白い結婚をしたら相手が毎晩愛を囁いてくるけど、魔法契約の破棄は御遠慮いたします。

たまとら

文字の大きさ
4 / 14
結婚への道 ヴォルフ

2 ワンでオンリーな侍従

しおりを挟む
ヴォルフの専属の侍従はセルジオだけだ。
臣籍降下確定の第二王子とはいえ、これは有り得ない。

実際ご学友選別のお茶会の時は、子供がわらわらと集まった。
王家との繋がりを求めてその親達も目の色を変えていた。
次男以降が多かったが、金魚の糞のようにヴォルフの後をついてまわった。

それがセルジオ一人になったのは、王妃つまり母上様が身罷った為だ。
お二人で実家の領地に向かった時に、王妃は事故に巻き込まれて旅立たれた。
その通夜の席で、事故の後寝込んでいてようやく姿を見せたヴォルフに兄のアーティバルトは「お前のせいだ!」とはきゃあがったのだ。
テンプレである。

子供が自分より幼いものに罪悪感と責任を押し付ける馬鹿馬鹿しさよりも、それを止めない王にセルジオは引いた。

王族は一気に死亡するのを防ぐために行動を分ける。
子供の王太子は自分がのけものにされた気がして癇癪を起こしたんだと思う。
でも、それを止めたりフォローしない大人ってどうよ。

王妃の死は王のタガを弾き飛ばした。
周りはどうしていいかわからなくて右往左往し、それを見た貴族は日和見で動く。
王太子の顔色を読んだ奴らは潮が引くようにヴォルフの周りから消えていった。
で、残ったのはセルジオだけだった訳だ。

セルジオは分家として渡せる爵位も金も無くついでに領地も無い貧乏な男爵家の三男だったが、オロオロするだけの家に三下り半を叩き付けて家を出た。
どうせ長男次男は日和見の凡庸で、将来関わることもないと決断した。
そしてオンリーな侍従としてヴォルフに仕え始めた。

臣籍降下すれば王族なら公爵となる。
仕えるには旨みあるじゃん!と周りが気がついた時には、もうヴォルフの心はシャッターが降りていた。
そんな訳で専属はセルジオ一人なのだ。

人に取り囲まれチヤホヤされるアーティバルト王太子と違い、ヴォルフは「おまえのせいだ!」をしっかり受け止めて頭脳も身体も鍛え始めた。
真面目である。
何気にヴォルフとの接触を避ける王太子を
セルジオは意地悪く見ていた。
つまり。はっはっはこれで頑張る弟が益々出来る男になったら、お前のコンプレックは山よりも高く谷よりも深くなっちまうんだぞーと見ていた訳だ。

チヤホヤされる割に我儘も言わずに過ごす兄と寡黙な弟。
そんな関係がどんでん返しで荒ぶれたのは王太子の成人祝いの晩餐会だった。
(ちなみに学校の寮生活のヴォルフは未成年で主席していない)

隣国リフェールドのミシェイラ姫がアーティバルト王太子に一目惚れをしたのだ。
脳味噌の割合が筋肉と恋愛で占められていると影口をたたかれるリフェールド人は、感情を全面に押し出して来る。
シャイでおとなしめのわが国とは、温度差がちょっとね。と思えた。
リフェールドは姫のおねだりに関税とか輸入とか軍事力を飴と鞭にして迫った。
ミシェイラ姫は豊かな黒髪とキラキラしたルビーレッドの瞳の美少女で、なんやかんやと婚約が締結された途端に、馴染む為にと国入りしてきた。

王太子16歳、ミシェイラ姫13歳。
綺麗な二人のイチャラブに国中が沸いた。
婚約せんべい。
婚約まんじゅう。
婚約ノート。
婚約えんぴつ。
婚約缶バッチ。 etc。
完全ウェルカム感と便乗商法で景気が一気に上向いた。

そんな賑わいから隔離された学校の寮でヴォルフはマイペースに過ごしていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる

塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった! 特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。

30歳まで独身だったので男と結婚することになった

あかべこ
BL
※未完 4年前、酒の席で学生時代からの友人のオリヴァーと「30歳まで独身だったら結婚するか?」と持ちかけた冒険者のエドウィン。そして4年後のオリヴァーの誕生日、エドウィンはその約束の履行を求められてしまう。 キラキラしくて頭いいイケメン貴族×ちょっと薄暗い過去持ち平凡冒険者

バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?

cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき) ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。 「そうだ、バイトをしよう!」 一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。 教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった! なんで元カレがここにいるんだよ! 俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。 「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」 「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」 なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ! もう一度期待したら、また傷つく? あの時、俺たちが別れた本当の理由は──? 「そろそろ我慢の限界かも」

信じて送り出した養い子が、魔王の首を手柄に俺へ迫ってくるんだが……

鳥羽ミワ
BL
ミルはとある貴族の家で使用人として働いていた。そこの末息子・レオンは、不吉な赤目や強い黒魔力を持つことで忌み嫌われている。それを見かねたミルは、レオンを離れへ隔離するという名目で、彼の面倒を見ていた。 そんなある日、魔王復活の知らせが届く。レオンは勇者候補として戦地へ向かうこととなった。心配でたまらないミルだが、レオンはあっさり魔王を討ち取った。 これでレオンの将来は安泰だ! と喜んだのも束の間、レオンはミルに求婚する。 「俺はずっと、ミルのことが好きだった」 そんなこと聞いてないが!? だけどうるうるの瞳(※ミル視点)で迫るレオンを、ミルは拒み切れなくて……。 お人よしでほだされやすい鈍感使用人と、彼をずっと恋い慕い続けた令息。長年の執着の粘り勝ちを見届けろ! ※エブリスタ様、カクヨム様、pixiv様にも掲載しています

悪役令嬢と呼ばれた侯爵家三男は、隣国皇子に愛される

木月月
BL
貴族学園に通う主人公、シリル。ある日、ローズピンクな髪が特徴的な令嬢にいきなりぶつかられ「悪役令嬢」と指を指されたが、シリルはれっきとした男。令嬢ではないため無視していたら、学園のエントランスの踊り場の階段から突き落とされる。骨折や打撲を覚悟してたシリルを抱き抱え助けたのは、隣国からの留学生で同じクラスに居る第2皇子殿下、ルシアン。シリルの家の侯爵家にホームステイしている友人でもある。シリルを突き落とした令嬢は「その人、悪役令嬢です!離れて殿下!」と叫び、ルシアンはシリルを「護るべきものだから、守った」といい始めーー ※この話は小説家になろうにも掲載しています。

運命の番はいないと診断されたのに、なんですかこの状況は!?

わさび
BL
運命の番はいないはずだった。 なのに、なんでこんなことに...!?

幼馴染が結婚すると聞いて祝いに行ったら、なぜか俺が抱かれていた。

夏八木アオ
BL
金髪碧眼の優男魔法使いx気が強くてお人好しな元騎士の幼馴染の二人です。

振られた腹いせに別の男と付き合ったらそいつに本気になってしまった話

雨宮里玖
BL
「好きな人が出来たから別れたい」と恋人の翔に突然言われてしまった諒平。  諒平は別れたくないと引き止めようとするが翔は諒平に最初で最後のキスをした後、去ってしまった。  実は翔には諒平に隠している事実があり——。 諒平(20)攻め。大学生。 翔(20) 受け。大学生。 慶介(21)翔と同じサークルの友人。

処理中です...