妖精王の味

うさぎくま

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33、狼獣人と妖精族

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 ハクリから色々と釘をさされたが、先ずは仕事だ。凛音は一文無しである。


「妖精族の何たるかは分かりました。ひとまず置いておきます。で、私に仕事を紹介してくれないでしょうか?」

「あぁ、そうだね」

「それと、住み込み可能の仕事とかあれば嬉しいです」


 凛音が当然のように話す内容に、ルルが思いきり傷ついている。


「出て行くの?」


 ルルの言葉に凛音は本気モードで驚く。


「当たり前です! だって、ルルさんとハクリさんは新婚でしょ? 新婚夫婦の自宅に一緒に住める訳ないですよ」

「私は気にしないわよ!」

「僕もいいよ! 凛音は美人だから目の保養」

(黙れ、ハクリ!!)


 チャラ男のハクリは丸無視するが、ハクリを取られると泣いていたルルが、ひとつ屋根の下に年頃(実際はおばさんの年齢だが)の凛音と一緒に生活するなんて問題外だ。

 遠慮していると思われているのか? 大丈夫、気にしないとグイグイくる二人に凛音はドン引きだ。

 忘れてはいけない。ルルは狼種だ。伴侶でなくとも、一度己より上と決めたら従い、本能からかそれはもう非常に暑苦しい忠誠心が自然と出てしまう。

 ルルは凛音を、上とランク付けしていた。

 異世界人夫婦に遠回しは聞かない。ならば、これだ。


「新婚夫婦の仲を見るのが、辛いんです。
 私も一応新婚だから、イチャイチャを見せられたら夫を恋しくなります…。
 今は離れ離れだけど、想いが繋がった時から片時も離れずに(物理的に、時には性器を突っ込んだまま)側にいたので…」


 ブワッとルルの綺麗なシルバーの瞳に膜がはる。


「凛音!! ごめんなさい。そうよね、気が利かなくてごめんなさい」

「ルルさん、謝らないでください。どうにか会えるようにお金を貯めるわ!」


 女の友情に、ハクリは「うん、うん」と上機嫌だ。


「じゃあさ、街の近くに空き家があるんだ。少し小さめだから、夫婦や家族で住むには小さくてずっと空いてるし、凛音一人なら十分じゃないかな?」


 ハクリはチャラ男だが基本的に女に優しい。最低限の衣食住が整うまでは、凛音の面倒を見てくれてるみたいだ。


「そうね、あそこなら近くに孤児院があるから警備隊が見廻りにも来るし、とても安全よ!
 仕事は私が通っている雑貨屋さんは? ちょうど、もう一人雇いたいってオーナーが話していたから!!」


 ハクリもルルも親切だ。

 凛音という異物が突然乱入してきても嫌な顔一つせず家、仕事まで紹介してくれる。お金は稼ぐつもりだが、前金も必要だろう。何から何まで失礼なのだが、返すつもりはある。

(血判書でも作って、お金借りなくちゃよね)


「ありがとう! 家も仕事も助かります。何から何まですみません。そして厚かましいのは存じていますが、当面の生活費を貸してください」

 ハクリとルルは瞬時に顔を見合わせて、笑い合う。息ピッタリの行動に、夫婦っていいなぁと、エティエンヌフューベルを恋しく思う。


「もちろん、そのつもりだよ!」

「今日はお昼から出勤なの。凛音もどんな感じか見る? 疲れていたら寝ていても大丈夫だけど?」


 全然疲れていない。むしろぐっすり寝たから元気潑剌だ。雑貨屋さんといえば、いわゆる販売員だ。これは凛音の腕の見せ所ではないか!!

 日本で培った販売のスキルをここで生かさなくてはだ。

 仕事を甘くはみていないが、絶対にエティエンヌフューベルとの耐久レース並みの性行為よりマシだろう。


「私も一緒に連れて行ってください! お仕事ください!!」

 キラッキラッと輝く瞳の凛音に、ルルは驚いている。ハクリは女の子は笑顔が一番と思っている為、笑顔ならそれでいいと思っていた。



 ***


 真っ裸で落ちた凛音には仕事にいく為の準備や用意はない。ので、ハクリとルルの家。ドア前で待機していた。

 己を責めながら…。



 だだっ広く広がる大草原と、どこまでも続く舗装も何もされていない土の道を前に凛音は呆然。

 家の中は地味…いや質素…違うこれが普通なのだろう。フェア国で過ごした日々、あれこそ夢の夢だ。現実はこうだ。若い新婚夫婦はこれで普通なのだ。


(エティエンヌフューベル様との生活は最高水準だと今更ながら気づいた私って、サイテー。
 どれだけ横暴だったか…イヨカさんがブチ切れたの分かるわ…、有り得ないね、私…)


 無事にエティエンヌフューベル様と会ったら、もう恥ずかしいとか疲れたとか関係ない。絶倫気味性欲を満足出来たと彼が言うまで、身体を差し出そう。


(頑張れ、私!! 待ってて!! エティエンヌフューベル様!!)


