ダークファンタジア番外編

ノクターン

文字の大きさ
84 / 119
第12巻番外編

服が欲しい

しおりを挟む
神の国にて、女神ガーベラはアシュランに呼び出されて、雲の上の神殿にやってきていた。

「用って何かしら?」
「実は、お前が今着てる服が欲しい。くれ」
アシュランは真面目に頼んでいた。
「はい?」
「服だ。着替えも用意してあるからどこかで着替えてくれ」
アシュランは黄色い布地の服らしきものを手に持っている。
ガーベラは眉間にしわを寄せていた。
「私の服なんてどうするのよ」
「私が楽しむんじゃない。お前のファンにやるんだ」
「いやよーだ」
ガーベラはくるりと体を回転させてすたすた歩いて行った。

「おーい、グレン、ガーベラの服をもらってこい」
アシュランは裏でひかえていたグレンに頼んだ。
「はい」
グレンは内心(えー)と思いながら、アシュランから着替えを受け取ってガーベラを追った。今は娘のライサは不在である。

グレンは神殿を出ようとしているガーベラに声をかけた。
「ガーベラ様、お願いですから服をください」
「えー」
「ガーベラ様に、この黄色い服も似合うと思うんですが」
「しょうがないわね」
ガーベラはグレンをちらりと見て言った。
「ありがとうございます」
グレンは黄色い服を差し出したが、ガーベラは受け取らなかった。
「ただし、あなたが服を脱がしてちょうだい」
「え?」
「来なさい」
ガーベラは神殿の中に入っていった。そして雲の上の神殿の中の一つの小部屋に入った。そこは物置のような部屋で、部屋の半分くらいは家具が重ねておいてあった。
「さ、どーぞ」
ガーベラは突っ立ったままグレンに向き合った。
「どうぞと言われましても」
「あなたが脱がせて」
「はあ」
グレンは仕方なく、ガーベラの腰帯を取ってガーベラの肩から布を降ろした。その下はすっかり裸である。豊満な胸が露わになったが、ガーベラは肌を隠そうともしない。
「私の服なんてどうするのかしら」
「多分、何かのご褒美でしょう。ガーベラ様の服が褒美となると、その者は結構な働きをしたんじゃないでしょうかね」
グレンはガーベラの裸から目をそらせていた。
「へーどんな働き?」
「わかりませんが、かなりの働きだと思いますよ」
「褒美でわかるの」
「わかりますよ」
ガーベラは服から足を抜いて、グレンは無事ガーベラのピンクがかった服を手に入れた。
「ありがとうございます。では」
グレンはそのまま行こうとしていたのでガーベラが「ちょっとまった。着せてよ」と言っていた。

「着せるんですかあ?」
「何その嫌そうな声。あのね、普通ならば、ここで私を倒すのが筋でしょうよ。『ああ。もう体の昂ぶりが我慢できない』とか言って」
「ここは雲の上の神殿ですから」
「だから何よ」
ガーベラは裸で腰に手を当てている。
「誰かがくるかもしれないですし」
グレンは横を向いたまま言った。
「それに早く持っていかないと……」
「じゃあ早くしましょ」
「ここにはベッドも何も」
「じゃあ立ったままとか~」
ガーベラはグレンのあごに手をかけて自分の方を向かせていた。
「んー」
ガーベラはグレンにぶちゅっとキスした。

しばらくしてから、黄色い服を着たガーベラが雲の上の神殿から出て来た。
「なかなかかわいいじゃない。ねえ、どう? この服」
ちょうど男の妖精が通りがかったのでガーベラは髪をかきあげて聞いてみた。
「さ、さいこうにステキです」
妖精はちょっと前屈みに通り過ぎて行った。

そしてガーベラの匂いをぷんぷんさせながらやってきたグレンにアシュランは、「ここでいちゃいちゃするなと言っただろ」などと怒っていた。
「すいません」
グレンは頭を下げている。
「まったくうらやましいやつめ」
アシュランはガーベラの服を受け取りつつ言っていたのだった。


しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います

こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。 ※「小説家になろう」にも投稿しています

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

転生皇女セラフィナ

秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。 目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。 赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。 皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。 前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。 しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。 一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。 「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」 そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。 言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。 それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。 転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。 ※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

処理中です...