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"しり" というペット

3 幽と霊にいちゃつく

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眠っていると、ふわりと口元が涼しくなった。
薄っすら目をあけると、目の前が闇だ。
そして向こうがぼうっと透けている。

…………。

寝起きの頭でなんだろうと考えると、目の前の闇がぶわっと立ち上がりあっという間に無くなった。

え?
と、身を起こすと。
壁際の床に、突き出された尻がある。

それがぶるぶるして、真っ赤に染まって。
果物の完熟状態なのを見て、
『あ、キスか。』と悟った。
レヴュトの尻の形から、どうも床に突っ伏して頭を抱えてるみたいだ。

ぎしりとベッドで動くと。
しりは頭を隠すように、さらに突き出された。

……いや、そんなポーズをしても。
いけない箇所が晒される事は無いんだけどね。
キスしたり触れ合いが無い事に、物足りなさと哀しさを感じてるのは俺だけじゃ無かったって事だ。

「レヴュト。おいで。」

思ってもいないほど。
自分でもはっとする程、甘い声が出た。

レヴュトはびくっと肩を揺らした(たぶん)
再びおいでと呼ぶと、おずおずと近づいて来る。
そっとベッドの傍をトントンすると、そこに凝んだ。

ベッドの上。
靄るような影に顔を近づける。
どこまで突っ込めばいいのかわからないから、ひんやりした所で停める。
いわゆるソフトキス。
表面上ちゆっ♡て、奴。

ちゅっ♡ ちゅっ♡と唇を動かすと、レヴュトはふるふると揺れているのを感じる。


ああ、キスしてぇ。
でも出来ない。
せめて気分だけでもと顔を擦り付ける。
ぽわんとして、揺れなくなった影が。
ほわりとイースタンの胸元に寄ってくる。


ああ、勃ってます。
ギンギンに勃ってます。

レヴュトにいちゃいちゃとキスをして。
ぷりんとした尻をぬぐぬぐと揉んで。
出来る事なら勃ってるモノをそこに埋めたい。

レヴュトが擦り寄った部分は、ぼうっとひんやりして。
ああ、レヴュトもいちゃいちゃしたかったんだな。
って思うと、なんかせつなくて心が痛かった。


おまえと抱き合いたかった。
一緒にキスしたかった。
笑って手を繋いで、走り回ってみたかった。

レヴュト。
なんだろう、この気持ち。
顔も、声も知らないのに。
苦しいくらいに手を繋ぎたいと思う。


虫の音が聞こえる。
そこで夢をみる。
同じベッドで横になって夢を見る。
月の光は水面のようでゆらゆら揺れている。

いつかきみとキスして。
笑って一緒に歩いて行きたいな。
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