ざまぁされた悪役令嬢の息子は、やっぱりざまぁに巻き込まれる

たまとら

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始まっていく

57 奴、あらためタロ

手を後ろに固められ、喉に刃を当てられて 奴 は笑った。

「ステルスのスキル持ってるんだぁ。驚いちゃったよ」

薄く笑ったままだ。

「無駄だよ。腕を折っても頭をもいでも、私に影響ないからねぇ…」

その言葉が、あれっ?と、尻すぼみになる。
そして、びくんと目を見開いた。


「「 自動人形かっ‼︎  」」

奴 とサモエドの声が重なる。


奴 が振り返ったおかげで刃が喉を擦って血が飛沫いた。
ぱっくりした傷に思わず怯むベルガーの腕を、奴 はぐりっと掴んだ。

「凄いよ!自動人形だよねっ!
 ああ表面温度が部位ごとに違う!
 産毛がセンサーを兼ねてるんだね。
 凄い!凄いよっ!人にしか見えない‼︎」

だらだら血を流しながら捲し立てる 奴 に、ベルガーの腰は引けている。


「ねぇ、誰も人形だと気付いてないでしょう?ねぇ、誰が作ったの?凄いよ!皮膚呼吸もしてる!」

ベルガーに抱き付く 奴 に。
サモエドは後ろから『俺だ。』と、手を挙げた。

おうっ‼︎
と叫ぶと反転して、血の飛沫を撒き散らしながら 奴 はサモエドの手をとった。


「欲しいよぉ。これ、ちょうだい!
 すんごく欲しい!」

……馬鹿なのか?




サモエドが見切った通り、奴 は自動人形だった。

「でも皮膚呼吸も出来て無いし。魔力で覆ってないと表面温度もおぼつかない…なんか人形って、見え見えの出来だからさぁ。」

と、奴 はベルガーを褒めた。

「凄くショック!私より精巧なボディを創れる錬金術師はいないと思ってたから。」

おかげで私はゾンビもどきなんだよね。
と、ぼやきつつ、いつの間にかテーブルについて 奴 は茶を飲んでいた。
あ、お茶菓子はチョコ系のクッキーでよろしく♡
と、ベルガーに言っている。

喉を白い布で押さえながらにこにこ笑って喋り出す。

……なんだこれ。


圧倒されていつの間にかサモエドもきちんとテーブルについていた。

「ああ、このボディ。そろそろ寿命なんだ。
代わりは用意してあるんだけど。今カルチャーショック受けてジワってるからさぁ。」

奴 は、好きに呼んで。と、言った。
確かに"奴"では座りが悪い。



そのボディの元になった人間は?
と、聞くと大陸の東にあった国だけど。
もう無いから。と答えた。

その姿を映してるって事は気に入ってたんだろう?
その民族の代表的な名前で呼ぶよ。
と、教師のようなサモエドに、はにかむように 奴 は『タロ』と告げた。
そして 奴 はタロになった。

タロは遥か昔に人間で錬金術を行う魔術師だったそうだ。
ソレがなぜ自動人形にというと、
『人形は頭が捥げても動けるし、好きに外見をカスタマイズ出来るから。始めは人間になってたんだけど、じゃん。』
そして、ソレが出来るのは、ヒ・ミ・ツ♡
錬金術師のとっておきの秘儀だと言う。



「ねぇ、レオン・ベンガーちょうだい!」


この敷地で敵対行動はしません。
という宣誓契約を結んでから、タロは、なんか、傍若無人になった。
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