ダークファンタジア番外編

ノクターン

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新作小話

土の精霊?

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 「ランララ~ン」
 ご機嫌で畑を耕していたのは土の神、サントスである。土の神だけに、土をいじくっている時が彼が最も安心できる時である。神様は野菜などはあまり食べないのだが、動物たちが食べるための野菜の畑もある。今サントスが植えようとしていたのはイチゴの苗である。
「かわいいイチゴ、ガーベラが喜ぶといいんだけど……」
 サントスはガーベラが美しい唇でイチゴを食べる所を想像していた。
「ガーベラにイチゴは合う。きっと合う!」
 苗を植えて人間界では一月ほど、イチゴの苗は大きくなっていた。サントスは毎日水をあげているおかげだろう。そしてもう一月ほど経って、イチゴの緑の実がなってきた。
「あ、イチゴの実がついてるよーかわいい!」
 ネルも喜んでいる。
「うまく育つといいんだけど」
 とサントス。
「大丈夫じゃない?」
「敵がいるからなあ……」
 サントスには敵がいる。その敵は、昔自分の神気から生まれた聖獣モグウサギたちだった。彼らは土の中にもぐって生活しているので、時々畑の下を移動してしまうのだ。土の中にはモグラたちも住んでいる。
「念のため、ボスモグラの寝床から離れてるんだけど……」
 サントスが「ボスモグラ」と呼んでいるモグラはかなり大きく畑を時々荒らすのだが、ボスモグラが通り過ぎた後に何かを植えるとよく育つのだった。信じられないことにアシュランは「あれは土の精霊だ」と言っている。

「精霊が獣の形をしているのは珍しいが、駆除しないように」
 とアシュランが言っているので、サントスも彼を邪魔にはしていない。ただ彼をよけて植えているだけである。この前違う場所が荒れていたので、サントスはイチゴを違う場所に植えたのである。
 
 さらに月日が経ち、イチゴもちらほら赤くなってきた。
「いい感じだ!」
 もう少しで収穫だ、と思っていたころ畑に来てみると、土はわやくちゃになり、イチゴがあちこちかじられていた。
「あーあ、モグラさんの仕業かなあ」
 ネルは残念そうだ。
「イチゴを食べたのはネズミや鳥たちだろうけど、土がすごく盛り上がっているから、ボスモグラがきたのかも」
「ボスがきたの?」
「きたかもね」
 畑の土は、普通のモグラの荒らし方ではなかった。モグウサギの荒らし方とも違う。
「ボス、たまには顔を見せてくれればいいのにね」
「そうだね。そういえば顔をみたことはない……」
 ふと見ると、盛り上がった土の中から真っ白い獣の手が出ていた。
「キュウ」
「鳴いた」
「あれがボスかな?」
「手がでかいからそうかもね」
 二人がじっとしていると、ひょいっと白い手が伸びて土色の毛並みが見えた。少しとがった口が見えて、すぐ土の中に引っ込んでしまった。
「猫くらいにでかいモグラだったなあ。あれがボスかな」
「でかかったねえ」
 ボスがいた所に行ってみると、土の中に大きな穴が開いていた。

 結局イチゴは5個ほどしか取れなかった。ガーベラの所には綺麗なイチゴが二個いっている。
「まあ、かわいいイチゴね!」
 ガーベラは喜んでイチゴを食べてくれたので、サントスもうれしかった。

 後日その場所にブルーベリーの苗を植えるととてもたくさんの実がなった。やはりあのモグラはボスモグラだったのかもしれない、と思ったサントスだった。
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