王宮侍従テミスの、愛と欲望のサスペンスな日常

たまとら

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4 金色頭の言い訳

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就職してわかった。
この王宮はゆるい。(特に下半身が)
領地では托卵されない様に、お付き合いに目を光らされていた。

それがこの王宮では恋の華はあちこちに咲く。
そっちの相性が長続きのコツなのか、まぁお盛んだ。
庭掃除をしてると、使用済みのスキンが大概五つや六つは落ちている。
控えの間のシーツなんか毎朝ベトベトで、従者がジャンケンで窓を開けに行くほどだ。
いや、ベトベトだけならいいけどね。
巨大なオムツや窓に飛び散る血の痕なんか、田舎者のテミスは初め心霊現象的に怖かった。もう、慣れたけどね。

そんな誰もが恋の波に身を任せている中で。
テミスがバージンでいるなんて
①宗教上の理由
②誰からも見向きもされない可哀想なコ
の、どっちかだろう。
なんか……絶望的。

"金色頭の自分にお金掛けてる坊ちゃん"が、項垂れている。
あざとい。
可愛い子ちゃんの、しょぼーん☆って奴だ。

言っとくが。
それに騙されるのは奥手な文官くらいだからね。



「あのぉ。のお話にして頂きたいんですが…」

"金色頭のなんか訳ありそうな坊ちゃん"が上目遣いで言った。
皆んなが身を乗り出す。
!そんな美味しいワード‼︎
大丈夫‼︎嫌いな人はいないよ!
テミスもマジ顔でぶんぶん頷いた。

「私、お付き合いしてる方がいてぇ。
プロポーズされたんですけどぉ。」

「そりゃめでたいね。で!」

オランさんがさくさく進めるのって素敵!

「あ、相手が文書課に御勤めの公爵様のご子息で」

「「「「「えっ‼︎」」」」」

ここで五つの息を呑む音がした。

『あ、やっぱ騙されたのは文官かぁ…』
と、テミスが内心呟く。

「まさか、"機密文書のロミオ"かい⁉︎」

「アンタ大きいの釣ったねぇ」

声に混じる賞賛に、金色頭はぐっと顔を上げた。
"金色頭で大物を釣った坊ちゃん"は、優越感であっという間に自信を取り戻した。
目がきんきらきんに光って、胸を張る。

あ、割と美人。
バッチリとまつ毛をくるりと上げて、目の縁にラインを入れてちょい派手。唇も濃いめのピンクだし。

テミスは割と薄めの顔で、走り回って汗をかくので化粧もしていない。
メンタリングしてくれた先輩が、あれこれ顔に塗ることを教えてくれたけど。
覚えきれずに上達しなかった。

……あ、こんな所がクズ野郎にさえ捨てられちゃう原因か?
一人で突っ込んで悲しくなった。



ロミオって何?
と、隣のオランさんに尋ねたら、
「金持ちのイケメンだよ!」
投げ付ける様にスピーディーに答えられた。

コレは『面白い話の途中に、聞き漏らさせるような質問はしちゃダメよ♡』というマナー違反をやんわりと指導しているのだ。

わかってます!

テミスはおとなしくクッキーを頬張って拝聴した。




なんでもさすが公爵家。
"処女判定"があるそうだ。

「私ぃ。彼とはもうえっちしちゃってぇ」

((彼だけじゃねぇだろうがぁっ!))
全員そう心で突っ込んだが声には出さない。
とにかくさくさくと進んで欲しい。
((早く。早く。肝心な事言ってぇ!))

「んでぇ、代わりに鑑定して貰える子を探してたんですけどぉ…」

(うん。同じ年頃の処女をここで探すって無理だよね)
(まぁ、マッチョな攻様は処女だけどね)
(だから焦ってたって訳ねー)

正直テミスにはあまり興味のない話だ。
ぽりぽりとクッキーをリスの様に食べていたら、"金色頭の婚約者と既にえっちしてます"が、ぐんと手を握ってきた。

「お願い!私の代わりに判定に行って‼︎」

((( だよねーっ‼︎  )))
一気に雰囲気が盛り上がった。
声は出ていないのに、ぱっと花火の様に辺りが明るくなる。
大先輩達はうんうんと頷いた。



「30枚。」

「10枚!」

「28枚。」

「そんなぁ!12枚‼︎」

本人を横に。
大先輩達と"金色頭で切羽詰まったお坊ちゃん"が話を詰めていく。

「あんた。を逃したら、はあんのかい?」

「ぐっ!」

「あんた。玉の輿逃しても良いのかい?」

「ひえぇぇぇっ‼︎」

「大まけにまけたげるよ。25枚だ。」


何のことかと思ってたら、報酬の金貨だった。
はぁ?
金貨?
見たことないから想像も出来ない。


でも、
でも、

判定とか、お医者様とか。

自慢じゃ無いけど、医者にかかった事は無い。
大抵の事は一日寝てりゃ治ったし。
父親は転がしとく方針だったし。
だから、
医者って…


嫌。

そう口に出そうとしたら、キラキラとギラギラとギンギンとした目がぐるんと一斉にこっちを見た。

視線が一点集中して、顔に穴が開きそうだ。


この中で拒否が出来ると思うか?

いや、無理でしょう。

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