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辺境で大暴れ
14 竜。いろいろ考える。
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同じ年の友達は初めてだ。
頑張って勉強した後は一緒に遊ぶ。
剣の稽古も、同じくらいの体格の相手は新鮮だった。
領主の館の外は、ウチとは全然違っていた。
山岳地帯で高地なウチは、家もがっしりとした作りで、風があるからあまり高い建物は無い。
館の塔に連れて行ってもらった時、その高さと見晴らしに驚いた。
高い木の上とは違う。
二本の足を床に置いてのその景観は、自分がこの世界に君臨しているかのような多幸感をもたらす。うん、お尻がちょっとぞわぞわした。
「ねえ、ジャス。ジャスも空から見下ろすとあんな感じなの?」
『いや、もっと凄いよ。人が、蟻のようだ。地上には俺の影が舐めるように走ってくし。』
「そっかあ。凄いねぇ。」
たまの休みの日。山でジャスと転がる。
最近来ないと言うジャスに、パパラチャの話をした。
俺は広がった世界に毎日が忙しい。
初めて海を見た話。獣人とかもいて賑やかな市場の話。そのドキドキに、ジャスはふうんと呟いた。
なんかしばらく考えて、ぐっと体を乗り出した
『俺が人間で、一緒に暮らしてたら嬉しいか』
ルビー色の目の中に、ぽかんとした方の俺が映っている。
キラキラした赤は、俺を飲み込んで行きそうだ。
「そりゃ、もちろん!」
俺は大きく頷いた。
ジャスが人間で友達なんて最高じゃん。
その返事にジャスは満足そうに頷いた。
この日から一週間もしないうちに王宮が伝書陣が飛んできた。
『帝国の貴族のご子息をお迎えする事になった。護衛も付けず、執事も付けず、子供としてありのままに過ごすことをお望みだ。』
父様がそう宣言して、なんかわかんないうちに用意され、領民に伝えられ、あれよあれよと言う間にその日になった。
V字編隊に竜がくる。
庭に降り立った竜騎士が連れていたのは、黒髪の少年だった。
「お世話になります。ジャスパー・レ・アルマンディンです。」
お辞儀したのは人間。
…あれ、この子って。
お口チャックでセレモニーを乗り切る。
ときどきちらちら伺うと、彼も赤い目で見ていた。その目に悪戯な光がちらちらする。
やがて護衛も執事も帰らせて、残ったのは彼一人。
部屋を案内するように先に立つ。
すました二人が部屋に入った時、キーランはジャス(人型)の腹に拳を入れた。
「どゆこと!どゆこと!」
痛みで丸くなりながらジャスは笑っている。
「嘘じゃないぞ。俺は貴族籍を持っている。」
隣の帝国とは青霧山脈という、万年雪の高い山に隔てられている。
名前の通り、絶えず霧が渦巻き、瘴気と魔獣が徘徊するところだ。
竜の子孫だとか、獣人が沢山だとかいろいろ噂はあるけれどはっきりしない。山脈は人を拒絶してるし、海から行くしか道は無いから。
まぁ、下々と違って王宮はもちろん交流がある。凄い魔道具を輸入したとか、留学生が来たとか聞いた事がある。
人型になれたジャスは、これ幸いと領地に戻り、留学を申請したそうだ。
……なんか、ご都合っぽく無い?
「俺、人化できるようになったのにさ。」
ジャスはゆっくり俺の肩を抱いて頭に顎を乗せた。(そう、俺より背が高い!ムッキー!)
「キッキとあまり会えなくなってつまらないんだもん。」
もん。って何だよ。もん。って!
心がぐらぐら嬉しさで湧き立つ。
恥ずかしいやんけ!
でも、満更でもない!
可愛いぞジャス!
