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69、 白銀の騎士と王女 2

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 美しい庭園に隣接する大広間。そこでエルティーナの葬儀が行なわれる。
 ボルタージュ国民には、暗殺ではなく事故死としエルティーナの死は伝えられた。真実を知るのはほんの一部の人だけだった。
 大広間には続々と貴族が集まっている。

 エルティーナが眠る棺は可愛らしさたっぷりで、棺にはエルティーナが大好きだった薔薇の彫刻が施されている。今を生きる彫り師のトップを集め造られた棺は、生前のエルティーナを体現するようなものだった。
 特殊な蝋を使いエルティーナのバラバラにされた身体は、固められ出来るだけ綺麗に見えるようにされている。それでも痛々しい姿ではあった。

 ただ表情は殺されたとは思えないくらい穏やかで、軽く口角が上がっている。
 死後硬直している為、表情までは変えられない。だからこそエルティーナの遺体を見た面々が疑問をうかべるのだ。
 陵辱され殺されたはずのエルティーナのなんとも幸せそうな表情は何故なのか、ボルタージュの人には分かるはずもなかった。

 バラバラにされたエルティーナの遺骸。それを元に戻す作業を一手に引き受けていたラズラが感慨深く棺の中を覗き込む。
 返事は決してかえってこないと分かっていても宝石が散りばめられたドレスを纏うエルティーナに話しかける。

「エルティーナ。貴女は陵辱されてもなんでこんなにも綺麗なのかしら、内からくる美しさなのかしら?
 もう……なんで、笑ってるの? 不思議な子ね……最期にいい事でもあったのかしら。ねぇ? グリケット様」

「ラズ……」

 ラズラの背後にいたグリケットは、ラズラの呼び声でやっと棺の中に眠るエルティーナの姿を目に入れる。

「アレン様は?」

「……アレンは来てないよ。来ないつもりだろう。謁見の間を血の海にして、バスメール国を混乱に陥し入れたからと謹慎している。あれは頑固だからね…」

「はぁ!? 謹慎!? 何それ!? エルティーナの葬儀なのよ? ボルタージュの埋葬は棺を閉めた後、その鍵は溶かしてしまうのよね?! もうエルティーナには会えないのに!?
 っていうか、アレン様はあれから一度もエルティーナに会ってないわよね!? 何故!? 何で!? 意味わからないんだけど!?」

「ラズ…言葉使いが悪いよ…」

「会いたくないはずないのに…せっかく綺麗にしたのに…」

「うん。綺麗だね。流石ラズだ。アレンは、まぁ…最後はレオンあたりが引きずってでも連れてくるよ。もちろん私も手伝うつもりだしね。
 いい顔だ…不思議なくらい。最期に何があったのかな? エルティーナは演技派だからね……色々驚いたよ。まさかヘアージュエリーを作るぐらいアレンを愛していたとは思わなかったよ。エルティーナがアレンを男として見ていたなんて……そんな風には見えなかったから…女の子は怖いね」

「エルティーナもだけど、私はアレン様が恐いわ。一国を落とすなんて、って思ってたけど。それもビックリだけど。
 だけど宦官って。何それ。何処までぶっ飛んでいるのかしら。信じられない!! 信じられないわよ。どれだけエルティーナの事好きなのよ…重っ。
 ……………ほんと…馬ッ鹿みたい……」

 グリケットはラズラの発言に言葉を詰まらす。

 エルティーナの死後。護衛騎士としてついていたアレンがフリーになる。エルティーナの死を悲しむよりも、ボルタージュ国の独身貴族女性はアレンがフリーになると舞い上がっていた。
 エルティーナの葬儀に出席する為に王宮に訪れていた貴族達はここぞとばかりにアレンに娘を勧める。そんな彼らにアレンは一言。

