白い結婚をしたら相手が毎晩愛を囁いてくるけど、魔法契約の破棄は御遠慮いたします。

たまとら

文字の大きさ
7 / 14
結婚への道 ヴォルフ

5 ビリビリウェディング

しおりを挟む
「頼むセルジオ」

アーティバルト王太子の頭頂部が見える。
王太子は実務机に両手を付いて、セルジオに頭を下げていた。
これもちろんダメな奴だ。
たとえ人払いされた上に魔道具で結界が張ってあってもダメな奴だ。

王は神の代理人として君臨している。
王太子って事は次の王様で、もうすぐ現人神になる方だ。
自分のように男爵家から飛び出して将来平民まっしぐらな男に、こんなおつむのてっぺんは見せちゃダメな部位だ。

「頼むセルジオ、結婚させてくれ」

誰にも見せれないその部位を、お願いという脅迫に使う王太子。
やるもんである。

アーティバルト王太子はなんか苦労人属性の健気君でいい奴だった。
しかも何故かセルジオをリスペクトしている。
自分専属の侍従も側近も、勿論伴侶であるミシェイラにも腹の内を晒していない。
公明正大清廉潔白そして夜は野獣のように激しいというなんか物語にありそうな外面を被って生きている。その三浦半島の深海のようなストレスはいかばかりかと思う。
思うだけだが。

かつてアーティバルトは母親の死で全てを失った。
強固だと思ってた足元がさらっさらな砂だとわかってしまった。
信じてた仲間はお追唱だけの役立たずだった。

王妃というストッパーの外れた王は、宰相達がなんとか外交問題にならないように病気として隔離させて鳴りを潜めさせているくらいに腐っている。
支え合うのは弟だけだというのに、子供らしいプライドで意地を張ってるうちにミシェイラという爆弾がきてしまった。
アーティバルトにとって、たった一人で家から飛び出してでも弟の隣に立ったセルジオは灯台のように眩く映っていた。

成人しても第二王子としての公務に就かせない。
まるで冷遇しているよううに見えるが、それが弟を守っている事だとセルジオはわかっていた。

「ミシェイラが身籠ったのだ。頼む」

そんなわけで王太子の頭頂部は見せられていた。


ヴォルフは王太子妃の懐妊を機に臣籍降下した上結婚すると決まっていた。
領地は母親が持っていたグランハルト。
幸いリフェールド王国とは王都を挟んで向こう側だ。

ミシェイラは"勃ったらビリビリ君"のせいでヴォルフを手に入れていない。
でも未練があって虎視眈々と狙っている。
侍らせたいが臣籍降下して結婚するなら、自分の腹の子供の為にヴォルフは同性婚をしろと言い出した。…あのクソ女。
そんな訳でアーティバルトは出産の前に結婚して領地に逃げて欲しいと言って来た。


「異性だろうが同性だろうが結局は白いままだろうがぁ」

ヴォルフは正直やさぐれていた。
嫁が来ても手も握れないのだ。
キスなんかしてうっかり勃ったらスプラッタな未来しか見えない…。

「白いって割り切って、1M以内に来ない奴にしてくれ」

ヴォルフは鬱憤を晴らすように、契約条件を並べた。
これだけ言って結婚する奴なんて、爺様か金目当てしかいないってくらい並べた。
セルジオも調子に乗ってズラズラ書いた。
スプーンを舐めるなまで書いた。
興に乗って書き連ねたら1Mにもなる魔法契約書が出来上がった。
セルジオはそれでも当然だと思ってた。
だってイケメンで地位もある好物件だぜ。
入れ喰い間違いなしのありがたい物件なのだ!

