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不能公爵

10 余計なお世話だったのね

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「よろしいですか?初夜のお相手は緊張なさってます。優しく労ってあげてくださいね。」

少し低いセクシーな声に、デュークはうん。
と頷いた。

「よく解さないと、かなり苦痛を伴います。
愛する方が苦しまれるのは、とてもつらいですよね。」

デュークはうん、うん、と頷く。
熟しきった未亡人は穏やかな優しい雰囲気を纏っている。
デュークの胸はドキドキしていた。

閨教育という未知のものは、デュークの知的好奇心を刺激していた。
さらに、閨ごとを意識させる教師と二人きりに、落ち着かない甘酸っぱいものが込み上げる。
この人と、成人後に実地の教育が始まるのだと思うと、なんとなくぞわぞわした。



翌日、学園に行くと。
メンターとなっているウェイド(様はぜってーヤメロと釘を刺されている。)と話す。

メンターは入学した時に、対になって世話をする相手だ。
デュークのメンターは、二学年上の伯爵家の三男だ。
ウェイドという。
本来なら高位貴族の子息だったり、派閥の誰かだったりするのだが。
そんな決まりきったものじゃ面白く無いぞっ‼︎
と叫んだ父上(王弟)が、籤引きを言い出してこうなった。

ウェイドは俺の知らない街中の事に詳しい。
食堂や下町の話をしてくれる。
たまに護衛をまいて連れてってくれることがある。
にこにこと元気な下町は大好きだ。


昨日の閨教育の話をした。
ウェイドはにやりと笑う。
成人後に、実地が入るのでドキドキする。
と、言ったら、けっと笑った。

「枯れてる教育者とじゃ、なんの愉しみも無いけどねー」

そう、ウェイドは町の娼館にがいるそうだ。
なんか凄く大人の男って言う感じで、いいなって思う。

丁寧に、「手はここで添えましょう。」とか
「はい、ここで接吻して。」とか言われたら、そりゃちょっと萎えちゃうよね。
(兄上の閨係はそうだったらしい。)
でも王族の末端として、変な行動は取れないし、ね。

いいなぁ。 
娼館。

そんなデュークの思いを汲み取ったのか、ウェイドは背中をばん‼︎ と、叩いた。

「よし!お前の誕生日。こんど15で成人だろ。奢ってやるよ!」

「えっ?」

「俺の行きつけの娼館。奢ってやる‼︎
護衛をまいて、行こうぜっ‼︎」


ぐっと拳を握るウェイドは、かっこよかった。
デュークは目の前がぱあっ…と、明るくなった気がした。
大人の階段が目の前に伸びている。
ソレが遥か天国にまで伸びて、デュークを招いている。
進軍ラッパが鳴り響いて、わくわくが止まらない!


……それが、あんな事になるなんて。
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