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社交シーズンのドタバタ
4 夫夫って謎だね
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アフロディ兄ちゃんがぴくりと眉を顰めた途端。
「ごめんなさい!君を煩わせないように、黙って送金してたんだ!」
と旦那さんがばふんと五体投地した。
何の前振りも無く、そのままずべらあぁぁんと(床は超高級絨毯でふかふかだ)絨毯の上を滑ってくるイルカショーの様な身体に。
うひぃぃ!とテミスはちょっと浮いた。
アフロディ兄ちゃんの形のいい眉がぴくぴくする。
ちょっとびくつきながらテミスは見上げた。
(昔から一番苛烈なのはアフロディ兄ちゃんだった)
アフロディ兄ちゃんは15cmのピンヒールを履いている。
美しく組んだ脚がスリットの切れ目から覗いて、ふくらはぎの陰影がただ美しい。
そのピンヒールが円の軌道を描いてすっと上に上がった。
ヒールに付けられた紅の宝石がトレースされた線をなぞる。そしてそのまま真上に一旦停止してから、吸い込まれるように旦那さんの後頭部に刺さった。
くぇっ。
小さな蛙のような声が頭の主から発せられた。
ぴぴぴっ。
ヒールのわきから赤い飛沫が空中に踊った。
血。
血です。
流血です。
「私はおやぢに金を渡すなと言いましたよね。渡すならがっちり誓約書を書かせなければダメだと言いましたよねぇ。」
アフロディ兄ちゃんが。
あの綺麗で優しくて、いつも甘い声で笑ってくれるアフロディ兄ちゃんが。
地の底響くおっさん声で脅しをかけている…
テミスは拳を口に当てて、衝撃のままに固まった。
赤い噴水は直ぐ治った。
でも旦那さんは床にへばってぴくぴくしている
こ、これって…警邏案件なのでわっ‼︎
隣のタイナ兄ちゃんを流し見たら。
兄ちゃん、しれっと茶飲んでた。
え?動揺ナッシング!
で、でも旦那さんぴくぴくしてるよ⁉︎
"殺"になったら問題なのでは‼︎
お茶をサーブしてくれる侍従さん達を、すがるように見たけれど。皆んなしれっとしている。
いや、あんたらのご主人様大変なんだけど。
頭からぴゅっと血ぃ吹いてんから。
…いや、アフロディ兄ちゃんが捕まったらどうしよう。
家族の証言はダメなんだよね。
兄ちゃんの無実を証明しなきゃいけないんだよね。
兄ちゃん、僕、どうしたらいいの⁉︎
あわあわと焦るテミスの前で、床にへばりつけられた頭からほわあぁぁっと、大量の息が漏れた。
「ああ、そうですご主人様♡
お言い付けを守れないクズをもっと叱って下さい」
~~~プレイでした。
アフロディ兄ちゃんは、黙って頭からヒールを退けた。
ヒールに付けられた紅い宝石がキラリと輝く。
そこに血の飛沫がふしゅっとかかって、すっごく綺麗です。
「ああ、そんなぁ」
と、離れるヒールを切ながり。
「お願いします。もっと叱って下さいませ」
と、床に頭を付けたまま手と脚でずざざっとにじりよるのって…なんか昆虫的?
テミスは脱力するとゆっくりソファに座り直した。
これも愛。
あれも愛。
夫夫の間には自分の知らない深くて濃ゆい愛があるのだ。
『追及してはいけない』
王宮で働くようになってその標語が魂に刻まれた。
たとえ兄弟たりとて、追及してはいけない。
正直、ドツボにハマってしまう。
『追及してはいけない』
テミスは心でもう一度反復した。
タイナ兄ちゃんがふっとい指でちっさいマカロンをそ~っと摘んであーんしてくれた。
さすが超高級菓子。うんまぁい♡
甘味でほっこりしたテミスは、その場を立て直す為に『銀貨一枚の仕送り』の話をした。
アフロディ兄ちゃんは途中から身を乗り出して、そりゃもう楽しそうに、ニッコニコに聞いている。
旦那さんは四つん這いになって(アフロディ兄ちゃんの椅子になって)楽しそうだ。
タイナ兄ちゃんはうんうんと頷きながら、
「だから将来、俺がテミスの面倒みるから」
と言いきった。
皆んなはきゃっきゃうふふとわらいあって、
春のようなふうんわりとしたお茶会になった。
「ごめんなさい!君を煩わせないように、黙って送金してたんだ!」
と旦那さんがばふんと五体投地した。
何の前振りも無く、そのままずべらあぁぁんと(床は超高級絨毯でふかふかだ)絨毯の上を滑ってくるイルカショーの様な身体に。
うひぃぃ!とテミスはちょっと浮いた。
