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16、エティエンヌフューベルの男の姿
しおりを挟む先程までの甘く優しい空気が、まるで張り詰めた糸のように緊迫している。それを引き起こした張本人であるエティエンヌフューベルは、何が正解なのか激痛の中で考えていた。
(「どうする? 退出させる? いや、男になった瞬間は凛音の側にいたい」)
身体の変化に痛みが伴うことは妖精族の間では常識だった。一生で一度、運命の伴侶と結ばれる為に身体を大きく作り変えるのだ、痛みがあって当然。
通常の状態がほぼ女性体の妖精族は、ただ成長という状態で身体が大きくなるのが普通だったが、エティエンヌフューベルは違う。
現状の女性体の骨格から男性の骨格に変わり、今まであまり日の目を見なかった筋肉という筋肉が成長し、身体を作っていくのだ。
イヨカや他の妖精族らにも、こうなる(恐ろしいほどの激痛になる)だろうと言われていた。
身体の変化が生きた中で一番苦しかったと、この世を去っていった妖精族の多くがそう語り、一般常識として知らない者はいない。しかしこの苦しみの先に待つのは愛しい人との繋がり。
この世界で、妖精族のこの儀式を目の当たりにした面々が彼女らに魂を捧げたくなるのも納得できるだろう。
妖精族特有のこの世とも思えぬ絶世の美女が、この壮絶な痛みに耐えて己を選んでくれるのだ。それは夫婦仲がいいに決まっているし、誰もが死ぬまで溺愛なのには納得のいくところ。
(「あぁ、意識が…朦朧と…して…き…た」)
想像を絶する激痛は、エティエンヌフューベルの思考を奪っていく。
食いしばった唇から血が流れ、真紅の色をシーツに塗りつけている状態。鈍る思考を奮い立たせ凛音を視界に入れれば、その痛みも消え失せた。
恐いのだろう。身体は小刻みに震えていて、出せない声を必死にだそうと両手を首に添え何かを叫んでいる。
先程まで気持ち良さそうに喘いでいた姿からは、想像出来ない程の怯えようだ。
凛音の様子は可哀想だが、退出はさせてやれない。この場から動くようには促せない。
この激痛の先にあるのは、愛しい運命の人との性行為。神に最も近いとされている妖精族といってもそこは普通の人だ。
最高のご褒美を前にするからこそ、この苦しみに耐えきれるのであって、ご褒美がなければ迷わず死を選ぶ方が楽なのでは? という思考に陥るほどの激痛なのだ。
(「凛音…すまない」)
エティエンヌフューベルは心の中で謝る。どれほどの恐怖を凛音に貸すのだろうか分からないが、それでも側に居て欲しい。
(「見なくていい、聞かなくていい、ただ側にいて欲しい。私の、わがままを許してくれ…」)
少しでも恐怖が和らぐように、出来るだけ凛音の嫌いな〝あざとい〟という以前のエティエンヌフューベルを意識し声をかける。
ここがエティエンヌフューベルの正念場。
どうする事も出来ない凛音の顔に、突如柔らかな羽根がパサッと被さる。
羽根で視界が遮られ、その柔らかな感触と優しい香りに強張っていた身体から力がぬけ、やっと呼吸が出来た。
少しだけ思考回路が戻った凛音の耳には、懐かしいエティエンヌフューベルのあざとい声が聞こえてくる。
「…はぁ……はぁ…、凛音、あの…ね、目を、閉じていて。…耳は、両手で押さえて…ね」
凛音の顔にかかるエティエンヌフューベルの純白の羽根が、顔を優しく撫でていく。
「エティエンヌフューベル様? 誰かを呼ばないと、誰かを」
やっと出た凛音の声はかすれていたが、エティエンヌフューベルはそれよりも酷い。
「誰も呼ばないで…、これは…なるべくして…なって……。
…痛ッ………はぁ…ッんっ…、後少し…だから…、後少し…で終わるから…。
お……願…い…、待っ……て、…いてっ、んっっっっっっっ…痛っっっ……」
最後まで台詞を言えなかったエティエンヌフューベルの最後は苦痛の絶叫。
凛音は恐くて恐くて閉じている両目をさらに両手で覆い完全に視界を隠し、身体を小さく小さく折り曲げてうずくまる。
本当はエティエンヌフューベルが言うように、両手で耳を塞ぎたい。だけど。
(「見るのは無理、絶対無理だけど。耳を塞ぐのはしちゃダメ!! 絶対ダメ!!
