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結婚への道 レイト
1 逃げ道は袋小路
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王都からクレスト兄様が帰って来た。
「母様達のお迎えに参りました」とにっこりしたが、うそだね。
だって今まで迎えに来た事なんて無いし、ここから王都まで2週間は掛かるんだぜ。
クレスト兄様は賢くて効率厨なクールビューティーだ。
しかも腹の中は真っ黒だ。
絶対ナニかあるんだ。
僕は知ってる。
収穫期の終わった晩秋から貴族の社交シーズンが始まる。
国中の貴族が群れを成して、鮭の遡上のように王都を目指す。
そこで夜会や茶会で就活や婚活や流行りのモノをゲットするのだ。
いやお楽しみだけじゃ無い。情報交換と収集は生き延びる為に必要だからね。
マーレント家は王国の東側の端っこだ。
王国は四方を他国に囲まれている。情報は無茶苦茶大切なのだ。
マーレント家は国を守る辺境伯として真面目に働く貴族なので、勿論冬は移動する。
安心して。父様のいない領地は後継のゼフィラス兄様が睨みを効かせてるからね。
王都のなんとかという所に勤めているクレスト兄様が、自ら迎えに来たという。
………ありえないだろうっ‼︎
レイトは湧き上がる不安に、出迎えで並ぶ使用人達を盾にこそこそと逃げ出した。
「レイト!卒業おめでとう‼︎」
オペラ歌手のように通る声が吹き抜けの玄関ホールに響いた。
あ、逃げそびれた。
20Mは離れていたはずなのに、クレスト兄様が目前で両手を広げている。
瞬間移動かよっ!
熱烈なハグ&キスでぐちゃぐちゃなレイトは、すぐに逃げるのを諦めた。
あんな、卒業って春やねん。
今は秋の終わりやねん。
そんな事を言ってやりたかったが、焼石にガソリンを掛けるほど無謀じゃ無い。
レイトは全面降伏を示す為に、へにゃりと笑いを返して撫でくりまわされた。
レイトはこの春学校を卒業した。
長兄次兄のように王都の有名所じゃ無く、隣領の学校に行った。
生徒より牛の数が多いソコで、マイペースに過ごして卒業した。
末っ子に甘い父様は手持ちの爵位を並べてどれがいい?と聞いたけど、断った。
人の群れを自分が御すなんて、想像しただけでオエッとなる。
出来る事なら領地の端っこの荘園で、代官あたりに就きたかった。
有能な召使い頭が牛耳ってくれる、書類にサインするだけの仕事だ。
可愛い末っ子を近くに置きたい家族と、人里離れた場所に行きたいレイト。
ついでと言うなら辺境はかなり危ない。
目の届かない所に行かせるわけにはいかないと泣き真似をする母様。
そんなぐちゃぐちゃな抗争の中でレイトは宙ぶらりんな存在だった。
「卒業祝いも買いたいし、レイトも一緒に行かないかい?」
クレスト兄様は語尾に?を付けた。
でも口調は!!!だ。
え?
王都に僕を連れに来た?
慌てて父様を見たら、すいと目を逸らされた。
家令もいきなり上空の雲の流れを見ている。
ゼフィラス兄様は何故かサムズアップでうんと頷いた。
え?
四面楚歌⁉︎
僕以外は根回し出来てるって事⁉︎
ニートになってる奴だから売られちゃうの?
レイトは絶望的な思いで立ち尽くした。
逃げ道は、逃げ道はどこ…
「あらぁ素敵ねぇ♡レイトちゃんのお洋服をつくりましょうねぇ」
ドナドナのヘビーな雰囲気をぶった斬って、母様が歓声を上げた。
「わたくしねぇ、レイトちゃんはパウテルカラーが似合うって思ってたのよぉ。
王都の流行りはどんなのかしらねえ?
お揃いで作りましょうねぇ」
うん。
母様は平常運転で僕の味方だ。
「母様達のお迎えに参りました」とにっこりしたが、うそだね。
だって今まで迎えに来た事なんて無いし、ここから王都まで2週間は掛かるんだぜ。
クレスト兄様は賢くて効率厨なクールビューティーだ。
しかも腹の中は真っ黒だ。
絶対ナニかあるんだ。
僕は知ってる。
収穫期の終わった晩秋から貴族の社交シーズンが始まる。
国中の貴族が群れを成して、鮭の遡上のように王都を目指す。
そこで夜会や茶会で就活や婚活や流行りのモノをゲットするのだ。
いやお楽しみだけじゃ無い。情報交換と収集は生き延びる為に必要だからね。
マーレント家は王国の東側の端っこだ。
王国は四方を他国に囲まれている。情報は無茶苦茶大切なのだ。
マーレント家は国を守る辺境伯として真面目に働く貴族なので、勿論冬は移動する。
安心して。父様のいない領地は後継のゼフィラス兄様が睨みを効かせてるからね。
王都のなんとかという所に勤めているクレスト兄様が、自ら迎えに来たという。
………ありえないだろうっ‼︎
レイトは湧き上がる不安に、出迎えで並ぶ使用人達を盾にこそこそと逃げ出した。
「レイト!卒業おめでとう‼︎」
オペラ歌手のように通る声が吹き抜けの玄関ホールに響いた。
あ、逃げそびれた。
20Mは離れていたはずなのに、クレスト兄様が目前で両手を広げている。
瞬間移動かよっ!
熱烈なハグ&キスでぐちゃぐちゃなレイトは、すぐに逃げるのを諦めた。
あんな、卒業って春やねん。
今は秋の終わりやねん。
そんな事を言ってやりたかったが、焼石にガソリンを掛けるほど無謀じゃ無い。
レイトは全面降伏を示す為に、へにゃりと笑いを返して撫でくりまわされた。
レイトはこの春学校を卒業した。
長兄次兄のように王都の有名所じゃ無く、隣領の学校に行った。
生徒より牛の数が多いソコで、マイペースに過ごして卒業した。
末っ子に甘い父様は手持ちの爵位を並べてどれがいい?と聞いたけど、断った。
人の群れを自分が御すなんて、想像しただけでオエッとなる。
出来る事なら領地の端っこの荘園で、代官あたりに就きたかった。
有能な召使い頭が牛耳ってくれる、書類にサインするだけの仕事だ。
可愛い末っ子を近くに置きたい家族と、人里離れた場所に行きたいレイト。
ついでと言うなら辺境はかなり危ない。
目の届かない所に行かせるわけにはいかないと泣き真似をする母様。
そんなぐちゃぐちゃな抗争の中でレイトは宙ぶらりんな存在だった。
「卒業祝いも買いたいし、レイトも一緒に行かないかい?」
クレスト兄様は語尾に?を付けた。
でも口調は!!!だ。
え?
王都に僕を連れに来た?
慌てて父様を見たら、すいと目を逸らされた。
家令もいきなり上空の雲の流れを見ている。
ゼフィラス兄様は何故かサムズアップでうんと頷いた。
え?
四面楚歌⁉︎
僕以外は根回し出来てるって事⁉︎
ニートになってる奴だから売られちゃうの?
レイトは絶望的な思いで立ち尽くした。
逃げ道は、逃げ道はどこ…
「あらぁ素敵ねぇ♡レイトちゃんのお洋服をつくりましょうねぇ」
ドナドナのヘビーな雰囲気をぶった斬って、母様が歓声を上げた。
「わたくしねぇ、レイトちゃんはパウテルカラーが似合うって思ってたのよぉ。
王都の流行りはどんなのかしらねえ?
お揃いで作りましょうねぇ」
うん。
母様は平常運転で僕の味方だ。
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