 凛音が変な気合いを入れ終わったところで、ルルが家から出てきた。



「お待たせ、凛音」

 ワンピースはネイビーのシックな色合いのものに変わっており、灰色に少し白や黒が混じる髪を高くポニーテールにしていた。


(ルルさん、可愛いのにその色合いはないわぁ、残念だよ…)


 紹介してもらう勤め先までの長く続く道すがら、凛音はルルと会話を楽しむ。聞きたいことがてんこ盛りだ。

 エティエンヌフューベルと離れ離れになりはしたが、この世界のどこかにはいるのだ。なんとかなる。世界は広くても言語が統一されているなら楽なものだ。

 今は住む場所、仕事も、一応目処が立っているので一安心。

 凛音は聞きたくて堪らなかった、念願の獣人話を口にした。


「ルルさんって狼の獣人なんですよね?」

「そうよ、それがどうしたの?」

「私の前の世界には獣人という種族はいなかったんです。架空の物語で獣人のお話しや小説はあったけど。なのに実際にこの目で見ることになろうとは!! 私の感動、伝わりますか!?」

 キラキラしい凛音の瞳を見て、ルルは確信めいた。

「凛音の旦那様は、もしかして狼獣人?」

「え?」

 思わず頬を赤くし動揺してしまう。

 誰に言うでもないが、決して浮気ではない。特定の誰かがいる訳でもない。

 むしろ凛音はエティエンヌフューベルが狼獣人だったらと想像し萌えた。絶世の美貌を素で走るエティエンヌフューベルの頭に、犬耳とか、尻尾とか、想像してしまっただけ。悪気はない。

 妖精族の純白の羽も十分ツボなのだが、犬耳や尻尾もいいと、妄想を止めるのは腐女子の凛音には無理である。


 凛音が赤面し、肯定も否定もしなかった為、狼獣人が夫という事になった。

(ガーーーン、否定しそこなったっ!!)

 この場にいないエティエンヌフューベルに、凛音は心の中で頭を下げまくる。


 勘が当たったルルは、嬉しそうにはしゃぐ。

「やっぱり!! そうなんじゃないかって思っていたの。ハクリを見てもガン無視なのは、ハクリがチワワ犬だからかしら? 分かるのかな? ふふっ、狼の私には好きってオーラ出てるもの」

「ヘェ~、チワワ、小さいチワワね…」

(チワワって、あのチワワ? 目がウルウルってプルプル震えている? わぁー嫌いなはずだ。私の好み、狼、ドーベルマン、シェパード、コリー、から一番遠い犬種だわ)


「ハクリはチワワ犬だけど、小さくはないわ! 魔力も多いからチワワだけど獣人姿は大きいわよ。凛音は、チワワ犬種族が嫌いなの?」

 ハクリの犬種を聞いて納得し、凛音が無条件で苛つくのに自分で納得した。


「そんな顔に出た?」

「ええ。ハクリの甘い言葉を聞いても、あそこまで完璧に眼中に無しの態度だと、流石に分かるわよ」

「私、あざとい可愛い系…本当に究極に脳髄に刺さるくらい嫌いなの」


 力説を聞いたルルは、しばし固まり。吹いた。


「あはははははっ、いやぁだぁぁ、あははははっっ!!! 凛音、いい!! 凄くいいわ!! 屈強系が好きなのね」

「どう、だろう…あはっ」

(エティエンヌフューベル様は、屈強系よ、ね? 背も見上げるほど高いし、肩幅広くて、手足ながくて、筋肉バッキバキだし。
 顔のパーツは女性と見間違えるほど綺麗だけど、首太いし、顎シャープだし)


「ハクリより美男子なのよね?」

「うん、ルルさんの旦那様の悪口を言う訳じゃないけど…エティ…じゃなくて、お、夫の方が、満場一致で皆が美しいと言うわ」

「凄い自信ね、ま、でも狼獣人は綺麗な人が多いし納得するわ。狼獣人の男は綺麗だけど、番いに対して献身的で暑苦しって言われてるの」

「そうなんだ!! 狼獣人の男性は綺麗なんだ…」

 同族が褒められるのは嬉しい。ルルは自分の事のように腰に手をあてて威張る。


「そうよ!!妖精族は男性からの人気トップクラスだけど、狼獣人は女性からダントツに人気でモテるの。
 狼は自身がどれほど美しくても、沢山の妻をもたないし、基本的に自分が選んだ伴侶だけだから、選ばれたいって皆が言うわ。
 凛音が好きになるのも分かる。とても大切にしてくれるでしょう?」