『私は去勢して宦官となりました。宦官となった為、生涯結婚するつもりはございません。確認したいのであれば、どうぞ』

 他人ごとのように話すアレンに皆は絶句。知らなかった国王夫妻、ラズラやグリケット、エリザベスやフルール、警備についていたラメールやパトリック、皆が硬直している。
 知っていたレオンやメルタージュ家の面々、ボルタージュ騎士団長、副団長も苦々しい表情を隠さなかった。

「アレンの覚悟に恐れ入るよ……」

「とるなら……。とる前にエルティーナを抱いてあげれば良かったのに…。
 だったらエルティーナの初めてが脂ぎったおっさんにならなかったのに……」

「言っても遅いよ………」

「分かってます。分かってるの、でもあんな姿のエルティーナを見たら言いたくなるわ。アレン様の気持ちも痛いほど分かるけど…」

 ラズラはエルティーナの側から離れ、席に戻る。上流階級貴族達の列席が完了し、エルティーナの葬儀が始まろうとしていた。



 同時刻、王宮内。大広間に続く回廊を警備していたジルベールが苛立ちふくんだ声で、隣に立つ神を模した彫刻のような姿のアレンに問い詰める。

「おい!! 何故ここにいる!? 王女の葬儀は始まっているぞ!?」

「知っている」

「知っているなら何故ここにいる!? 早く会いにいけ!! 棺が閉じたら、もう二度と会う事はかなわないんだぞ!?」

「私は謹慎中だ、人手が足りないから借り出されているが、本来は部屋から出れない」

 アレンはエルティーナの死に関わった全ての人を殺していった。一切の迷いなく。

 隣国バスメールの王族が殺され、バスメール王宮は凄い惨状だった。それは全てアレンが一人で乗りこみ独断でした。王。王太子。王女。彼らの護衛騎士や近衛兵。全てだ。
 ボルタージュで謁見中だったバスメールの宰相と彼の護衛騎士三人、神聖な場所である謁見の間で殺したのもアレンだった。

「いや…まぁそうだが、それとこれとは別だろう??」

 ジルベールの言葉を受け流しながら、アレンは胸元にあるヘアージュエリーに手をあてる。

「血で染まっている私がエルティーナ様に近づくのを、私自身が許せない。謹慎してはいるが、無駄な殺戮だったとは思っていない。私は何一つ後悔していない。
 エルティーナ様には……返せないくらいの愛を頂いた。もう充分だ。これ以上彼女を穢けがしたくない」

 見習い騎士の時分から、アレンがエルティーナを愛していたのを知っていたジルベールは複雑だった。

「それでいいのか? …本当にそれでいいのか?」

 絞り出すジルベールの声に被せるように、甘く精悍な声が回廊に響く。

「いい訳ないだろう! 行くぞ、アレン!!」

 レオンは怒気をはらんだ雰囲気で立っていた。そんなレオンを見てアレンは静かに返答する。

「レオン、何度も話しただろう。私は列席しない。王太子がフラフラするな。早く広間に戻れ」

「お前な~~~いい加減にしろよ!! こっちが下手に出ていると思って。
 決着がついたら、エルに会うと言ってたな。終わったんだろ!? お前が終わらせたんだろ!? なら何故会わないんだ!? 棺が閉まったら、いくら怪力のお前でも蓋は開かない。
 それとも傷だらけのエルには会いたくないのか??」

