駆け落ちの後始末を、僕らに求めるのはマジ勘弁して欲しい

たまとら

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ママとパパは駆け落ちだったみたい

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「いつまで泣いてる。」

パルスの横に胡座をかいて、ライサンダーはたずねた。
部屋にはすでに誰もいない。
最後に出て行ったこの家の侍従は、気遣う様な視線を泣いている子猫に送っていた。

「泣いてもどうにもならないのは、わかってる筈だろう。」


パルスはのろのろと起き上がって座り直した。
体中痛い。
でも心が一等痛い。
何よりも自分を押さえつけた悪い奴の前で、ただ泣いてるのが辛い。

「手も足も出なかったな。~あれが王だ。」

ライサンダーはそっとパルスを掬い上げると、膝の上に乗せた。
抵抗しようと手足を突っ張って…、すぐ力を抜いた。
ばかばかしい。
片手一本で抑え込まれてしまうのに。

論外優しい手つきで、ライサンダーはパルスを撫で上げる。
ほねが折れたりしていないのか探っているようだ。


「弟を守ろうと飛び掛かっていく。
 気高い騎士の心だ。感服したぞ。」

えっと見上げると、じっと見下ろす青灰色の目があった。
その目の中に優しいものが見えて、反らせなくなる。

「おまえには選択肢が二つある。
処分された者として、名前を変えて里親を見つけて生きて行くこと。~もちろん良い親を見つけてやる。幸せに暮らせるだろう。
もう一つは弟を救い出す為に俺と来る事だ。」



その単語の意味が飲み込めずに、パルスはぽかんと見上げていた。

こいつは悪い奴だ。
やさしさを被って僕を騙そうとする、狡賢い奴だ。
騙されないぞっ‼︎

ライサンダーは背中の毛を逆立てるパルスの顎の下をゆっくり摩る。

やめろよっ‼︎
気持ちいいじゃないかっ!

その指をパクリと噛み付く。

そんな事されるとごろごろとなっちゃって、意識がまとまらない。


「王の命令は絶対だ。おまえを処分しろと命じていた。このままだと処分を待つだけだ。この館の主にも迷惑が掛かる。早く決めろ。」

きっとこいつは犬系だ。
耳はピンと三角で。
ふさふさの尻尾が揺れている。

目を逸らさずに睨みつけている様な顔は真剣で…

僕は、
僕は即答した。
だって他に道はある?

「お願いします。
 シルフィを助けます。」
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