足元に魔法陣が湧いて召喚されたら、異世界の婚活だった件

たまとら

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異世界の事情

4 カールおじさんと召喚

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カールは床の魔法陣が完全に光を消すのを待った。
今回はチキュウという世界のニホンという国だと言う。
素早く魔法陣の中の人数を数える。
男が3人女が9人、合計12人だ。

ありがとうございます、女神様。
前回の召喚者は既に平均2、3人の子供を産んでおります。
女神様のおかげで子供は増え、人口の裾野は順調に広がっております。
カールは感謝の祈りを唱えた。


さあ、これからだ。
上手く魔法陣から出てくる様にしなければ。

この魔法陣は元の世界と繋がっている。
いわばその中はまだ向こうの世界なのだ。
この魔法陣から出た途端にこちらの世界の者となる。
それも女神様の計らいで、元の世界への未練や記憶は薄れていくのだ。
ここから出てくれたら、この召喚の儀は成功と言っていいのだ。

以前は異世界というものに恐怖と拒絶で、気を失ったり暴れたりしたらしい。
魔法陣としての機能が完全に停止してないうちに暴れられたら、さらに別な世界に飛ばされるという事故もあったそうだ。

優しく、穏便に。まず魔法陣から連れ出す事が私の優先課題だ。
幸いチキュウのニホンは、列になって集団で行動する本能があると24年前の記録に書かれていた。
"冷静に考えさせず、自信ありげに行き先を示し、速やかに連れ出す事が成功の鍵だ"と、但し書きがあった。

そんな訳で無事部屋に案内して。
次に記憶を吐き出させる。

「人権無視」
「家畜扱い」
「ヤリ目的」
そんな怒号を聞き流す。

カールは煽る。

出せば出すほど、空いた心と記憶の隙間をこの世界が埋めていくのだ。
叫んでいるうちに、自分が何故怒っているのかわからなくなった女の子がぽやんと辺りを見回してきた。
良し良し。こうやって記憶に膜を被せていくのだ。

でも、やだよねぇ。
私だったら家族から引き離されたら、辛くて死にたくなるからねぇ。
カールはポケットに手を入れて石を握った。
すべすべな冷たさが自分を落ち着かせてくれる。

カールはにこにこと異世界人達を調べる。
カールがこの役職に着いたのは鑑定の能力があるからだ。
それも誤魔化せない程に強力な。

異世界人達はだいたい光だの剣聖だのを持っている。
女神様から貰ったものだ。
どうせレベルは1どまり。大したものじゃ無い。
すぐに番と出会って、夢中になって、訓練なんて地道な事は考えもしなくなる。
この子らの魔法はどうせせいぜい生活に使えるものになるくらいだろう。

召喚に慣れた異世界では、チートと言って女神様から能力を奪おうとしたらしい。うんざりした女神様は、直接前に現れなくなったらしい。
祝福の魔法もたいしたものを渡さなくなったそうだ。
おかげであまり珍しい固有魔法は見つからない。

そう思っていた時、その二人に気がついた。兄妹だ。
喚く同朋を、部屋の隅から醒めた目で見ている。
その能力を読んで、ひくっと口元を引き攣らせた。

うっわぁ! 耐性のパレードだぁ。
物理も精神も、異常耐性もある。しかも毒まで⁉︎
なんだこの子ら、腐った物食べて殴られていたのか⁉︎
男の子なんか物理はレベルは7だし他もすんごく高い。

ちょっと待ってくださいよぉ。
こんなに耐性があったら、この世界になかなか染まったりしてくれないんじゃないかなぁ。
しかもこの男の子、文字化けして読めないのが続いてる。
まさかのシークレット固有魔法だ‼︎
これって女神様が気に入りに付けるおまけみたいなもんだよね。

女の子は儚い人形の様に。
男の子はギラつく目で、辺りを見ている。


カールは、自分が言う事じゃ無いけれど…
と、脳内で一人問答しながら女神様に祈った。

この子達が素晴らしい番と出会って、幸せになりますように。
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