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14部
たまにはこんな日も
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雪が降り積もるある日のことである。城の周りはムサカの魔法で温度調節されていたので、城の侍女達も大勢城にとどまっていた。街に住んでいる者もいるのだが、寒いし雪が降っているので城からの行き来が大変なのである。戦士達は街の皆さんのため建物の雪下ろしや、食べ物の調達が困難な家庭には食べ物を配ったりと大忙し、ミカエル達もゆりといちゃいちゃする間もなく働いている。とてもじゃないが城から街への道を雪かきなどできないと思っていたが、なんとヴォルフがやってくれたので、みなありがたく思っていた。
「王妃、話を聞いてください」
そんな頃、ミカエルがゆりの部屋にやってきた。
「さっき西の街の見回りをしていたんですが、よくわからないんですが、なぜか女性に拝まれました」
「拝まれた?」
「その女性は私にすごく感謝してると言って泣きながら拝んでいました」
「……そうなんだ」
「どうやら土の祭りの時みたいですよ」
「ああ。あの時の!」
「おかげで結婚できましたって言ってましたよ」
「そうなんだ。よかったな。そういえば、オレンジの木は大丈夫かしら」
「一応布で覆ってますがね。今度行ったときに確認してみますね」
「お願いね」
(ミカエルの男ガーベラ様、ミカエルの声で歌とかも聴いてみたい。ハインリヒの声に負けないくらいうまいはず)
「ところで、私に来た神様って……」
「男ガーベラ様? もう半端なくいい男で性格もよくて、そして絶倫。多分、いや絶対に絶倫。愛欲の神様だから」
「絶倫、うらやましいですね」
ミカエルは真面目に言っていた。
この国では絶倫の男は尊敬される。
「私としては男ガーベラ様の信者を増やしたい。今のところ私の侍女くらいしか信者がいないから」
「私も男ガーベラ様に会ってみたいな」
「歌も楽器も上手なんだよねー。歌を聴きたいなー」
などと言っていたらミカエルの肩がぴくりと揺れた。
「では希望に応えて」
などと言っている。
「えー本当にガーベラ様ですか!? やったー!」
ゆりは大喜びだった。
ゆりは自分だけが楽しむんじゃもったいないので、城の広間で歌ってもらうことにした。手が開いた侍女達もやってきている。ミカエルに入った男ガーベラはハープを弾きながら歌を歌っていた。
「この図、新鮮!」
侍女達はうっとりと聴いている。
(ミカエルの声でも、やっぱりいい!)
「星の瞬き ふたりを包んで
言葉じゃ足りない 想い溢れる
君の温もり そっと抱きしめて
夜明けまで 夢の中 ふたりで
道の向こう 見える景色
ふたりの歩幅 重ねて進もう
小さな幸せ 集めてく
未来の地図 君と描いて
かわいいあなた いつまでも愛してる
どんな時も 僕がそばにいるから
君の笑顔 未来を輝かせて
この愛を 永遠に守りたい」
男ガーベラは三曲ほど歌ってくれた。
ゆりも侍女達も泣きながら拍手しまくった。
「最高に素敵です!」
「ガーベラ様の石像が欲しいです!」
「全世界の女性にガーベラ様を見せたい!」
ゆりと侍女はその後も男ガーベラの話で盛り上がった。
その後、ラクシュミからミカエルに思念が来た。
―城で歌ってたって本当か? 私の侍女が見たらしいぞ
―え? 記憶にないですが
―ハープもすごく上手だったらしいぞ
―ハープ? 弾いたことはないですよ
―……だよな
ラクシュミはその話をゆりにしなかったので、真相は謎のまま、終わったのだった。
「王妃、話を聞いてください」
そんな頃、ミカエルがゆりの部屋にやってきた。
「さっき西の街の見回りをしていたんですが、よくわからないんですが、なぜか女性に拝まれました」
「拝まれた?」
「その女性は私にすごく感謝してると言って泣きながら拝んでいました」
「……そうなんだ」
「どうやら土の祭りの時みたいですよ」
「ああ。あの時の!」
「おかげで結婚できましたって言ってましたよ」
「そうなんだ。よかったな。そういえば、オレンジの木は大丈夫かしら」
「一応布で覆ってますがね。今度行ったときに確認してみますね」
「お願いね」
(ミカエルの男ガーベラ様、ミカエルの声で歌とかも聴いてみたい。ハインリヒの声に負けないくらいうまいはず)
「ところで、私に来た神様って……」
「男ガーベラ様? もう半端なくいい男で性格もよくて、そして絶倫。多分、いや絶対に絶倫。愛欲の神様だから」
「絶倫、うらやましいですね」
ミカエルは真面目に言っていた。
この国では絶倫の男は尊敬される。
「私としては男ガーベラ様の信者を増やしたい。今のところ私の侍女くらいしか信者がいないから」
「私も男ガーベラ様に会ってみたいな」
「歌も楽器も上手なんだよねー。歌を聴きたいなー」
などと言っていたらミカエルの肩がぴくりと揺れた。
「では希望に応えて」
などと言っている。
「えー本当にガーベラ様ですか!? やったー!」
ゆりは大喜びだった。
ゆりは自分だけが楽しむんじゃもったいないので、城の広間で歌ってもらうことにした。手が開いた侍女達もやってきている。ミカエルに入った男ガーベラはハープを弾きながら歌を歌っていた。
「この図、新鮮!」
侍女達はうっとりと聴いている。
(ミカエルの声でも、やっぱりいい!)
「星の瞬き ふたりを包んで
言葉じゃ足りない 想い溢れる
君の温もり そっと抱きしめて
夜明けまで 夢の中 ふたりで
道の向こう 見える景色
ふたりの歩幅 重ねて進もう
小さな幸せ 集めてく
未来の地図 君と描いて
かわいいあなた いつまでも愛してる
どんな時も 僕がそばにいるから
君の笑顔 未来を輝かせて
この愛を 永遠に守りたい」
男ガーベラは三曲ほど歌ってくれた。
ゆりも侍女達も泣きながら拍手しまくった。
「最高に素敵です!」
「ガーベラ様の石像が欲しいです!」
「全世界の女性にガーベラ様を見せたい!」
ゆりと侍女はその後も男ガーベラの話で盛り上がった。
その後、ラクシュミからミカエルに思念が来た。
―城で歌ってたって本当か? 私の侍女が見たらしいぞ
―え? 記憶にないですが
―ハープもすごく上手だったらしいぞ
―ハープ? 弾いたことはないですよ
―……だよな
ラクシュミはその話をゆりにしなかったので、真相は謎のまま、終わったのだった。
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