【完】俺が"しり"を愛でるようになった、その訳とその記憶とその結果について

たまとら

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王宮の攻防

7 レヴュトの記憶

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脳裏にレヴュトの記憶がさかまく。
暗く斜のかかった視界は狭い。
その中で王妃が笑う。

「~~だから、私。面白そうな処刑のやり方を見つけたのよ。」

普段優しげで上品な王妃が、にやにやと笑っていた。

「両手両足をそれぞれの馬に結んでおくの。
馬を叩いて走りだしたら…」
その舌がでろりと唇を舐める。
「……ね♡」

想像は途中で背筋が凍って消えた。



廊下から覗いたら、王妃は王太子の護衛と侍従の話をしていた。王太子が死んだ後に責任を追及して処刑させる事を。
つまり、イースタン様達を。

「相変わらずイケメン虐めが好きなんだなぁ」

その声はよく知ってる。
だってここは医術師のクワン様の部屋だ。
報告書が握りしめられて、ぐちゃぐちゃになる。

喉を絡ませた様に笑うクワン様は何か取り出した。

「貴女の悪どい事も残虐な事も大好きですよ。
だからこそ、自分の保身も考えますけどね。」

「なぁに?…王太子を上手く毒で始末したら、お前を医術師長にするって約束。わざわざ契約書として書き上げたの?」

王妃の上機嫌な声が地を這っていく。

「わたしが約束したのを信じないって言うの‼︎」

声は氷だ。
でもその声にクワン様はびくともしなかった。

「貴女が面倒くさくなったら、どんな末路を辿るかわかってますからね。コレはただただ保身の確認ですよ。
コレを見られたら俺も首が飛ぶ。
まぁ、誰にも見られる事は無いですがね。」

お互いフィフティの悪さですよね。
そう言われた王妃は「人を信用しないお前って最低ね!」と笑いながらサインした。

いい?コレが見られたら私達は終わりよ。
安全に閉まってね。

息を殺すレヴュトの意識はくるくる回る。
ユスフとイースタンの心を掴んだまま、それはぐるぐる彷徨っていった。


陽を浴びた四阿に忍び寄る。
六角形の四阿。
黄薔薇が綻びかかって、窓から覗いている。
そこの太い支柱は土に触れる場所は金属板でガードされている。
でもその内の一本が腐食して、金属板と柱に隙間があった。
油紙に包んで。
防虫紙にも包んで。
こっそりソレを押し込む。
…早く、これを届けなくては。

『拷問』を、『処刑』を。
王太子が亡くなればイースタン様達が捕まってしまう。
イースタン様が危ない。
イースタン様が処刑される。
でも僕にはなんの伝手もない。
クワン様にバレたら殺される…


暗い意識がフラッシュの様な痛みに白くなった。

「チャル。アレを何処へ隠した?」

クワン様の目が吊り上がっている。
自分の荷物は引き裂かれて床に散乱していた。
怯えて意識が強張る。
その上から瓶が傾いて、液が一滴落ちた。

ぎゃあぁぁぁっ!

水滴は服に当たって白い煙をあげた。
そのまま野火の様に広がって、溶かしていく。
その下の肌までもめりめりと焼かれていく。
激痛が頭にこだました。

「チャル。アレはどこだ。」

「な、んの…事か…  ぎぇええぇぇっ‼︎」

水滴が靴を溶かし、足指から煙が上がっていく。
肉の焼ける匂いがぶしぶしとあがる。



クワンはきひひと歯を剥き出しにした。

「肉も骨も溶けるぞ。顔も、目玉も溶けるぞ。」

その目は興奮でギラギラしている。
始まる地獄に、はっはっと肩を揺らして。
チャルはいやいやと首を振った。


イースタン様が危ない。

喋ったらイースタン様が危ない。

痛みは脳を焼き付けて、びりびりと意識を飛ばしていく。

…ああ、最後にイースタン様に逢えたら…


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