 心配してくれるレオンに優しい気持ちが広がる。

「……レオン、ありがとう。感謝はしている。どんな姿になってもエルティーナ様を愛しているのは変わらない。そんな軽い気持ちで愛していた訳じゃない」

「だったら…」

「皆の前で、エルティーナ様に襲いかかっていいなら行くが?
 想いが通じあった今、ただ眺めるだけなんて無理だ。色々……したくなる」

 穏やかに微笑みながらレオンのエメラルドの瞳を見つめる。驚愕に見開いた瞳を面白いとアレンは思った。

「……分かった、なら行くぞ。お前がそうしたいなら したらいい」

 レオンは逃がさないとばかりに、アレンの腕を掴む。

「うん、うん、僕もそれには賛成!! アレン様に襲われたところで、ぽやっぽやのエル様は抵抗しないですよ。死んでるから、抵抗もなにもないですけど……。
 自国各国のボンクラ貴族達の前で、エル様といちゃいちゃすればいいですよ!! いい考えだ。
 アレン様が煩わしく思う、結婚の申し込みが無くなると思いますよ?本当に、どの面下げてアレン様の隣に並ぼうと思うのか。厚かましい~ と僕でも思いますね。うん。
 あぁ ちなみに、貴族の間では貴方が宦官になったと広まってますが、全然効果はないですよ? むしろ増えてます。主に男側が……。
 欲しいものは手に入れる。頭が軽い肉食系貴族達が、ありとあらゆる手を使い、貴方をモノにしようと水面下では凄いですよ?
 僕はいくら目の覚めるような美貌のアレン様でも願い下げです。寝ている間にこの世から退場!って事になりかねませんから。聞いてる分には楽しいですけどね~~」

 話に割って入ってきたのは、仮面を貼り付けたような笑みを浮かべるレイモンド・フリゲルン伯爵だった。

「フリゲルン伯爵? 何故ここにいる? さっき広間にいただろ?」

 不思議そうなレオンに、レイモンドは溜め息を吐きながら頭を抑える。

「広間でアレン様を見かけなかったから、探していたんですよ。レオン殿下、当たり前の事を聞かないでください。
 アレン様、僕は冗談ではなく本気で言ってます。
 エル様が貴方を好きだと、本人から聞いて知っていました。フリゲルン伯爵家の家庭事情を話した時に聞きましたので。貴方は徹底してエル様に気持ちを隠されてきた。天使のように可愛らしいエル様が、見事に自分には魅力がないから恋愛対象外なんだと思い込んでましたよ。
 貴方と離れたくないって、スピスピ泣いてましたから。
 僕も、あの舞踏会の一件がなければ分からなかったですよ。あの時はかなり漏れてましたから。
 …………エル様の身体に触れた最後の人はアレン様であって欲しい。
 抱きしめて、口付けくらいはサービスしてあげたらどうですか? 彼女、喜びますよ?」

 軽い口調で話すレイモンド。でもその内は、エルティーナの為という気持ちが溢れ出ていた。エルティーナに向ける気持ちは親愛。レオンに近い思いをエルティーナに向けていた。
 レイモンドの思いは、レオンにもジルベールにも、勿論アレンにも届いた。

「ふっ、いいたい放題だな。そう思うなら先ずエルティーナ様をエル様と呼ぶな。
 気持ちが私にあると知っていながらよくぞ、結婚を申し込み、胸を触り、肩を抱いたり、身体を密着させたり、額や頬に口付けしたり、やったもんだな」

(「ひぇ~~~~」)

 レイモンドは命の危機を感じ、アレンから離れジルベールの背後に隠れる。

「アレン様と違って下心はなかったんですから、良しでしょう。っていうか全部覚えてるのが恐い。超絶美貌の姿だからいいものの、アレン様の愛し方は狂気ですね、狂気。エル様……じゃなくてエルティーナ様もムッツリ助平は嫌いですよ~~」

「おい、隠れるくらい恐いなら、それ以上話すな、フリゲルン伯爵」

 ジルベールは凶悪になりつつあるアレンを見ながら、己の後ろに隠れるレイモンドに呆れながら話した。

「はははははっ、フリゲルン伯爵、アレンにそこまで言うのは天晴れだ。清々しいな、仲良くは出来ないと思っていたが、そうでも無さそうだ」

「はい、僕も色々暴言を吐きましたが、アレン様がエルティーナ様の仇をとってくれてスッキリしましたし。ちゃんと彼女を愛してたって分かって嬉しかったです。
 …………たった一度。……エルティーナ様が伯爵家を訪れたのは一度だけでした。たった一度だけで、みんなの心を鷲掴みにしていきました。僕には愛している女性がいるので、エルティーナ様を女性としては見れなかった。
 彼女は天使でしたからね、天使の羽根を引きちぎるような行為をしようなんて、はなから思っていません。
 エルティーナ様に結婚を申し込んだ当初から、アレン様と一緒に来たらいいと提案してましたし。エルティーナ様には泣きながら怒鳴られましたけどねっ。
 誤解が解けて良かったです。さぁさぁ、行きましょう!!! たっぷり濃厚に甘ったるく最期のお別れをしてください!!!」