「ちゃんと王宮を通して、滞在費から教育費から出てるから。」
親指と人差し指でお金マークをつくる。
ーーちょつと下世話です。
「俺と一緒に勉強して、学園行って、楽しく過ごそうね。」
まあ、楽しくするのはアリだ。
あぁ、世間的に問題無いならオッケーだ。
明日からの毎日を考えて、俺はニヤニヤ笑った。
頑張って勉強した後は一緒に遊ぶ。
剣の稽古も、同じくらいの体格の相手は新鮮だった。
領主の館の外は、ウチとは全然違っていた。
山岳地帯で高地なウチは、家もがっしりとした作りで、風があるからあまり高い建物は無い。
館の塔に連れて行ってもらった時、その高さと見晴らしに驚いた。
高い木の上とは違う。
二本の足を床に置いてのその景観は、自分がこの世界に君臨しているかのような多幸感をもたらす。うん、お尻がちょっとぞわぞわした。
「ねえ、ジャス。ジャスも空から見下ろすとあんな感じなの?」
『いや、もっと凄いよ。人が、蟻のようだ。地上には俺の影が舐めるように走ってくし。』
「そっかあ。凄いねぇ。」
たまの休みの日。山でジャスと転がる。
最近来ないと言うジャスに、パパラチャの話をした。
俺は広がった世界に毎日が忙しい。
初めて海を見た話。獣人とかもいて賑やかな市場の話。そのドキドキに、ジャスはふうんと呟いた。
なんかしばらく考えて、ぐっと体を乗り出した
『俺が人間で、一緒に暮らしてたら嬉しいか』
ルビー色の目の中に、ぽかんとした方の俺が映っている。
キラキラした赤は、俺を飲み込んで行きそうだ。
「そりゃ、もちろん!」
俺は大きく頷いた。
ジャスが人間で友達なんて最高じゃん。
その返事にジャスは満足そうに頷いた。
この日から一週間もしないうちに王宮が伝書陣が飛んできた。
『帝国の貴族のご子息をお迎えする事になった。護衛も付けず、執事も付けず、子供としてありのままに過ごすことをお望みだ。』
父様がそう宣言して、なんかわかんないうちに用意され、領民に伝えられ、あれよあれよと言う間にその日になった。
V字編隊に竜がくる。
庭に降り立った竜騎士が連れていたのは、黒髪の少年だった。
「お世話になります。ジャスパー・レ・アルマンディンです。」
お辞儀したのは人間。
…あれ、この子って。
お口チャックでセレモニーを乗り切る。
ときどきちらちら伺うと、彼も赤い目で見ていた。その目に悪戯な光がちらちらする。
やがて護衛も執事も帰らせて、残ったのは彼一人。
部屋を案内するように先に立つ。
すました二人が部屋に入った時、キーランはジャス(人型)の腹に拳を入れた。
「どゆこと!どゆこと!」
痛みで丸くなりながらジャスは笑っている。
「嘘じゃないぞ。俺は貴族籍を持っている。」
隣の帝国とは青霧山脈という、万年雪の高い山に隔てられている。
名前の通り、絶えず霧が渦巻き、瘴気と魔獣が徘徊するところだ。
竜の子孫だとか、獣人が沢山だとかいろいろ噂はあるけれどはっきりしない。山脈は人を拒絶してるし、海から行くしか道は無いから。
まぁ、下々と違って王宮はもちろん交流がある。凄い魔道具を輸入したとか、留学生が来たとか聞いた事がある。
人型になれたジャスは、これ幸いと領地に戻り、留学を申請したそうだ。
……なんか、ご都合っぽく無い?
「俺、人化できるようになったのにさ。」
ジャスはゆっくり俺の肩を抱いて頭に顎を乗せた。(そう、俺より背が高い!ムッキー!)
「キッキとあまり会えなくなってつまらないんだもん。」
もん。って何だよ。もん。って!
心がぐらぐら嬉しさで湧き立つ。
恥ずかしいやんけ!
でも、満更でもない!
可愛いぞジャス!
「ちゃんと王宮を通して、滞在費から教育費から出てるから。」
親指と人差し指でお金マークをつくる。
ーーちょつと下世話です。
「俺と一緒に勉強して、学園行って、楽しく過ごそうね。」
まあ、楽しくするのはアリだ。
あぁ、世間的に問題無いならオッケーだ。
明日からの毎日を考えて、俺はニヤニヤ笑った。
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