足元に魔法陣が湧いて召喚されたら、異世界の婚活だった件

たまとら

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押しかけ護衛はNoとは言えない

2 それぞれの旅立ち

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ハナはサンドロにエスコートされて歩いている。
その花道の両脇には、赤だの緑だのとギンギンに着飾った貴族が連なっている。
色が混ざり合ったら黒に近いというのは本当だなと、レンは思った。
正面にある三段ほど高い王座に王が座っている。
花道を開けて群れている貴族達は、何かの生き物のようだ。

ハナ達は王からの祝福の言葉を受けて、旅立つ許可を貰う。
それを見に貴族達が群れているのだ。
もっともその視線はキョロキョロと獲物を探していて、
こっちを見つけた途端一点集中が突き刺さるように痛い。
壁際でひっそりと隠れているつもりのレンは、フェイスベールの下でダラダラと汗を垂らした。

ハナ達が礼をして辞去してから、その場は更に緊張感が高まった。
こっちをターゲットに目がギラついている。
うっひいとレンの心は縮んだ。

そんなレンの手をぽんぽんと軽く叩いて、カールさんが人混みからぬるりと連れて行く。ありがたい。
いてくれるとほんっとに安心する。

今、レンはフェイスベールで歩いていた。
傷が残ったと噂を流し、外見の変化を秘密にした。
しかも暇乞いをするのだ。
『番契約を交わすことにした』(名前が長くてよく分からん男と⁉︎)ので暇乞いする。

顔も知らせずに、そーっとフィールドアウトすること。
それがカールさんと話し合って決めた答えだ。

異世界人が旅立ちの挨拶と祝福を受けるのはほとんどイベント状態で、貴族達はガヤになって来てたらしいが今回は別格らしい。
まだフリーのレンがいて。本当の番は現れていない。
なんちゃらなんちゃらと言う長い名前の貴族と番契約をすると言うことだが
契約を交わす前に自分へと反意しないだろうか、いやさせよう!とワンチャン狙いが押し寄せたと言う訳だ。
いわなくてもカールさんがガードしてくれてたらしい。

レンはさも弱々しくて大人しそうに、縋る様にカールさんと歩いた。
わざわざ言わなくても狩猟民族で肉食白人の中で草食民族は華奢だ。
上手く逃げ出す為に、弱々でちょろそうなのを印象ずけておくのだ。

はっはっは。もう少しの辛抱だ。
これが終わったら、他の貴族に接触される前に新しい家に行く。
そこには芝犬のようなジャダが待ってる筈だ。


あの日。

押しかけ護衛を申し出たジャダに、カールさんが一年限定でと許可を出した。
なんでアンタがオッケーすんだよ‼︎と思ったが

「独り立ちできる様に暮らしを学んだり、魔法を学んだりする為にはジャストタイミングですねぇ。王宮の紐付きから離れる事はレン様のお望みにピッタリですよぉ。」

と毒の抜けるほにゃんした笑顔を向けられて、そんなもんかなぁと思った。
しかもカールさんはぺらりと羊皮紙を取り出して

「大丈夫、ご心配ご無用ですよぉ。
レン様を裏切れない契約で縛っちゃいますからねぇ」と笑った。
ジャダさんとニャウムの引き攣った顔を見る限り、相当エグい魔法契約なんだと思う。

「サンドロ様から違約金をたーっぷり搾り取りましたから、とりあえず街に慣れてこの世界で好きに生きましょうねぇ」

あ、私も含めてこの部屋にいる者全てに喋る事を禁ずる魔法を掛けてますから安心して下さいねぇ。
そうにんまりするカールさんはちょっと黒い。でも嫌じゃ無い。

ありがたい。
凄く助かる。

でも、そんなに良くしてくれていいのかなぁ?
他人の、大人の親切って後が怖い。
いい思い出が無い。信用してはいけないのに。

でも、なんか…
この気の抜けるカールおじさんは、大丈夫な気がした。

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