「アレン。ほらっ、行くぞ!! エルが一番に会いたいのはアレンだ!!」

 レオンが軽くアレンの背を押す。レオンとレイモンドの後押しで、アレンはエルティーナに会いに行く。
(「…エル様………」)歩きながら、アレンは胸元に眠るヘアージュエリーを軍服の上から握りしめた。


 大広間の扉の前には、国王ダルタと王妃メダが立っていた。
 アレンの姿を見て、優しく微笑む。メダはゆっくりとアレンに近づき右手をアレンの頬に添え、数度軽く叩く。

「頑固もの。そういう所は貴方の母、エレアノールにそっくりだわ。無理矢理でもエルと婚姻を結ばせるべきだったわね。問答無用で、裸のまま貴方の部屋に放り込めば良かったわ。
 ……あの子をエルティーナを愛してくれてありがとう。貴方は最高の護衛騎士だったわ」

 アレンは静かにその場で頭を下げる。ダルタは頭を下げるアレンの肩を軽く叩く。愛を込めて。
 国王夫妻はアレンを連れて大広間に入る。エルティーナと最期の別れをする為に。


 遠くに見える棺は、エルティーナらしい可愛いものだった。国王夫妻やレオンと連れ立って入室はしたが、アレンは一緒に並ぶことを断った。
 最期は騎士として、エルティーナが望む、彼女が大好きな小説のような騎士として、最期の別れをするつもりだったからだ。
 アレンはボルタージュ騎士団が並ぶ場所に向かい、団長のバルデンと副団長のキメルダに軽く頭を下げ、その後ろに立つ。

 葬儀は粛々と進み、神の言葉が棺の中に眠るエルティーナを包む。それを耳にしながら瞳を閉じた。


(……エル様、お守りできなく…申し訳ございません。命の時を渡せることが迷いなくお渡ししたい。出来ることなら、もう一度名を呼んで頂きたい……エル様の声が聞きたい…)

 叶わぬ願いと思っていても、願わずにはおれなかった。

「……レン!! …アレン!!!」何度か名を呼ばれ現実に引き戻される。
 いつの間にか目の前にはレオンが立っていた。葬儀はまだ終わってない。いきなり歩き出したレオンに列席者が不思議に思い、大勢の視線を一気に集めることになった。

「……なんだ、レオン」

 エルティーナとの静かな別れを邪魔された気分になり、声に苛立ちが入る。

「なんだって、エルを抱きしめて口付けしてやるんだろ? アレンの別れが終わってから棺を閉める」

「……何を言ってる、戻ってくれ。出来るわけがない」

「意地をはるな」「行ってこい」

 バルデンとキメルダに背を押される。

 抱きしめたり、口付けが嫌な訳ではなく。いくら想いが繋がったといえども、意識がないエルティーナにそういう行為をするのには抵抗があった。
 どう考えても、エルティーナは生々しい男女の恋ではなく、教典にあるようなプラトニックの恋を望んでいるに違いないからだ。

 腰が引けているアレンに、バルデンの身体に響く一発が背中に入る。

「ほら、皆を待たせるな、一発決めてこい」

 ここまで言われたら、引き下がれず仕方なくエルティーナの棺に足を向ける。

 磨かれた美しい大理石の床を歩く。静まり返る大広間にはアレンの靴音だけが響いている。
 拒否はした、会うつもりは無かった。でもエルティーナに会ったら一目見たら最後、アレンはまた恋に落ちる。
 何度も、何度も、恋に落ち、想いは溢れ出て止まらない。


(………エル様……………何故、微笑んでいるのですか?
 …………普通は辛く歪むはず。それだけの行為を強要され、辛かったはずなのに。
 貴女は微笑むのですね………貴女は何処まで天使なのですか?)

