王宮侍従テミスの、愛と欲望のサスペンスな日常

たまとら

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3 大先輩達の楽しみ

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「まぁ、まぁ。ちょっと待ちな。」

最古参のクワンさんが、スープ皿から顔を上げた。

しーーーん

一瞬で食堂の物音は消える。

表舞台では老害の蔓延るこの王宮で。
この従僕と従者という従業員の中では、完璧な年功序列だった。
実家が高位貴族の侍従は、従者を下に見るが。
大先輩達には決して、決して逆らってはいけないと就職時に仕込まれる。
侍従長どころか執事長をも牛耳る大先輩達。

多分、長く生きてきた知恵と技術は褒め称えるものだからかな?とテミスは思ってる。

高飛車に現れた金色頭はあんぐりと口を開けた。
よく見ると制服から覗くブラウスはシルクで。
カフスに宝石を使っている。
~つまり、金を掛けている。
これ、絶対、イイトコのお坊ちゃんだよね。
つまり"金色頭は金持ちのお坊ちゃん"に違いない。

だいたい侍従は貴族しか雇われない。
その下の従者は平民も入り混じっているが、侍従はマナーや筆記試験もある。
勿論侍従の方が給料がいい。
テミスはなんとか実家が男爵だから滑り込んだ。

正直、どうして受かったのかわからない。

テミスの場合、キョンシーかっ‼︎と思える、フェイスベールで顔を隠した小太りの三人に面接を受けた。

いびりかっ!
とみまごう圧迫面接。
針の穴を突くような言葉の応酬。
後のないテミスは必死で食い付いて、なんとか採用された。




まぁまぁまぁ、と。
クワンさんに手を引かれて休憩室に捕獲された。

「あの…仕事が…」

と、抵抗すると

「大丈夫。代わりをしたからね」

……怖い。
逆らうなんて無理。

そんな訳でドナドナされた。


扉を開けたらど、どーん!と、四人がいた。
ハウスさんとライタさん。
そしてオランさんにトットさん。
この人達はビック5と呼ばれている。

制服は侍従だけどよく従者の中で働いている。
なんでも城が出来た時にはすでに働いていたという、オカルトチックな話もある。
『いい?追及しちゃダメ。逆らっちゃダメ』
って、初仕事でメンターとなった先輩に念を押された。

そして今、テミスが擦れていないのが良かったのか。
侍従なのに従者の仕事をしているのが面白いのか。
なんかに巻き込まれてやらかすのが気になるのか。
ソレがことの他タン、タン、ターン!というBGMの似合うモノになっていくのが楽しいのか。

5人はという立ち位置でいる。
つまり気に入られている。


目の前にお茶とお菓子がさっと出て。
テミスはうふふ♡とやに崩れた。
ほら、お菓子は貴重だから。

「あんた、確かイングリンド伯んとこの子だったよね」

ああ伯爵さんちの子かぁ。
そりゃ、金持ちだわぁ。

"金色頭のやっぱり金持ちの坊ちゃん"は、こくりの頷いた。
ちょっと青褪めて強張っている。
初めて自分のしでかした状況を理解したようだ。

その手入れのされてる爪で、美しいハンカチを揉み絞り、もじもじしている。
よく見るとその金色頭も艶々で。
浴場に置いてあるシャンプーじゃ、こんな艶にはなん無いなぁ、と感心した。

「で、なんでテミスを探してたんだい?」

そうです。

問題はそこです。

おかげで顔も知らない人にまで、僕がバージンなのを宣伝されてしまったじゃないか。
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