じっと待ってるんだよ?
僕はそんなの嫌だな~って思う。
それにね、僕は雌だから、求愛を待つんだって。
自分からも求愛できるといいのにねぇ…
小さく溜息を零してしまう。こんな話はもおいいや。

あ、ご主人様は…木村正弘って言う人で、まだ小さい頃に木に登って降りられなくなった僕を助けてくれた優しい人なんだ。
茶色い髪で、瞳も優しい茶色の…それに、言葉も判ってくれる珍しい人…でも口調は凄く悪いんだけど。

「お、剛…正広、起きたみたいだな。
 腹減ってるだろ?」

そして…声を掛けてくれた人も、僕を助けてくれた人。名前は拓哉さんっていうんだ。
あの時…木から僕を降ろそうとしてたご主人様が足を滑らせて一緒に落ちたのを助けてくれたんだ。
凄く逞しくて、カッコいいんだよ。

僕にとっての一番は違うんだけど…

「にゃ~ん。」

ごろごろと鳴きながら、足元に擦り寄る。
とっても優しくて、ご飯も美味しいんだ…

「ん~拓哉、今日のご飯何だよ?」

むにむにと顔を擦りながら、ご主人様が尋ねた。
かりかりと窓ガラスを引っかく音がして、そっちを見ると(シャム雑種って言うのかな?)、光が居た。でも見た目はシャムで…でも、この付近では一番カッコ良いんだよ。

「にゃぁぁ~…」

僕の声に反応したのはご主人様。

「あ…光が来たのか。
 剛…外出たいか?」

じっと見てると、にっこりとご主人様は笑って窓を開けてくれた。

『こぉちゃん~
 来てくれたんだ~』

此処は山の真中くらいにあるお家。
でもって、拓哉さんの持ち物らしい…この裏山付近一帯もなんだって。そこら辺はよく判らないんだけど…

でも、あまり不審な人は近寄ってこないからいいんだけどね。
光ちゃんはな、ふもとに住んでる堂本さん家の飼い猫。嬉しくて、擦寄って毛繕いをすると、

『ああ…見回りの時間だから…』

優しい声で言ってくれる。

光ちゃんはね、この山のボスなんだよ。
強くてすっごく優しいの…だから時間になると見回りに来るんだ…
こうして会えるのはすっごく嬉しい。

ご主人様が最初ね…

『俺がいろいろと教えてもいいんだけど、種族が違うから困るだろっ』

…そう言ってね…光ちゃんに会わせてくれたんだ。

光ちゃんから全部教わったの。
獲物の捕り方、毛繕いの仕方も全て…

今まで出会っただれよりも一番、好きなの。

『一緒についてってもいい?』

僕の言葉に光ちゃんは、優しく頷いてくれた。思わず嬉しくてぱぁっと自分でも表情が変わったの判るけど…笑ってしまう。

『ちょっと、待ってて。
 今すぐ…ご飯食べちゃうから…

 あ、それとも光ちゃんも一緒に食べる?』

そういうのと同時に頭の上から、

「あ…光、来たんだな。
 ご飯食べてくだろ?」

ひょいと抱き上げられて、そう言ったのは拓哉さん。

「にゃん…」

考えるように光ちゃんが返事するのと同時に、拓哉さんが食器のあるところまで連れてってくれた。
食後の毛繕い…丁寧にしてから、時間を見れば…そろそろ見回りの時間。

『そろそろ、行くか。』

コクンと頷いて、一緒に家を出てった。
広い裏山の中…ノラで雑種(三毛と何かを足したような毛色)の、仲良しの准がちょっと向こうに居る。

『あ~准だぁ~』

側に行こうとすると、光ちゃんがそう言って、するりと向こうに行ってしまう。

『剛、先に行くぞ。』

慌てて、近寄ってた僕は、急に止まって、

『准~またね~』

思わずそう声だけを掛けて、慌てて光ちゃんを追い掛けてく…
光ちゃんの動きって凄く綺麗なんだもん。
今日は一緒に居たいって思ってるんだから…

『…元気か?』

茶虎の健が出てきて、そう言うからコクンと頷いた。

『健、新しい奴入ってきたか?』

ボスである光ちゃんの言葉にちょっと健は首を傾げてから、左右に振る。

『いいや…とりあえず、変な奴は居ないよ。
 なぁ…剛、
 今日ご飯食べに行っていいかなぁ?』

その言葉にコクンと頷く。
拓哉さんは沢山猫が来てもいいように、ご飯沢山作ってくれるんだ。

『じゃぁな…剛。』

光ちゃんは自分の家に帰ってく。
ずっと一緒に居たくても居る場所が違うから…でも会えるだけでいいんだ。

『うん…またね、光ちゃん…
 健、行こう。』

家でゆっくりご飯を食べたら、健はすぐに帰っちゃって…つまんないから、リビングでころりと横になって寝てた。
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