 アレンは棺の側にゆっくりと跪く。

 宝石を散りばめられたドレスはスカイブルー、大きくあいた胸元にはアレンの髪で造られたヘアージュエリーが柔らかい肌に馴染んでいた。
 バラバラにされた頭部と左腕も確かに生前のエルティーナに近く戻されている。

 アレンの思考は止まる。

 棺に手をかけ身を乗り出す、花々の中に眠るエルティーナは天使だ。姿を見るだけで身体は熱くなり想いは溢れる。

 左腕を背に入れ、己の身体に引き寄せる。

 右腕は頭部を支え、首がしっかりと身体に固定されている事を確認し、そのまま抱き上げる。腕の中にいるエルティーナを優しく抱きしめた。

 蝋で固められた身体は思った以上に軽く、掴んでいないと飛んでいきそうだった。

 アレンは抱きしめながら、頬にはじまり額、耳、髪、瞳と口付けを落としていく。

 甘く美しいその光景に誰もが魅入っていく。

 もう一度身体中で抱きしめた後、花が敷き詰められた棺の中にエルティーナを横たえさせる。

 ゆっくりと身体を離し、そしてエルティーナの蝋で固められた小さな手を上から握り、頬に手を添え、嘘偽りない告白をする。



「エルティーナ様、愛しております」


 アレンの痺れる声色が波打つように広間に響きわたる。


 唇と唇が…触れ合い…溶け合う……。

 蝋で固められた肌は堅く柔らかさはない。柔らかさはないはずだが、その十一年ぶりに触れ合った唇は何よりも甘く甘美、そして愛おしかった。




 ***



 エルティーナの別れから数年後、アレンはクルトの護衛騎士であり、師となっていた。

「師匠!! 師匠!! 身体がだるいなら、ベッドで寝て下さいよ~」

「クルト様、髪を引っ張らないで下さい」

「だってどう考えても、師匠が倒れたら僕はベッドに連れて行けませんので!!」

「では、腕力をつければいいですね。もう少し素振りの回数を増やしましょうか」

 淡々と話すアレンにクルトは両手を頭に乗せ叫ぶ。

「嫌だぁ!!! 僕は、師匠や父上と違って頭脳戦を得意とします。よって素振りの回数は増やさないで下さい」

 口ばかり達者になるクルトにアレンは柔らかく微笑む。

「くぅ~師匠は相変わらず綺麗ですね。神がかっています。眼福です!!
 ……またそれ、読んでいるんですか?? 『白銀の騎士と王女』…本当にお好きですよね。師匠がこんなガチ恋愛小説を好きなのが意外です。こんな小説読まなくても、現実で恋愛をしたらいいのでは? 師匠を断る女性がこの世にいるとは思わないですよ」

 クルトの呆れた声に苦笑しながら、胸元に眠る、エルティーナと自身の髪で造られたヘアージュエリーを服の上から握りしめる。

「恋愛はしていますよ…想いは風化するどころか‥‥‥募るばかり…」

「師匠? …好きな人がいるのですか??」

(「‥‥エル‥‥様‥‥‥」)

「………………師匠……?……」


 柔らかな日差しが差し込む窓からは、可愛らしい動物の石像が並ぶ小さな庭園が一望できた。
 アレンがエルティーナの護衛騎士として、念願の再会を果たした庭園。美しく成長したエルティーナにもう一度〝恋〟に落ちた思い出の庭園。

 大切で大好きな場所を見て、彼女を想い。アレンは長い眠りにつく。

 ヘアージュエリーの言い伝えは本当だった。来世で二人は劇的に出会いもう一度、恋に落ちる。

 ラズラが書いた『白銀の騎士と王女』のように……。

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