恋するじゃがいもと、先輩とボケナス

たまとら

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学園生活

7 やられたら倍返しは基本

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お花を摘みに(トイレね)行ってる間に、教室の机の中が荒らされていた。
勿論、周りは知らん顔だ。
落書きされて破かれてる教科書に、あ~あと思った。

教科書は支給品で、新しいのを貰うには教務で申請しなくちゃいけない。
教務の主任は真面目で真っ直ぐで、仔細な理由を備考欄に書いていく。
すっごく、すっごく、めんどくさい!

その面倒くさいに輪をかけるのは周りの白塗り達だ。
「まぁ、なんて事かしら‼︎」
と言いながらわらわら集まって来た。

「貴方、嫌われてらっしゃるのぉ」
「お友達もいらっしゃらないのねぇ」
「なぁんて恥ずかしいのぉ」
と捲し立てるのでルインは目をぱちくりした。
いやいや。

「恥ずかしいのは勝手に人の物を触る奴であって、僕の事じゃないよね」

そう言うと何人かがきぃっと眉を吊り上げた所で教師が来た。
次の授業は【魔力を魔法に変換する】を習う。丁度いいから挙手した

「コレに追跡魔法を掛けていいですか?」

辺りはしんとなった。

だって自分が悪くないのに頭を下げて申請するなんて冗談じゃ無い。
それにコレに味をしめたら何度もやられるかもしれない。
初めにガツンとやり返すのはアルヴィン家の常識だ。

「君は追跡魔法が使えるのですか?」

初老のもっさりした教師が聞いた。

「僕の住む領地は風光明媚ですから、家畜を襲う魔獣を追跡して狩ったりしてました。」

まぁ、やっぱり野蛮なんだわぁ。
そうよそうよ。と声がする。
でも気にしない。

「僕の魔法は付着した魔力を追跡するだけなんですけど。ね。」

ルインは明るく言いながら、魔導紙をひらりと取り出した。
その紙を見て教師の目がキラリと光る。
さてはマニアだな。

「コレは野菜泥棒用ので、犯人に有刺鉄線がぐるぐるにまきつくんです」

げっ。と言う声が上がった。

「それとコッチはなんと体中の毛が抜けるんです」
「毛⁉︎」
「はい!眉毛もまつ毛も鼻毛までつるんと。もう人前に出れなくなって笑い者になるから、すっごく効果あるんですよー」

すっご~い♡とにっこりしあうルインと教師の後ろで、きゃーと金切り声が上がった。
さりげなく顔を巡らせるが色白さんが色青さんになってるだけだ。
名乗り出る者はいなさそうだ。


「でもね、先生。新しい教科書と詫び状を頂ければ、もう有耶無耶でいいんじゃないかなって思うんです。」

ルインが首をふるんとすると、赤い尻尾がばふんと揺れる。

「だって戦争になると困っちゃうでしょ」


????????

教室が一瞬でハテナマークになった。
その中でルインは無邪気な田舎者を前面に出して笑顔をつくる。
なんでかな?という教師に

「王立学園の教材は無償配布。
って事は税金から出てるんですよね。
それをわざわざ破くのは制度への宣戦布告じゃないですか。
コレって実家の意向で王国からの独立宣言とか開戦宣言の布石かもしれませんから、もう扱いに困っちゃいますよねぇ。
もう、触らぬ神に祟り無しにしたくありません?」

ねぇ、先生どうしましょうか。


ヒューヒューヒューヒュー教室のあちこちから、過呼吸気味な木枯らしのような音が鳴り響いている。
教師は見ざる聞かざるを宣言して、犯人に大事になる前に鎮静化するように告げた。

結果、泣いて謝る五人が釣れた。
彼等にもう闘争心は無かった。
めでたしめでたし。



こうしてルインは自分で手続きをすることもなく新しい教科書を手に入れた。
さらに教師立ち会いの"詫び状"をゲットしたのだった。


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