 違うとも言えず笑って誤魔化す。


「そう…かな」

「早く会いたいわね。きっと凄く心配して探してくれているわよ」

 ルルの言葉が心に染みる。

(凄く心配か…。心配くらいで終わってたらいいけど、アユーバラ王国が火の海になっていたら嫌だな)

 エティエンヌフューベルの紫炎が、アユーバラの国土を焼け野原にしているあり得るだろう未来にブルッと震えた。


「凛音、寒い? 大丈夫かしら?」

「大丈夫、寒くないから。いや~夫が発狂してないか心配で」


 凛音の心配はルルには不思議に映ったようだ。狼獣人は伴侶は一人だが、死別や意図しない別れがあれば新たに妻を迎えたりもする。
 妻がいれば浮気はしないがいなければ、独身者は多少遊んだりもするのだ。


「発狂? 妖精族ではないから、発狂まではないわよ。
 あのね、凛音は異世界人だから知らないかもしれないけど。妻一筋の狼獣人でも、離れ離れになれば、しばらくは悲しむかもだけど。
 …時が経てば気持ちが落ち着くし、あまり時があくと違うお嫁さんを迎えちゃうわ…。早く探さなくちゃ!! 狼種族には沢山伝手があるから言ってね!!」

(その妖精族なんですよ、夫はぁぁぁぁ!!)

 発狂云々が恐くなり、凛音は話の流れ的な要素を醸し出しながら妖精族の常識を聞いてみた。


「ルルさん」

「なあに?」

「さっき妖精族なら発狂もあり得るっていったよね? 本当に?」

「そんな事も知らないの!?」

「う、……(存じ上げません)」

 無言を肯定ととったルルは、子供へ教えるかのように優しい声で話し出す。


「伴侶の姿が見えなくなれば発狂し、事故や不慮の死を迎えてしまったら迷いなく自らの命を断つ。法律で自決しないよう定められているくらい。
 だから妖精族は儀式をして魂の長さを折半するのよ」

「魂を折半…」

「そう、自らの寿命を折半。老いていく時間を同じにし、魂の片割れを失わないように。不慮の事故死さえなければ、死ぬ時は同時」

「そんな…(エティエンヌフューベル様)」

 ルルは小さな声で凛音に常識を与える。

「妖精族には絶対に関わらないことよ。ライバルになりそうな綺麗な女性には殊更冷たいらしいわ。凛音は綺麗だから気をつけてね。彼女達は狙った獲物は必ず手中に納めている」

「分かったわ…」

(確かに妖精族の方々はキラキラしていたし、私の嫌いな女の頂点に君臨していたわね…。
 エティエンヌフューベル様は男性だけども…妖精族では初だというから間違いなく変わっているのだわ)


「凛音が妖精族の事を知りたいのは理解できる。私も生まれてから一度しか妖精族をみてないのだけど、私達とは同じヒトではないと確信したわ。
 色素の薄い髪や瞳。儚げな表情にすべやかな肌質。純真無垢を謳うのに、涎ものの抜群のプロポーション。全ての男を虜にして、それでいて一人の男を愛し抜く。
 私の友達の彼が、妖精族の伴侶だったの…。プロポーズをされて、とても幸せそうだったのに、取られちゃった…」


 友人の辛さを自分の辛さのように話すルルに、凛音は静かに頷いた。


 ルルの友人の気持ちも分かる。実際に凛音は何人もの女に恋人を取られた。だけどエティエンヌフューベルを知っていて彼の伴侶になった凛音には、妖精族が一概に悪いとも言えない。
 実際エティエンヌフューベルは凛音が異世界人だった為、長く伴侶がいなかった。

 凛音の身体に合わせて変化した〝あの儀式〟を知れば、取られちゃった。だけですまないのだ。

 本当に全身全霊で愛するのだ。


(やだな、私の考えも妖精族よりになっちゃったのかな…)


「凛音、妖精族は、残酷で残忍。そして献身的で、どこまでも純粋な神そのものなのよ」


 知らない分からないではすまない。胸に手をあて、祈る。



(エティエンヌフューベル様、エティエンヌフューベル様。
 私は生きています。絶対に命を断つ選択をしないでください!!
 エティエンヌフューベル様がいないと、私は生きていけない!!!)



 凛音の顔面蒼白な姿を見て、ルルはギュッと手を握り先導してくれる。


 あたたかな人の体温が、凛音のはやる気持ちを少しだけ落ち着かせた。




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