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新作小話
ラーズのぼやき
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神の国にて――
ガーベラの神殿の寝所にて、ラーズとガーベラは仲良くなったところだった。
「ガーベラ、実は話があるんだけど」
とラーズが切り出した。
「なあに」
「もう一人のガーベラのことなんだ。何度も接しているうちに、彼女自身を抱きたくなってきたんだよ。抱いてもいいかなあ」
「まあ、彼女も望んでいると思うわ。是非そうしてあげて」
ガーベラは嫌がるところか、むしろ勧めていた。
「ガーベラは、妖精には嫉妬するのに彼女にはしないんだね」
ラーズは奇妙な面持ちである。
「だって、彼女はいまや私の分身なんだもの。姿が違っててもそうなの。彼女は私が無理だったものをもたらせてくれた。私にとっては恩人だわ。彼女がいなかったら、私の周りもいろいろ違ってたと思うの」
「そうかな。彼女がいなくたってこうなっていたのかもしれないよ」
「無理無理。絶対無理よ。ラーズに愛されたら、彼女の愛のステージも一つあがるわね。うふふ」
ガーベラはむしろ喜んでいるくらいである。
ところが、ラーズがゆりにそういう話をもちかけても、ゆりの方は冗談としかとらなかった。
「まあ、彼女って奥ゆかしいところがあるわよね。決める時にはばしっと決めるのにね」
とガーベラ。
「確かに、決める時にはばしっと決めるのにな」
ラーズは笑いながら言っている。
「ラーズの方から押してあげたらいいじゃない」
「そうだな。そうしよう」
こうしてラーズはゆりに話があると伝言して、寝室に行った。ところがこの夜は、ラーズにとっては奇妙な夜になったのだった。
「夜這い、成功した?」
翌日クーリーフンはラーズを見かけて聞いた。その話をラーズから聞いていたのである。
「ハロルドに睨まれないようにね。ハロルドの彼女への愛はすごいからね」
「うーん、なんだかすごく面白い夜だった。実は抱いてないんだが、彼女に奇妙なことが起こって、蛇の女の子が彼女にとりついたんだ。それでその彼女といちゃいちゃした」
「はあ。蛇の女の子?」
「いやあ、なんかすごかったな。彼女がガーベラになれてる片鱗をみた気分だな」
「ふーん、彼女で興奮したことはしたんだ」
「興奮した。次は最後までしたいな。彼女が誘ってくれるのを待ってみようかな♪」
こちらから押してばかりというのもつまらないので、ラーズはちょっと待ってみることにした。
ところが、ハロルドからすぐに妙な話を聞いた。ゆりがハロルドを儀式に誘ったというのである。しかもハロルドは乗り気ではないようだ。
(私と成功したからハロルドともしたいって思ったのかな? 思い切って誘ったんだろうに断るなんてなあ)
「神のプライドなんてばからしい。一生気にしてろ」
ラーズはハロルドのプライドの高さに呆れた。
だがその後、ゆりもなかなか会いに来てくれないのでゆりの元に行ってみると、なんとゆりの様子が変わっている。
「ハロルドめ、手を出したな。っていうか、手を出すの遅すぎた気もするが……」
ハロルドがゆりのことを知ってからかなり時が経っていた。今まで手を出さなかったことの方が驚きである。
(さては、私に先を越されたくないと手をだしたんだな。あの時やっといたらよかったかもなあ)
ラーズはちょっと残念に思ったが、こうなったら今からって時に、なんとオルガまでやってきた。
(聖地でもこんなに他の神と鉢合わせることはないのに、ここはどうなってるんだか)
しかもゆりは神の国にきたのにラーズに会いに行かずにサラディンに会っていたようである。
(普通はあっちで私といちゃいちゃパターンだろう。自信なくすな。確かに君は人間の女にはあり得ない精神構造してるよ)
ラーズは、ゆりも神の国であの続きをしたいと思っているだろうと思っていたのだが、そうではないようだ。これはラーズにとってはちょっとショックだった。
「女の子を虜にする魅力くらいはあると思ってたんだけどなあ……」
ラーズのぼやきを聞いてクーリーフンは笑っていた。
「サラディンと何があったのかも気になる。覚えてないっていうんだぜー」
「あ、それ、僕のせいかも」
クーリーフンはそこに気づいた。
「どういうことだ?」
「ルティアナに媚薬をあげたんだよね。ルティアナはそれを二人に使ったのかもしれない」
「媚薬? 余計なことをするんじゃない」
ラーズは驚いている。
「でもサラディン、突然人間界に飛んじゃったなんて……笑っちゃ悪いけど笑っちゃうなあ」
クーリーフンは肩をふるわせて笑っている。
「サラディンに言っちゃうぞ」
ラーズはすね顔である。
「言わないでよ。怒られちゃうよ」
「じゃあ私にも媚薬をくれ」
「ラーズは持ち前の魅力でなんとかして」
クーリーフンはラーズの手を握っていた。
「その持ち前の魅力に自信をなくしている。彼女の中でも一番になれないとは」
「だから彼女はガーベラになれてるの。ラーズが一番になっちゃったら、もう無理でしょ」
「そうかな」
「そうだよ。あれだからなれてるんだよ」
「くそー、こうなったらハロルドよりも気持ちいいと言わせたい。夜這いに行こうかな。それとももっとこっちでしてからの方がいいかな。子供ができることもあるかもしれないしなあ」
ラーズは一人でぶつぶつ言っている。
「楽しそうでよかったね」
