なぜか側妃に就職しました。これは永久就職じゃございません。

たまとら

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51 朝の願い  侍従A


「…ぁ、んんっ、…まって…」

ジュノ様の甘い声が聞こえて来ます。
私は控えの間で気配を殺しておりました。
控えの間は、主人からいつお呼びが掛かっても良いように。
そして私事の際の暗殺や策謀、性交事の過ぎたおねだりを防ぐためにあります。

決して。
決して、あんあん好きでは無いのです。


驚くほどにすんなりと、ジュノ様のパーソナルスペースにがぶりよったアドル王子は、滴るほどに愛を垂れ流しておりました。
いつ後一歩に迫るのだろうかと、皆んなで見守っておりました。

すると、今夕。
その雰囲気が変わったのです。
ちょっと思い詰めたような。
ワクワクするような。
何というか、この、やるっきゃ無い!的なその意気込みは、多分私ども侍従でないと、気が付かなかったと思います。



啜り上げる声が止まって、私はそっと入室しました。
アドル王子は、極まって眠ってしまわれたジュノ様を、自ら清められるとおっしゃいます。

~~良き!


体温より少し温めのタオルをお渡しして、清拭して頂きました。
その間にシーツもカバーも小瓶も、手早く整えます。
ちらりと見たジュノ様はとても幸せそうな寝顔でしたので、私はとても安堵致しました。



愛してる。という言葉に巻き付かれても、ジュノ様はまだご自身の心を定めてはいらっしゃいません。
でも、それはじきに悟られる事でしょう。
たとえ上手く言いくるめられたとしても、嫌悪感のある男と添い寝など出来る方では御座いませんから。

とにかく私どもは、その機会があるのに、無理矢理最後まで致さなかったアドル王子に、ようやく本気で信頼を捧げる事が出来ました。



翌朝、アドル王子とベッドの中できゃっきゃうふふしてらっしゃいました。
いやいや、どう取り繕うとも、側から見ればバカップルで御座います。



そして、身だしなみを整えております時。
ジュノ様はもじもじと何かいいたげで御座いました。

~~わかります。
戸惑われた事も。
恥じらわれた事も。
言い出せない事も。

「お気になさらず!私どもの仕事でございますよ。」

そうはっきり言葉に表して。
ソレは決して特殊では無いことをお伝えしました。
これで気を病まれずに過ごして頂きたいです。
この王宮の平穏と幸せの為にも、このままぐいぐいと仲を深めて行って頂きたいです。



後宮の侍従はある意味特殊で御座います。
産まれる前から入宮されるとお決まりの方は、外界と、はっきり遮断されます。
学園に行かれている間も侍従と影の者に世話をされます。

そのようなやんごとなき方は、
自分で服を着るとか。
避妊具を装着するとか。
性交の後始末をすることは、なさりません。

国によっては、ともすれば排泄の後の清拭さえ御付きの者の仕事だったりします。
寵妃の身の回りをする者は、ともすれば介護というモノに近い仕事を致します。
そして羞恥という感情を失くされたやんごとなき方にとって、そんなお世話をする私どもは人では無く影となります。



恥じらうジュノ様のお心がとても眩しくて。
炭酸の泡のようにシュワシュワと自分が弾けています。

このまま。
このままのジュノ様で、お幸せになって頂きたいと願っております。
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