ざまぁされた悪役令嬢の息子は、やっぱりざまぁに巻き込まれる

たまとら

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終結に向けて

78 セルカーク

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「凄いやっ♡」

サフィアの弾んだ声があがった。

「サモエド。もうコレを作れるんだねっ!」

大きく口を開けて駆け寄ろうとする肩を、セルカークが抱き留める。
不満気に振り返ったサフィアタロは、飲み込もうとする様なセルカークの濃金色の瞳に、目を見開いた。

見つめ合う二人。
飲み込もうとする二人。
サフィアタロの目の奥に何かがちらちらと瞬く。

「…ふぅ、ん。あの女ミラーテが執着するのって、分かる気がするよぉ。その目。確かに"力"があるねぇ。」

サフィアの声なのに。
サフィアの顔なのに。
それは何処か淫靡な愉悦が蜜のように滴って、ぞくりとするものがこもっていた。

濃い桃色の舌がぺろりと唇を舐める。
自分の美しい首筋を見せつけるように首を傾げ、白い腕をが蛇のように絡みついてきた。

「うん。素敵だよ。
うん。確かにその目の子供を産んでみたい。」

セルカークの金の髪にざわざわと這い登り、後ろに回った指がぐっと力を込めて、顔を自分へと近づけた。



セルカークの目前にサフィアがいる。
夢にまで見た愛おしい女がいる。
彼女は自分に抱きついて、うっとりと見上げている。

その濃い葡萄色の瞳。
柔らかな微笑み。

くらくらと心が震える。

幸せだ。
幸せだ。

もう、離さない…

だのに、何故だろうこの違和感。


サフィアタロの唇がセルカークに合わさる。
セルカークの唇の間に舌が滑り込み、歯列を割っていく。
口蓋を舌先で愛撫され、じんじんと痺れる熱が腰に溜まっていく。

近すぎて滲む葡萄色の中に、何かがちりちりと見え隠れする。
まるで下草の中で狙いを澄ます毒蛇のような何かが…

ねちょりといやらしい水音がする。
それがぐちゅぐちゅと掻き回す音になって、ああ、唇が離れる僅かな間さえ切ない。

セルカークの意識が薄れていき、腕の中の最愛をさすり上げるように抱きしめた。


セルカークが膝を付いて、縋るようにサフィアタロを愛撫する。
サフィアタロはゆっくり唇を離すと、サモエドとレリアに目を向けた。
その唾液で濡れた唇が、にいっと笑う。

「決めたよ。この人の子供も産む。
ボディのスペアはいいしね。」



こっちにきて。

そう言うサフィアに、レリアは目を見張った。


「…タロ?」

「そうだよ。わかった?」

「な、なんで母様の身体に居るの?」

ふらふらと近づこうとするレリアの肩を、サモエドは止めた。


「ん~。女のボディが欲しかったんだよ。
レリアみたいな子供を産んでみたかったんだ。」

自分の腰に縋り付いている金髪セルカークをがしがしと撫でる。

「な、なんで。なんで母様なの?」

嫌々をするように頭を震えるレリアに、サフィアタロはふっと小首を傾げた。
見慣れた顔が不思議そうに笑う。

「だってこの人、綺麗だし。
それにこの人、空っぽだったよ。
心はどっかに封じられて、決まった動きしか出来てなかった。
時戻しまでして細胞も保存されて、ず~っとこの姿でいるだけ。ただいるだけ。
…それって死んでるのと一緒だよね?
だったら私が愛したり産んだりした方がいいんじゃなぁい?」

……空っぽ?

レリアが戸惑っている間に、空間がふるりと揺れてベルガーが現れた。
目敏くサフィアタロが気付く。


「おかえりベルガー。
ああ、君もセクサロイドにして、子供が出来るか試すのもいいねぇ。
人間と人形の狭間が何処だか調べちゃうのも素敵だなぁ。
ああ、次から次へと知りたい事が出て来ちゃう♡ すんごく、幸せだなぁ」


サフィアタロの声に反応も見せず、ベルガーはサモエドに歩み寄った。
その耳元に囁く。

サモエドは、はっとサフィアを振り返った。
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