きっとエティエンヌフューベル様はタニアさんみたいになるんだから!!! きっと、きっかけは〝これ〟に違いない」)
恐怖の中で、ストンと脳内に落ちた。
タニアは儀式と言った。身体を洗う際、一々洗い方の注意をされた。凛音に隠し事があるとも言った。そしてタニアからは決して言えないとも。
絶対に『これ』で間違いない。
妖精族だけが異様に大きさが違っていた。しかしちぐはぐなカップルは1組もいなかった。
イヨカやその妻パテは同じく体高30センチほどであるし、タニアはパッドと並ぶとちょうどいい体高だった。
では今の現状、エティエンヌフューベルと凛音はちぐはぐである。
思いがつながり儀式が終われば、身体が大きくなるのだろう。凛音と同じサイズになるに違いない。
伸びて変な方向に曲がった腕や、隆起した皮膚や骨が軋む音は成長の証なのだろう。
(「間違いなく『これ』が隠し事なんだ。本当は見た方がいいのだけど、見るのは無理です」)
小さく可愛いらしいエティエンヌフューベル様が、タニアのようなボンキュッボンになる過程がこれほどホラー映画のようだとは思っても見なかった。
苦しそうなエティエンヌフューベルの唸り声が耳に届く度、早く終われと唱え続ける。
(「見ないけど、音は聞きます! 早くっ、早く終われ!! エティエンヌフューベル様、頑張ってください!!!」)
応援を何度も心で叫ぶ。
どれくらいの時間が経ったのか分からない。
骨の軋む音やエティエンヌフューベルの荒い息づかいが聞こえなくなり、終わったのかと凛音の脳が理解した瞬間。
目の辺りを隠していた両手首が顔から強制的に離され、裸のままの凛音の身体に熱い何かが真正面から密着してきた。
「んっ?? わっ!?」
驚きに固く瞑っていた目がカッ! と開く。人の身体。十中八九エティエンヌフューベルに抱きしめられたのだが、想像とは極端に違う暖かく大きな身体に現実が受け入れられない。
「やっと、やっとだ。あぁ、やはりこの身体になると凛音は小さい。壊れないように気をつけなければな」
抱きしめられているから腰が砕けてもいいのであるが、今の現状腰に力は入らない。
「エ、エティエンヌフューベル様ぁ???」
凛音の声が不信感満載だったのを、投げかけられたエティエンヌフューベルは甘ったるい声で笑っている。
「感極まって抱きついてしまったな、悪い」
ゆっくりと解けた拘束。凛音の背に添えらるように置かれた手は全く危なげなく、しかし確実に凛音がエティエンヌフューベルから離れていかないように拘束器具のようにガッチリ固定されている。
ブレブレだった凛音の視界の焦点があう。
誰だ、これは。男性だ。見たらわかる。見なくとも密着しているから感触でわかる。
長く流れるサラサラの髪。
太い筋が浮き出る首。
シャープな顎のライン。
薄くもなく厚くもない絶妙なバランスの唇。
鼻筋は綺麗に通り高さがあり、鼻穴さえも見事。
切れ長の目には髪と同色であろう長い睫毛。
瞼に隠された眼球は宝石を砕いたように薄い紫の中に濃い紫がちっている。
その宝石のような眼球は凛音を見ていた。あまりにも美しい造形美を至近距離で見せられた凛音は呆然と固まるしかない。
「誰?」
間抜けな質問だろうが、信じられないのだ仕方ない。
「誰とは悲しい。私はエティエンヌフューベルだ、間違いなく」
「………エティエンヌフューベル様?」
「あぁ、私だ。信じられないか?」
冗談みたいに凛音好みの声を発するエティエンヌフューベルは、密着を少しやわらげ身体と身体にわずかな隙間を作った。
上半身は離れていているエティエンヌフューベルと凛音だが、下半身は見事に密着していて。早い話が胡座をかいたエティエンヌフューベルの上に凛音が乗っているのだ対面式で。
腹辺りに当たる物体に意識がいかないようにしようとすればするほど、意識がそこに集中する。
冷めていた身体中の血管に走る血という血が沸騰したのではないかと凛音に思わす。
「信じ、られ、ま、せん」
何故か凛音の受け答えは片言になる。
「そうか。ならばゆっくりと確かめてくれないか? 私のこの身体は凛音のモノだ。好きなだけ確認してくれ」
(「のわぁーーーーーー!!! 誰か止めてくださいーーーー!!! 無理です、無理!!!」)
かろうじて脳内絶叫で留めた凛音だが、そのエティエンヌフューベルの変わりようについていけない。
針に糸を通すほど好みが狭い凛音のドンピシャ真ん中を突っ走る姿。顔の綺麗さは以前のエティエンヌフューベルと変わらないが、身体が!? 身体が違う!?