だがしかし、好物件とは近くにありて思うモノ。
近くても触れも嗅げもしない生殺しの物件はただのお荷物でしか無かった。

釣書の説明をしていくと、相手の顔が引き攣っていく。
まともな人なら二の足どころか尻尾を巻くのに充分なモノだとじわじわとセルジオは理解していった。
それがわかった時pは既に遅く、ヴォルフの結婚はなかなか決まらなかった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる

塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった! 特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。

30歳まで独身だったので男と結婚することになった

あかべこ
BL
※未完 4年前、酒の席で学生時代からの友人のオリヴァーと「30歳まで独身だったら結婚するか?」と持ちかけた冒険者のエドウィン。そして4年後のオリヴァーの誕生日、エドウィンはその約束の履行を求められてしまう。 キラキラしくて頭いいイケメン貴族×ちょっと薄暗い過去持ち平凡冒険者

バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?

cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき) ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。 「そうだ、バイトをしよう!」 一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。 教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった! なんで元カレがここにいるんだよ! 俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。 「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」 「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」 なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ! もう一度期待したら、また傷つく? あの時、俺たちが別れた本当の理由は──? 「そろそろ我慢の限界かも」

信じて送り出した養い子が、魔王の首を手柄に俺へ迫ってくるんだが……

鳥羽ミワ
BL
ミルはとある貴族の家で使用人として働いていた。そこの末息子・レオンは、不吉な赤目や強い黒魔力を持つことで忌み嫌われている。それを見かねたミルは、レオンを離れへ隔離するという名目で、彼の面倒を見ていた。 そんなある日、魔王復活の知らせが届く。レオンは勇者候補として戦地へ向かうこととなった。心配でたまらないミルだが、レオンはあっさり魔王を討ち取った。 これでレオンの将来は安泰だ! と喜んだのも束の間、レオンはミルに求婚する。 「俺はずっと、ミルのことが好きだった」 そんなこと聞いてないが!? だけどうるうるの瞳(※ミル視点)で迫るレオンを、ミルは拒み切れなくて……。 お人よしでほだされやすい鈍感使用人と、彼をずっと恋い慕い続けた令息。長年の執着の粘り勝ちを見届けろ! ※エブリスタ様、カクヨム様、pixiv様にも掲載しています

悪役令嬢と呼ばれた侯爵家三男は、隣国皇子に愛される

木月月
BL
貴族学園に通う主人公、シリル。ある日、ローズピンクな髪が特徴的な令嬢にいきなりぶつかられ「悪役令嬢」と指を指されたが、シリルはれっきとした男。令嬢ではないため無視していたら、学園のエントランスの踊り場の階段から突き落とされる。骨折や打撲を覚悟してたシリルを抱き抱え助けたのは、隣国からの留学生で同じクラスに居る第2皇子殿下、ルシアン。シリルの家の侯爵家にホームステイしている友人でもある。シリルを突き落とした令嬢は「その人、悪役令嬢です!離れて殿下!」と叫び、ルシアンはシリルを「護るべきものだから、守った」といい始めーー ※この話は小説家になろうにも掲載しています。

幼馴染が結婚すると聞いて祝いに行ったら、なぜか俺が抱かれていた。

夏八木アオ
BL
金髪碧眼の優男魔法使いx気が強くてお人好しな元騎士の幼馴染の二人です。

振られた腹いせに別の男と付き合ったらそいつに本気になってしまった話

雨宮里玖
BL
「好きな人が出来たから別れたい」と恋人の翔に突然言われてしまった諒平。  諒平は別れたくないと引き止めようとするが翔は諒平に最初で最後のキスをした後、去ってしまった。  実は翔には諒平に隠している事実があり——。 諒平(20)攻め。大学生。 翔(20) 受け。大学生。 慶介(21)翔と同じサークルの友人。

学園の俺様と、辺境地の僕

そらうみ
BL
この国の三大貴族の一つであるルーン・ホワイトが、何故か僕に構ってくる。学園生活を平穏に過ごしたいだけなのに、ルーンのせいで僕は皆の注目の的となってしまった。卒業すれば関わることもなくなるのに、ルーンは一体…何を考えているんだ? 【全12話になります。よろしくお願いします。】

処理中です...