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家族になりますね
2 共同戦線、発動
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ジオラマに黄色いラインは国境だ。
こちらの領地ではそのラインを護るように、砦が6個置いてある。
地形の為に、その間隔は均等じゃ無い。
「合図は伝令と狼煙ですか。」
「ああ。警備として飼いならしたザキウルフから、糞を採取して加工している。」
ザキウルフは気の荒い生き物だが群れで行動する。
幼い頃から隊長を群れのリーダーに据えると、砦を守って働いてくれる。
しかも糞は、燃やすと煙を真っ直ぐ上げて風に強い。
集めて狼煙につかっている。
火の見やぐらで交代で見張っているそうだ。
「鳥便も使いましょう。我が家ではホワルーの帰巣本能を使って、文を送っております。」
「ホワルー?」
「ホワルーは、ナルディル領に野生でいる鳩の亜種でございます。」
ガルゼは、指出口で御座いますが。と、声を掛けて説明をはじめた。
鳥便は、王家が独占する様に鷹を使っている。
そして王家としての緊急や必要なものを通信文として届けていた。
鷹は飼育が難しい。
鳥便を展開するには専門の者を雇って、凄く金が掛かる。だから大抵の領地は手が出せなかった。
「だが鳩は…」
エルダスが首を傾げた。
その顔を見ると、頭の中に羽毛を毟られて中に詰め物をされて蜜まで塗られ、コロンと皿の上にある姿が浮かんでいるようだ。
鳩と言うと、そのボディはちょっと丸っこくて間抜けな可愛いさがある。
アレが仕事で飛ぶとか。
鳥便になるとか。
ちょっと想像もできない。
「鳩は帰巣本能を使って、通信手段に出来ます。
通常の鳩でも、訓練すれば200km離れた地点からでも戻ります。」
うん。わかった♡と、エルダスの目が言っている。
ガルゼが言い出した事に、瑕疵のある筈は無いよね♡、って。
エルダスは昔から年上好きなんだよな。
アルベルトはうんうんと頷いた。
特訓を受けてから、エルダスはもう心酔している。
M体質なのか⁉︎
「何よりいいのは、鷹などに比べて平民も村民も世話できるって事にです。
ファンドール家では足に付けるリングを色分けして場所がわかる様にいたしまた。」
なるほど。とりあえずやってみよう。
狼煙は村民の為にもそのままで。
あ、それと外での避難所をどのくらい設置しようか。
崩れない崖に洞窟を掘って。
見た目何も無いように擬装させて。
そこは緊急物資を何日分か秘蔵させて。
兵士が来るまでに人が篭れるようにしたいよね。
アルベルトはキリルの現実的で即戦力になる考えに驚いた。そのまま灌漑設備や農作業について話をしたが、ジオラマを見ながらすぐ理解していく。
今まで嫁という立場の者は、可愛いく頷くだけで自分から意見を言ったりしなかった。
この綺麗な頭の中は、得難い程の知恵が詰まっているらしい…。
真剣にジオラマを見つめる菫色は伏せられて、黒いまつ毛に縁取られている。
細い指を当てて、キリルは考えていた。
無意識か指をちょっと噛んでいる。
桃色の唇に差し込まれた、少し陽に焼けた指と。唇から覗いている真珠のような歯に、アルベルトは見惚れた。
ごくりと喉がなりそうで、慌てて目を背ける。
頬が熱い。
「とりあえずホワルーを孵化させて実験しよう」
キリルの目が、真っ直ぐ自分を見上げた。
……やっぱり、綺麗だ。
こちらの領地ではそのラインを護るように、砦が6個置いてある。
地形の為に、その間隔は均等じゃ無い。
「合図は伝令と狼煙ですか。」
「ああ。警備として飼いならしたザキウルフから、糞を採取して加工している。」
ザキウルフは気の荒い生き物だが群れで行動する。
幼い頃から隊長を群れのリーダーに据えると、砦を守って働いてくれる。
しかも糞は、燃やすと煙を真っ直ぐ上げて風に強い。
集めて狼煙につかっている。
火の見やぐらで交代で見張っているそうだ。
「鳥便も使いましょう。我が家ではホワルーの帰巣本能を使って、文を送っております。」
「ホワルー?」
「ホワルーは、ナルディル領に野生でいる鳩の亜種でございます。」
ガルゼは、指出口で御座いますが。と、声を掛けて説明をはじめた。
鳥便は、王家が独占する様に鷹を使っている。
そして王家としての緊急や必要なものを通信文として届けていた。
鷹は飼育が難しい。
鳥便を展開するには専門の者を雇って、凄く金が掛かる。だから大抵の領地は手が出せなかった。
「だが鳩は…」
エルダスが首を傾げた。
その顔を見ると、頭の中に羽毛を毟られて中に詰め物をされて蜜まで塗られ、コロンと皿の上にある姿が浮かんでいるようだ。
鳩と言うと、そのボディはちょっと丸っこくて間抜けな可愛いさがある。
アレが仕事で飛ぶとか。
鳥便になるとか。
ちょっと想像もできない。
「鳩は帰巣本能を使って、通信手段に出来ます。
通常の鳩でも、訓練すれば200km離れた地点からでも戻ります。」
うん。わかった♡と、エルダスの目が言っている。
ガルゼが言い出した事に、瑕疵のある筈は無いよね♡、って。
エルダスは昔から年上好きなんだよな。
アルベルトはうんうんと頷いた。
特訓を受けてから、エルダスはもう心酔している。
M体質なのか⁉︎
「何よりいいのは、鷹などに比べて平民も村民も世話できるって事にです。
ファンドール家では足に付けるリングを色分けして場所がわかる様にいたしまた。」
なるほど。とりあえずやってみよう。
狼煙は村民の為にもそのままで。
あ、それと外での避難所をどのくらい設置しようか。
崩れない崖に洞窟を掘って。
見た目何も無いように擬装させて。
そこは緊急物資を何日分か秘蔵させて。
兵士が来るまでに人が篭れるようにしたいよね。
アルベルトはキリルの現実的で即戦力になる考えに驚いた。そのまま灌漑設備や農作業について話をしたが、ジオラマを見ながらすぐ理解していく。
今まで嫁という立場の者は、可愛いく頷くだけで自分から意見を言ったりしなかった。
この綺麗な頭の中は、得難い程の知恵が詰まっているらしい…。
真剣にジオラマを見つめる菫色は伏せられて、黒いまつ毛に縁取られている。
細い指を当てて、キリルは考えていた。
無意識か指をちょっと噛んでいる。
桃色の唇に差し込まれた、少し陽に焼けた指と。唇から覗いている真珠のような歯に、アルベルトは見惚れた。
ごくりと喉がなりそうで、慌てて目を背ける。
頬が熱い。
「とりあえずホワルーを孵化させて実験しよう」
キリルの目が、真っ直ぐ自分を見上げた。
……やっぱり、綺麗だ。
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