どう見ても女ではない。
厚みが凄い盛り上がる肩に、凛音の倍ほどの太さがある腕、どう頑張っても腕が全部周りきらない圧巻の胸板、この立派な室内の端と端まであるのではないかと思う大きな純白の翼、そして全てが熱くて鞣し革のように皮膚が厚そうだ。
下半身に至っては説明しなくとも、腹に当たる立派過ぎる立派なアレがビクッビクッと脈打っている。
めちゃくちゃ強烈に好みの男性からの危ない申し込みに、意識をそらすべく普通の会話を心がける。
「男性ですよ? エ、エティエンヌフューベル様、男性になってますよ? あの豊満なボディはどこへ」
「……あぁ、男だな。私はずっと男だと話していたが?」
「心が! ですよね? だって溢れんばかりの胸、さっきまでありましたよ!! 」
「今は身体も男だ。分かっていて聞くな」
凛音の潤んだ目はこの現実が嬉し過ぎて、思わず否定しているのがありありと想像できた。
好き、綺麗、嬉しい、と凛音の顔には書いてある。もちろん朝まで言葉遊びをしても構わない。しかしエティエンヌフューベルとしてはそれはブツを突っ込んだ状態でも出来ると思っている。
すでに気持ちはエティエンヌフューベルがガッチリ奪ったといっても、凛音の胎内にはエティエンヌフューベル以外の男が何度も入り精を放っている。
一刻も早く上書きしたい。悠長に会話だけしておけない。
「触れば理解するか? 見るのも、触るのも初めてではないだろう」
若干の嫌味も入れて、凛音の手を自らのいきり勃った男棒に導く。指がかかりやすいよう 膨れ上がり かさが開いた丁度下あたりを凛音に握らせる。
「なっ、あっ、あっ、うぅぅぅ」
涙目な凛音だが、決して拒否はない。導いただけでエティエンヌフューベルは重ねていた手をすぐ離したが、凛音はまだ優しく男棒を握ったままだ。
「どうした? 確かめないのか?」
「えっ…確か…めって……」
嬉しさと緊張は凛音の瞳を涙で潤し、役目を終えた涙は頬を流れていく。これにギョッとしたエティエンヌフューベルは、己の勃起した肉棒を掴んだままの凛音の手を外そうと腕を優しく掴んだ。
「嫌なら嫌と言ってくれ。その顔では分からない」
握ったまま、凛音は離さなかった。
「嫌ではないです。興味あります、エティエンヌフューベル様の綺麗な顔からは想像出来ないほど、…その立派で素敵です。でも、ちょっと立派過ぎて先行き不安です」
「では泣かないでくれないか? 傷つく。何度も言うが、妖精族はたった一人しか伴侶をもたない。
もし凛音がこちらの世界にこなかったなら、私は死ぬまで誰とも夫婦にはならないし、こうして身体を合わす行為もしないままだ」
「この涙は、悲しいではなく。感動で…。あの、これは、エティエンヌフューベル様は!」
涙があふれ溢れ落ちる。掴んでいる性器を離せば溢れる涙を拭けるが、何故か絶対に離したくない。
離した瞬間、これが無くなったら?という恐怖が押し寄せるので、切なく脈打つ男性器はまだ凛音の手の中。
確信があっても直接聞きたい。間違いなく男性なのか? 聞こうにも嗚咽で言葉にならない。
何が言いたいのか理解したエティエンヌフューベルは握られた性器は一先ず放置し、凛音をゆるく抱きしめた。
「この身体は男だ。今、凛音が触れている部位も勿論飾りではないし、子を成す為の臓器の一部で間違いない」
「ふぇっ、、、」
一番凛音が聞きたかった言葉だった。
凛音の運命の人は日本には、地球には、いなかった。探しても探しても見つからず。
好意があった相手には、凛音なりに好かれようと誠心誠意尽くして頑張ったが、一向に誰にも選ばれなかった。
それはそうだ、凛音の運命の人は違う世界の住人。運命の人に会う為に凛音はこの世界に落ちてきた。エティエンヌフューベルと会う為に、元いた世界を捨てざる終えなかった。
