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学園
21 オクタとレリア
あの地味メンはどんな本を読んでいるんだろう。
ふと、興味が湧いた。
学園の図書室には無い物を探している訳だしな。
いつもなら読み終わった本をテーブルに積み上げたまま、チップを挟んでスタッフに任せるのに、つい何冊か持って立ち上がる。
まるで自分で本を書棚に返却する体で、ぶらぶらと何気に通ると、
「♢▽…、ダ・ボルゾイ△」
と、単語が聞こえた。
ダ・ボルゾイは異端と言われた昔の錬金術師だ。
禁術と言われた時代もあって、その書は少ない。
ふと見るとそのレリア君と目が合った。
~~いや、彼の目は、オクタの手元を見ている。
口が、あ、と開く。
そうか、探していたのはこの本か。
掲げて見せると、ぶんぶんと頷いた。
「い、良いんですか。」
全身から"嬉しい"が放出される。
本を渡すと
「ありがとうございます‼︎」
と、深々と頭を下げた。
貴族らしくないぞ。
なんとなく愉快になって、
なんとなく隣の椅子に座ってた。
同じ制服同士のせいか垣根が低い。
スタッフが直ぐに元のテーブルから本やティーセットを運んでくれた。
レリア君が選んでいた紅茶も同じフレイバーで。
積み上がってた本も殆どが被っていた事で、話が咲き始めた。
オクタは認識阻害が効かないようにしている。
レリア君の眼鏡はズバリその物だ。
かなり強烈で、全身までをやんわり覆っている。
……この俺ですらぼんやりとしか本体が見えない程に強烈だ。
~~うん、かなり美形だ。
なのに、なぜ地味なモブ顔に見せているんだろう。
女の子なら、地味顔幼児体型をナイスバディ美女に誤魔化す為に使ったりするんだがな。
レリア君はほうっ、と息を吐いた。
「凄いですねえ。オクタ様は、この魔法陣も解析出来るんですね。」
キラキラした尊敬が眩しい。
まるで幼い子供が初めて虹魔法を見た時の様に、純粋で真っ直ぐな心がこっちに向かってくる。
……心臓が止まるかと思った。
自分の心音が、全身をドクンドクンと殴っている。
なんて。
なんて心地良いんだ。
媚びも打算も策略も、一欠片も無い賞賛。
オクタは耳まで赤くなり、いやぁそんな事ないよ。と、笑みを浮かべた。
そうして意見を交わし合い。
しばらくして、レリア君は
「じゃあ、また!」
と、手を振って楽しそうに帰って行った。
~~ロダンの気持ちが少しわかる気がする。
自分の内で何かが弾けている。
もっともっと魔法陣の勉強がしたい。
錬金する為の方式を作りたい。
心がワクワクと震えている。
オクタはチップを置くとアピエスから出た。
降り仰いだ空は夕暮れに近く。
オレンジ色の雲が光っている。
その向こうに透き通るような夜が、足早に来るのが見えた。
ああ、透き通るような紫。
レリア君の瞳もあんな感じに見えたなぁ。
心がドキドキと思い出す。
もっとも真っ新で純粋は、俺にとって毒に近い。
遠い空に憧れるように、見守ることは出来るけどな。
俺には下品で打算的な女がちょうどいい。
……もっとも、なぜ美貌を隠すのか。
オクタは、この澱んだような退屈な日常が、ワクワクするものに変わっていくのを感じた。
ふと、興味が湧いた。
学園の図書室には無い物を探している訳だしな。
いつもなら読み終わった本をテーブルに積み上げたまま、チップを挟んでスタッフに任せるのに、つい何冊か持って立ち上がる。
まるで自分で本を書棚に返却する体で、ぶらぶらと何気に通ると、
「♢▽…、ダ・ボルゾイ△」
と、単語が聞こえた。
ダ・ボルゾイは異端と言われた昔の錬金術師だ。
禁術と言われた時代もあって、その書は少ない。
ふと見るとそのレリア君と目が合った。
~~いや、彼の目は、オクタの手元を見ている。
口が、あ、と開く。
そうか、探していたのはこの本か。
掲げて見せると、ぶんぶんと頷いた。
「い、良いんですか。」
全身から"嬉しい"が放出される。
本を渡すと
「ありがとうございます‼︎」
と、深々と頭を下げた。
貴族らしくないぞ。
なんとなく愉快になって、
なんとなく隣の椅子に座ってた。
同じ制服同士のせいか垣根が低い。
スタッフが直ぐに元のテーブルから本やティーセットを運んでくれた。
レリア君が選んでいた紅茶も同じフレイバーで。
積み上がってた本も殆どが被っていた事で、話が咲き始めた。
オクタは認識阻害が効かないようにしている。
レリア君の眼鏡はズバリその物だ。
かなり強烈で、全身までをやんわり覆っている。
……この俺ですらぼんやりとしか本体が見えない程に強烈だ。
~~うん、かなり美形だ。
なのに、なぜ地味なモブ顔に見せているんだろう。
女の子なら、地味顔幼児体型をナイスバディ美女に誤魔化す為に使ったりするんだがな。
レリア君はほうっ、と息を吐いた。
「凄いですねえ。オクタ様は、この魔法陣も解析出来るんですね。」
キラキラした尊敬が眩しい。
まるで幼い子供が初めて虹魔法を見た時の様に、純粋で真っ直ぐな心がこっちに向かってくる。
……心臓が止まるかと思った。
自分の心音が、全身をドクンドクンと殴っている。
なんて。
なんて心地良いんだ。
媚びも打算も策略も、一欠片も無い賞賛。
オクタは耳まで赤くなり、いやぁそんな事ないよ。と、笑みを浮かべた。
そうして意見を交わし合い。
しばらくして、レリア君は
「じゃあ、また!」
と、手を振って楽しそうに帰って行った。
~~ロダンの気持ちが少しわかる気がする。
自分の内で何かが弾けている。
もっともっと魔法陣の勉強がしたい。
錬金する為の方式を作りたい。
心がワクワクと震えている。
オクタはチップを置くとアピエスから出た。
降り仰いだ空は夕暮れに近く。
オレンジ色の雲が光っている。
その向こうに透き通るような夜が、足早に来るのが見えた。
ああ、透き通るような紫。
レリア君の瞳もあんな感じに見えたなぁ。
心がドキドキと思い出す。
もっとも真っ新で純粋は、俺にとって毒に近い。
遠い空に憧れるように、見守ることは出来るけどな。
俺には下品で打算的な女がちょうどいい。
……もっとも、なぜ美貌を隠すのか。
オクタは、この澱んだような退屈な日常が、ワクワクするものに変わっていくのを感じた。
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