銀色童話

黒池 火魚

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光ちゃん…何処にいるの?

こんなにも会わなかった日は無かった…

小さな頃から僕に色々な事を教えてくれた・・・とてもとても、大切なひと

他のだれにも変わりになんて、なれないのに…

どうして、戻ってこないの?

光ちゃんが逃げるっていうんだったら、僕が追いかけて探し出す。

…お願いだから、生きてて。

あんな怪我したまま、僕を放って逃げるなんて許さないから。

光ちゃんには教えてもらいたい事あるし、ずっと傍にいたい。

僕を庇って怪我したんだから、治るまで光ちゃんを見張る。

どんなにお医者様を嫌がってても、絶対に連れてってみせるんだからね。
治療してもらわなくちゃ、ダメだよ。

それにご主人様だって、そう思ってるんだよ。

昔から言うように…寿命が近いひとは姿を消すって聞いたけど、そんなの絶対にさせないから。

光ちゃんが死を望んでても、絶対にこっちに戻してみせる。
絶対に…

だから、早く探さなくちゃ。

残酷な死神の刃が光ちゃんを捕まえる前に・・・


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焦る気持ちとは裏腹にこの身体はなんて動きづらいの。

いつもの身体だったら、こんな道平気で入ってゆけるのに・・・

小さな草が走ってる足に絡み付いて、チッと肌に赤い線が走る。

「つっ…」

鋭い痛みが一瞬走るけど、これくらい…平気。

光ちゃんはきっともっと痛かったはずだもん。
この身体のあちこちは擦り傷だらけだけど、癒してくれる光ちゃんがいないから、治そうとしないの。

ご主人様が消毒しようとしてくれるんだけど、そんな時間あったら、光ちゃんを探しに行ったほうがいい。


ご飯食べる時間すら勿体無いって思う。

ごしっと流れる汗を手の甲で拭い取った瞬間、不意に思い出したんだ。

もしかしたら…あそこにいるのかもしれない・・・

…一度だけ聞いた事のある話しだから、もしかしたら…それに、まだ探してない場所だったし・・・

どうか…其処に居て・・・
其の思いのままに、走り出した。 
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