結婚したい男と、結婚させたい奴等と、結婚したくない僕。の話

たまとら

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結婚が降りかかってきました

21 手遅れ 〜マデウス〜

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瑠璃色の目が、真っ直ぐこちらを射抜く。
それを縁取る紅いまつげが、耳から延びる血の筋とともに、花弁の様に燃えている。

ルカは傲然と顎をあげ。
こっちに向き合っていた。

……綺麗だ。

こんな時なのに場違いに見惚れ、
間抜けな呟きが唇を揺らす。


ちょろいと思ってた。
一度関係を持った仲だ。

ドルグランの町で、従者に誘わせた子息。
従者はつるりとテーブルに案内し、部屋まで取ったから、てっきりこんな遊びに慣れてる奴だと思った。

だから驚いた。
媚薬が切れたらガタブルで。
必死に初めてを隠してる。

もろ初めての様子に、何処かの手のものかと疑ったけど。
蓋を開けて見たら"王家に取り込まれない為の処女喪失"のためだった。

悪いな。

俺がその王家の一員だ。

第三王子として産まれた俺は、王家の裏を受け持った。
第二はスペアだが、第三ともなると派閥的にも目溢しされる。 おかげで裏部分だ。

だからツェルベーツ家の事も知っている。
何代も前から王家が取り込もうとしていた家だ。
どこにも綻びも弱味も無い、取り付く島もない家の紋章を付けた子息。

悪いなルカ。

このチャンスを逃すほど俺は御人好しじゃない。
今の第二王子のディサロが、幼い時から執着してたのも知ってるが、こればっかりは早いもの勝ちだ。


そうして誘いに乗って、ベッドインした。
せっかくだから逃がさない様に、ピアスを交わす。
俺のは王宮魔導師が、特別な護法を付与しているから俺以外では外せない。

王家の権力と宝石と俺。
今までうんざりするほどに擦り寄られてきたソレに、どうせこいつも直ぐに魅入られるはずだ。
……と、思ってた。

逃げ場のない様に、王宮のガーデンパーティーで他の貴族の前でどかんとぶち上げた。
きゃんきゃん騒いでも、逃げ場は無い。
自分の名誉と立場を考えて、直ぐにおとなしい婚約者に変身だ。
……と、思ってた。


まさか、外せないピアスごと自分の耳たぶを切り取るなんて、考えもしなかった。



自分の肉片を乗せたまま手を突き出す。
その目は嘘を許さないぞ。と、真っ直ぐに見ている。
その瑠璃色の目は、こっちを煽るようだ。
こんな焔の様な人間。
初めてだ。

自分は自分のものだ。
お前のものにはならない。

そんなこっぱずかしい理想を堂々と口にして、ルカは俺に縁切りを迫った。


現れた白い竜は、噂で聞いてたのと違った。

俺に向ける目は地獄の魔王のようだ。、
息一つで跡形なく滅されそうな…。
それがルカに笑顔を浮かばせて一つになって飛翔していく。

なんなんだ、あの化け物。
アレは手を出しちゃいけない奴だ。
あれを欲したら傾国する…


頭の中で理性がストップをかける。
でも心の奥底で、あの瑠璃色に見られたい。
もう一度手にしたい。
そう乞い願う自分がいた。

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