アフロディ兄ちゃんの形のいい眉がぴくぴくする。
ちょっとびくつきながらテミスは見上げた。
(昔から一番苛烈なのはアフロディ兄ちゃんだった)
アフロディ兄ちゃんは15cmのピンヒールを履いている。
美しく組んだ脚がスリットの切れ目から覗いて、ふくらはぎの陰影がただ美しい。
そのピンヒールが円の軌道を描いてすっと上に上がった。
ヒールに付けられた紅の宝石がトレースされた線をなぞる。そしてそのまま真上に一旦停止してから、吸い込まれるように旦那さんの後頭部に刺さった。
くぇっ。
小さな蛙のような声が頭の主から発せられた。
ぴぴぴっ。
ヒールのわきから赤い飛沫が空中に踊った。
血。
血です。
流血です。
「私はおやぢに金を渡すなと言いましたよね。渡すならがっちり誓約書を書かせなければダメだと言いましたよねぇ。」
アフロディ兄ちゃんが。
あの綺麗で優しくて、いつも甘い声で笑ってくれるアフロディ兄ちゃんが。
地の底響くおっさん声で脅しをかけている…
テミスは拳を口に当てて、衝撃のままに固まった。
赤い噴水は直ぐ治った。
でも旦那さんは床にへばってぴくぴくしている
こ、これって…警邏案件なのでわっ‼︎
隣のタイナ兄ちゃんを流し見たら。
兄ちゃん、しれっと茶飲んでた。
え?動揺ナッシング!
で、でも旦那さんぴくぴくしてるよ⁉︎
"殺"になったら問題なのでは‼︎
お茶をサーブしてくれる侍従さん達を、すがるように見たけれど。皆んなしれっとしている。
いや、あんたらのご主人様大変なんだけど。
頭からぴゅっと血ぃ吹いてんから。
…いや、アフロディ兄ちゃんが捕まったらどうしよう。
家族の証言はダメなんだよね。
兄ちゃんの無実を証明しなきゃいけないんだよね。
兄ちゃん、僕、どうしたらいいの⁉︎
あわあわと焦るテミスの前で、床にへばりつけられた頭からほわあぁぁっと、大量の息が漏れた。
「ああ、そうですご主人様♡
お言い付けを守れないクズをもっと叱って下さい」
~~~プレイでした。
アフロディ兄ちゃんは、黙って頭からヒールを退けた。
ヒールに付けられた紅い宝石がキラリと輝く。
そこに血の飛沫がふしゅっとかかって、すっごく綺麗です。
「ああ、そんなぁ」
と、離れるヒールを切ながり。
「お願いします。もっと叱って下さいませ」
と、床に頭を付けたまま手と脚でずざざっとにじりよるのって…なんか昆虫的?
テミスは脱力するとゆっくりソファに座り直した。
これも愛。
あれも愛。
夫夫の間には自分の知らない深くて濃ゆい愛があるのだ。
『追及してはいけない』
王宮で働くようになってその標語が魂に刻まれた。
たとえ兄弟たりとて、追及してはいけない。
正直、ドツボにハマってしまう。
『追及してはいけない』
テミスは心でもう一度反復した。
タイナ兄ちゃんがふっとい指でちっさいマカロンをそ~っと摘んであーんしてくれた。
さすが超高級菓子。うんまぁい♡
甘味でほっこりしたテミスは、その場を立て直す為に『銀貨一枚の仕送り』の話をした。
アフロディ兄ちゃんは途中から身を乗り出して、そりゃもう楽しそうに、ニッコニコに聞いている。
旦那さんは四つん這いになって(アフロディ兄ちゃんの椅子になって)楽しそうだ。
タイナ兄ちゃんはうんうんと頷きながら、
「だから将来、俺がテミスの面倒みるから」
と言いきった。
皆んなはきゃっきゃうふふとわらいあって、
春のようなふうんわりとしたお茶会になった。
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兄ちゃん達がいい!
それで兄ちゃんに可愛がられてるテミスがかわいい😍
やっぱり面白いです。
楽しく読んでます。
ただ4番目と5番目の兄ちゃんたちは、どうしてるんだろうと心配になってしまう😔
ありがとうございます❗️
実は、兄ちゃんが好きです。
考えてるだけで、うしし☆と、なります。
妙に濃ゆい兄ちゃん達のおかげで、テミスは鈍な子に育ったんだと思います(ᵔᴥᵔ)
まだテミスの性格がよくわからないのですが、おもしろいです。
どういう子かわかってくれば、もっと面白くなりそう。
続きを楽しみにしてます😊
ありがとうございます❣️
これから次兄やなんやと、もっとはっきりしていきたいとと思いました‼️
ふらふらと自分の楽しみに流されていく子なので、よろしくお願いします。
m(_ _)m
すっごく、感想頂いて嬉しかったです‼️