皆が皆、この異世界渡りを有り難いとは思わないだろうが、凛音にとっては人生最高の贈り物。この世界とあちらの世界の神に感謝してもしきれない。
左手でエティエンヌフューベルの男性器を握ったまま、「嬉しいっ、赤ちゃん、嬉しいっ」と嬉し泣く凛音に、エティエンヌフューベルは苦い顔。
「感動しているところ悪いが、絶対に子供が出来ると約束は出来ない。妖精族は本当に子供が出来にくい」
エティエンヌフューベルが言わんとする事は、理解出来る。子が出来ないのは仕方ないが、希望をいつまでも持てるのだ。エティエンヌフューベルが女だと思って、嘆いた自分が馬鹿馬鹿しい。
「ズビッ…すんっ。わかって…ます。聞い…て、ますから。
でも、ですね、全然、違い…ますよ…。…女同士では、どう…あっても、無理、ですから。
うぇぅぅぅ、エティエンヌフューベル様が男性で良かった、嬉しいっ、すんっすんっ」
「そうか、ならば。そろそろ続きをしても構わないか?」
「続き?」
感動のシーンから凛音を引きずり下ろすようで、心痛くはあるが、エティエンヌフューベルは先程から生殺し状態でかなり下半身が辛い状態だった。
両生具有の身体より多少、吐精感は抑えれるが、気をぬくと確実に射精する状態まできていた。そのあたりエティエンヌフューベルの玉袋は正直だ。
「そのままシゴいてくれても構わないが、私としては一刻も早く凛音と繋がりたい。
あれだけ濡れていたが、きっと儀式の恐怖で乾きつつあるだろうから、もう一度 慣らそう」
せっかく掴んでいた男性器から強制的に手を離され、少しカチンときた凛音は眉間に皺を刻む。その凛音の顔を見たエティエンヌフューベルは固まった。
姿形は変わっても根本的に凛音に対して懇願系なエティエンヌフューベルは、凛音の好意的でない表情は恐怖でしかなく、いきり勃った肉棒が徐々に萎えていく。
「…いや、なのか?」
「いやです」
はっきりキッパリ言われ、エティエンヌフューベルは凛音をベッドに押し倒した状態で硬直した。エティエンヌフューベルのこの世の終わりばりの心情は、能天気な凛音に全く伝わらない。
「イヤに決まってます。さっきも私ばかり気持ちよくなって。エティエンヌフューベル様は一度も、その気持ちよくなってないですよ。
手が、その、あまりでしたら、口で一度抜きましょうか?」
止まっていた息がエティエンヌフューベルの形良い唇から吐き出される。
「はぁぁぁぁぁ……、凛音、紛らわしい言動をしないでほしい」
「紛らわしい?」
「手も口もいらない、結構だ。頼むから早く入れさせてくれ」
直接的でムードのカケラもない言動になっていくが、そこはエティエンヌフューベル。低く響き身体に染み渡るように濃厚で色気ある声色は、ただ話すだけで、その台詞が何であっても凛音をポーーーーーーーッと酩酊させる。
己の声と見た目こそが凛音にとって最高の媚薬なのだと気づいたエティエンヌフューベルは、言質を取らず先に進もうと決断。
(「…もう聞かなくていいか、早く繋がりたい」)
開き直ったエティエンヌフューベルは見惚れている凛音に わざと瞳を合わせながら、唇を軽くふれるだけの口づけを実行した。
エティエンヌフューベルの見目と色気ある声に夢心地な凛音を快楽状態に落とすべく、かつてないほど念密に計算していく。
対凛音にとって最大の武器となったエティエンヌフューベルの肉体。男性体で成りえるありとあらゆる『美』を詰め込んだ、この圧倒的な美貌を是非とも利用しなければと企む。
口づけであるのに目を閉じず、うっとりガン見してくる凛音に、それは麗しく見えるよう 意識して、しっとり優しく微笑んだエティエンヌフューベルは、瞳を合わせながら再度 ゆっくりと唇を合わせていった。
(「…凛音、共に快楽へ落ちよう」)
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