クーリーフンは、そんなラーズを残して去って行ったのだった。
ガーベラの神殿の寝所にて、ラーズとガーベラは仲良くなったところだった。
「ガーベラ、実は話があるんだけど」
とラーズが切り出した。
「なあに」
「もう一人のガーベラのことなんだ。何度も接しているうちに、彼女自身を抱きたくなってきたんだよ。抱いてもいいかなあ」
「まあ、彼女も望んでいると思うわ。是非そうしてあげて」
ガーベラは嫌がるところか、むしろ勧めていた。
「ガーベラは、妖精には嫉妬するのに彼女にはしないんだね」
ラーズは奇妙な面持ちである。
「だって、彼女はいまや私の分身なんだもの。姿が違っててもそうなの。彼女は私が無理だったものをもたらせてくれた。私にとっては恩人だわ。彼女がいなかったら、私の周りもいろいろ違ってたと思うの」
「そうかな。彼女がいなくたってこうなっていたのかもしれないよ」
「無理無理。絶対無理よ。ラーズに愛されたら、彼女の愛のステージも一つあがるわね。うふふ」
ガーベラはむしろ喜んでいるくらいである。
ところが、ラーズがゆりにそういう話をもちかけても、ゆりの方は冗談としかとらなかった。
「まあ、彼女って奥ゆかしいところがあるわよね。決める時にはばしっと決めるのにね」
とガーベラ。
「確かに、決める時にはばしっと決めるのにな」
ラーズは笑いながら言っている。
「ラーズの方から押してあげたらいいじゃない」
「そうだな。そうしよう」
こうしてラーズはゆりに話があると伝言して、寝室に行った。ところがこの夜は、ラーズにとっては奇妙な夜になったのだった。
「夜這い、成功した?」
翌日クーリーフンはラーズを見かけて聞いた。その話をラーズから聞いていたのである。
「ハロルドに睨まれないようにね。ハロルドの彼女への愛はすごいからね」
「うーん、なんだかすごく面白い夜だった。実は抱いてないんだが、彼女に奇妙なことが起こって、蛇の女の子が彼女にとりついたんだ。それでその彼女といちゃいちゃした」
「はあ。蛇の女の子?」
「いやあ、なんかすごかったな。彼女がガーベラになれてる片鱗をみた気分だな」
「ふーん、彼女で興奮したことはしたんだ」
「興奮した。次は最後までしたいな。彼女が誘ってくれるのを待ってみようかな♪」
こちらから押してばかりというのもつまらないので、ラーズはちょっと待ってみることにした。
ところが、ハロルドからすぐに妙な話を聞いた。ゆりがハロルドを儀式に誘ったというのである。しかもハロルドは乗り気ではないようだ。
(私と成功したからハロルドともしたいって思ったのかな? 思い切って誘ったんだろうに断るなんてなあ)
「神のプライドなんてばからしい。一生気にしてろ」
ラーズはハロルドのプライドの高さに呆れた。
だがその後、ゆりもなかなか会いに来てくれないのでゆりの元に行ってみると、なんとゆりの様子が変わっている。
「ハロルドめ、手を出したな。っていうか、手を出すの遅すぎた気もするが……」
ハロルドがゆりのことを知ってからかなり時が経っていた。今まで手を出さなかったことの方が驚きである。
(さては、私に先を越されたくないと手をだしたんだな。あの時やっといたらよかったかもなあ)
ラーズはちょっと残念に思ったが、こうなったら今からって時に、なんとオルガまでやってきた。
(聖地でもこんなに他の神と鉢合わせることはないのに、ここはどうなってるんだか)
しかもゆりは神の国にきたのにラーズに会いに行かずにサラディンに会っていたようである。
(普通はあっちで私といちゃいちゃパターンだろう。自信なくすな。確かに君は人間の女にはあり得ない精神構造してるよ)
ラーズは、ゆりも神の国であの続きをしたいと思っているだろうと思っていたのだが、そうではないようだ。これはラーズにとってはちょっとショックだった。
「女の子を虜にする魅力くらいはあると思ってたんだけどなあ……」
ラーズのぼやきを聞いてクーリーフンは笑っていた。
「サラディンと何があったのかも気になる。覚えてないっていうんだぜー」
「あ、それ、僕のせいかも」
クーリーフンはそこに気づいた。
「どういうことだ?」
「ルティアナに媚薬をあげたんだよね。ルティアナはそれを二人に使ったのかもしれない」
「媚薬? 余計なことをするんじゃない」
ラーズは驚いている。
「でもサラディン、突然人間界に飛んじゃったなんて……笑っちゃ悪いけど笑っちゃうなあ」
クーリーフンは肩をふるわせて笑っている。
「サラディンに言っちゃうぞ」
ラーズはすね顔である。
「言わないでよ。怒られちゃうよ」
「じゃあ私にも媚薬をくれ」
「ラーズは持ち前の魅力でなんとかして」
クーリーフンはラーズの手を握っていた。
「その持ち前の魅力に自信をなくしている。彼女の中でも一番になれないとは」
「だから彼女はガーベラになれてるの。ラーズが一番になっちゃったら、もう無理でしょ」
「そうかな」
「そうだよ。あれだからなれてるんだよ」
「くそー、こうなったらハロルドよりも気持ちいいと言わせたい。夜這いに行こうかな。それとももっとこっちでしてからの方がいいかな。子供ができることもあるかもしれないしなあ」
ラーズは一人でぶつぶつ言っている。
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クーリーフンは、そんなラーズを残して去って行ったのだった。
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