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屋敷の暮らし
17 誕生日 レリア五歳
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その夜の館の輝きはかつて無かった。
レリアの心が喜びで輝いているから、見るもの全てが光っていたのかも知れない。
テーブルにつこうとして。
大人の椅子に、ベルガーは子供用の高さを調整する物をすっと乗せると。
レリアを優しく抱き上げて座らせてくれた。
~~何も言われなくても、だ。
そう、かつてのベルと同じだ。
感謝を込めて振り向くと、ベルガーはその美しい顔をふわりと緩ませた。
そんなレリアをサモエドは優しく見守っている。
セバスにエスコートされて食堂に入って来た母様は、空気まで染める程に麗しかった。
瞳に合わせて耳に葡萄を模した飾りをつけている。
濃紫の宝石の珠が、下に行くほどに少なく重なったソレは、本物そっくりで。
細くしなやかな首筋に垂れたその葡萄は、夢みるように揺れている。
母様は、まるで精霊の女王のようだ。
そんな母様を見つめるセバスの瞳は、いつものように神殿に支える神官のようで。
その目に他のものは、いっさい映っていないのが、ちょっと笑えるほどにあからさまだ。
その平常運転さがとても日常で。
ベルガーを当たり前のように受け止める二人に、レリアはホッとした。
サモエドにお礼を伝えると、目を細めて笑ってくれた。
つけた名前も、成る程と頷いてくれた。
あまりにも人にしか見えないベルガーに、母様は誉め上げて、セバスは満足そうに頷いた。
ベルガーは侍従と護衛を兼ねて、背後にずっといてくれる。
もう怖いものの無い万能感が、レリアをにこやかにしていた。
よく笑い、よく食べる。
そんな珍しいレリアに、ちょっとセバスは目を丸くし、口元に笑を浮かべていた。
五歳の誕生日は、レリアの中で、幸せの日として記憶に残る日となった。
やがて母様の瞳に眠りがとろりと浮き上がった。
セバスのエスコートで母様が退出していく。
二人の背中がドアの向こうに消えて。
談話室に向かう為にレリアを椅子から抱き上げようとしたベルガーを、サモエドはそっと遮った。
サモエドの細い腕がレリアの背中に回る。
人との触れ合いに慣れていないレリアは、体を硬くしてドキドキとされるままになっていた。
ゆっくりとレリアを横抱きにして、サモエドは談話室へと向かう。
振り仰ぐ顔の頬はこけて、少しやつれたようだ。
いつもおおらかで大声で笑うサモエドが、今日は静かな事に、レリアは今更ながらベルガーを造る為に心血を注いだのだと実感した。
「レリア君。ベルガーは君の為の人形だ。」
そっと、他に聞こえないように。
そっと、囁く。
「たとえ魔石が空っぽになって、再起動をかけられても。いろんな回路で誤魔化してあるが、ベルガーが主人を変えることはないからね。」
レリアが目を見張ると、サモエドはゆっくり頷いた。
「母上にもセバスティンにも内緒だよ。
……誰にも言ってはいけない。
たとえ君を忘れたように振る舞ったとしても。
~~ベルガーはただひたすら君の元へと帰ってくるからね。」
よくわからないが、とても重大な事を告げられたのだということはわかった。
誇らしさで胸が一杯になり、レリアはサモエドの目をじっと見上げて了解を告げた。
レリアの心が喜びで輝いているから、見るもの全てが光っていたのかも知れない。
テーブルにつこうとして。
大人の椅子に、ベルガーは子供用の高さを調整する物をすっと乗せると。
レリアを優しく抱き上げて座らせてくれた。
~~何も言われなくても、だ。
そう、かつてのベルと同じだ。
感謝を込めて振り向くと、ベルガーはその美しい顔をふわりと緩ませた。
そんなレリアをサモエドは優しく見守っている。
セバスにエスコートされて食堂に入って来た母様は、空気まで染める程に麗しかった。
瞳に合わせて耳に葡萄を模した飾りをつけている。
濃紫の宝石の珠が、下に行くほどに少なく重なったソレは、本物そっくりで。
細くしなやかな首筋に垂れたその葡萄は、夢みるように揺れている。
母様は、まるで精霊の女王のようだ。
そんな母様を見つめるセバスの瞳は、いつものように神殿に支える神官のようで。
その目に他のものは、いっさい映っていないのが、ちょっと笑えるほどにあからさまだ。
その平常運転さがとても日常で。
ベルガーを当たり前のように受け止める二人に、レリアはホッとした。
サモエドにお礼を伝えると、目を細めて笑ってくれた。
つけた名前も、成る程と頷いてくれた。
あまりにも人にしか見えないベルガーに、母様は誉め上げて、セバスは満足そうに頷いた。
ベルガーは侍従と護衛を兼ねて、背後にずっといてくれる。
もう怖いものの無い万能感が、レリアをにこやかにしていた。
よく笑い、よく食べる。
そんな珍しいレリアに、ちょっとセバスは目を丸くし、口元に笑を浮かべていた。
五歳の誕生日は、レリアの中で、幸せの日として記憶に残る日となった。
やがて母様の瞳に眠りがとろりと浮き上がった。
セバスのエスコートで母様が退出していく。
二人の背中がドアの向こうに消えて。
談話室に向かう為にレリアを椅子から抱き上げようとしたベルガーを、サモエドはそっと遮った。
サモエドの細い腕がレリアの背中に回る。
人との触れ合いに慣れていないレリアは、体を硬くしてドキドキとされるままになっていた。
ゆっくりとレリアを横抱きにして、サモエドは談話室へと向かう。
振り仰ぐ顔の頬はこけて、少しやつれたようだ。
いつもおおらかで大声で笑うサモエドが、今日は静かな事に、レリアは今更ながらベルガーを造る為に心血を注いだのだと実感した。
「レリア君。ベルガーは君の為の人形だ。」
そっと、他に聞こえないように。
そっと、囁く。
「たとえ魔石が空っぽになって、再起動をかけられても。いろんな回路で誤魔化してあるが、ベルガーが主人を変えることはないからね。」
レリアが目を見張ると、サモエドはゆっくり頷いた。
「母上にもセバスティンにも内緒だよ。
……誰にも言ってはいけない。
たとえ君を忘れたように振る舞ったとしても。
~~ベルガーはただひたすら君の元へと帰ってくるからね。」
よくわからないが、とても重大な事を告げられたのだということはわかった。
誇らしさで胸が一杯になり、レリアはサモエドの目をじっと見上げて了解を告げた。
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