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第十話「運命の宿敵 後編」
第三章 「雷王対雷王‼ 誇りをかけた戦い‼」・⑧
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※ ※ ※
<グルアアアアアアアアアァァァァァァッッッ‼>
<バオオオオオオオオオオオオォォォォッッッ‼>
あれだけいたガラムたちが、一匹残らず去ってしまった後──
再び、 二つの雷鳴がぶつかり合った。
剥き出しの闘争心が球体の壁越しにも伝わってきて、思わず肌が粟立つ。
「・・・・・・」
カノンには、もうあまり体力が残ってないはずだ。
それを踏まえた上で、相手の武器を封じつつ・・・カノンの強みを生かすには・・・・・・
「・・・カノン! 真っ直ぐ走って!」
<! ───グルアアアアアアアアアアッッ‼>
声をかけると、カノンは即座に駆け出す。
・・・本来は反骨心の塊みたいな彼女が・・・素直に僕の言葉を聞いてくれている。
それは僕への信頼ではなく、今、「守る」ために──レイバロンに勝つために必要だと、そう思ってくれているからだろう。
だからこそ僕は──彼女の期待に応えなければならない。
戦う事に関してプロフェッショナルという訳では全くないけれど・・・冷静に状況を見極めれば、彼女にヒントを伝える事くらいは出来るはずだ・・・!
<バオオオオオオオオォォォッッ‼>
正面から向かってくるカノンに対し、レイバロンは雄叫びを以て返す。
その場を動く様子がないという事は・・・再び水色のバリアで弾き返すつもりのようだ。
両者が交叉するまで、あと僅か──そこで、ベストなタイミングが訪れる。
「カノン! 今だッ! 右に逸れてッ‼」
<? ・・・ルアアアアアァァァ!>
充分にスピードが乗った状態で、軌道を少しだけ変更する。
このまま進めば、レイバロンの横を通り過ぎてしまうコースだが───
<ッ‼ オオオオオォォッ!>
レイバロンは、慌てて頭を左方向に振った。
やっぱり・・・! どうして今までこんな当たり前の事に気付けなかったんだ・・・!
「そのま後ろ側に回り込むんだ!」
相手の左についたカノンは、次は反対側に体を傾ける。
レイバロンは頭と一緒に体を大きく動かしてカノンの動きについていこうとするが──とても間に合っていない。
『成程ね。左眼に傷があるから、当然左側は死角・・・ってわけか。見落としてたよ~』
「うん・・・正直、僕も気付いたのはついさっきだよ・・・」
冷静に考えれば、誰でも判る事だけど──そう思わせなかったのは、レイバロン自身の立ち振る舞いにも理由があるんだろう。
今思えば、カノンを睨む時も常に顔の右側の面を向けるようにしていたし・・・逆に、左眼を掻く仕草をした時の方が不自然だったくらいだ。
あの怪獣はカノンに執着していて、彼女をいたぶるために全力を注いでいるけど・・・
皮肉にもその深い復讐心が、感じさせなかった弱点に気付かせる綻びを生んだんだ。
<ルアアアアアアアアアァァァッッ‼>
カノンは、相手が自分の動きに付いてこれない事を察して、再び軌道を変えた。
大きく弧を描きながら、レイバロンの横腹目掛けて突っ込んでいく。
<オオォォォォ・・・‼ バオオオオオォォォォォッッ‼>
カノンの速度についていけず・・・敵を精確に補足出来ないレイバロンは、苦し紛れに尻尾を振ってカノンを迎撃しようと試みる。
奇しくも、タイミングはどんぴしゃ──バリアの出力は向こうの方が上だ・・・・・・が、しかし──!
<グルアアアアアアアアアアアアアアッッッ‼>
既にカノンは、充分な助走を付けていた。
トップスピードでの突進による衝撃は、せめぎ合った相手のバリアを瞬時に弾き飛ばし、レイバロンの体はスライドするように左へ飛ばされた。
「よし・・・っ!」
<ルアアアアアアァァァッ‼>
更に、カノンはここぞとばかりに追い打ちをかける。
首をグン!と勢いよく右へ振ると・・・反動を付けて大きく振り戻して、巨大な角の腹でレイバロンの横腹を薙ぎ払った。
<バオオオォォォオッッ⁉>
紫の巨体は、喀血を伴って吹っ飛ばされる。滑走した地面から、大量の砂塵が舞った。
<オ・・・オオオオォォォォ・・・ッ!>
手痛い一撃を食らって、立ち上がったレイバロンの瞳には更なる鋭さが宿る。
対するカノンは、突然周囲を見渡して・・・
何かに気づいたのか、レイバロンの元には向かわず、自分たちを取り囲むように聳える岩棚へと駆け出した。
「! もしかして・・・!」
そして、先程自分が崩した岩山を伝い、再び段上へ乗り上げると──そのまま、壁に沿うように走り始めた。
ちょうど、コロッセオの観客席の内周をぐるりと駆けているような感じだ。
きっと、助走を長く取る事で、さっきより速度を上げて突進するつもりなんだ・・・!
<バオオオオオオオオォォォッッ‼>
レイバロンも、その事には気付いたんだろう。
咆哮と共に背中の装甲を水色に光らせると・・・発した稲妻は四本の腕を伝導い、黒く長い爪へと集約されて──
やがて、眩く光る「水色の光球」を形作った。
「なっ、なんだアレ・・・⁉」
『・・・あの怪獣、能力の使い方に関してはカノンの比じゃないくらい熟知してるね』
シルフィが眉を顰めたのと同時に、レイバロンは体を大きく起こす。
そして、既に岩棚の奥の方へ差し掛かっていたカノンへ向け、光球を掲げると───
そこから、バチバチッ‼と炸裂音を立てて、幾筋もの稲妻が走った。
「カノン! 危ないッ!」
先程の光線ほど威力はなさそうだけど・・・カノンの足を止めるには充分だろう。
ジグザグと不規則に折れ曲がっては戻る軌道が、四本の肢に迫る。
<グルアアアアアアァァァァッッ!>
・・・しかし、カノンは一向に止まる気配を見せず──むしろ、グンと加速する。
そして、岩棚にいくつもの稲妻が到達して、水色の光が弾けた時・・・・・・
彼女は既に、その全てを抜き去っていた。
「・・・ッ! 凄い・・・・・・」
カノンは内周の折り返しを過ぎて──こちらへ戻ってくるコースに乗った。
加速を続けるスピードは・・・もはや、先程の比ではない。
<バオオオオオオオオォォォッッ‼>
全長100メートルの巨体が、自分に向かって真っ直ぐに突っ込んで来る・・・それがどのような結果を生むかを悟って、レイバロンは光球から続け様に稲妻を発射する。
だけど、カノンの中には既に「止まる」という選択肢はないようだ。
迫る稲妻を、時にはバリアで弾き返し、時には角に受けながら・・・なおも、走る。
<オオオオオオオォォォッッ‼>
焦ったレイバロンは、遂には手元の光球を丸ごとカノンに向かって放った───
<ッ! グルアアアアアアアアアアアァァッッ‼>
が、しかし・・・それが命取りだった。
カノンは光球が放たれるや否や、地面を力強く蹴って跳躍──光球の軌道の上を通って──勢いそのまま、レイバロンに飛びかかった。
<グルアアアアアアアアァァァァァァッッッ‼>
<バオオオオオオオオオォォォォォォッッッ‼>
空中にいるカノンと、地上でそれを待ち構えるレイバロンとの間で、水色のバリアが激しくぶつかり合い、周囲へ凄まじいエネルギーを放つ。
漏れ出た稲妻によって、辺り一帯の岩石が弾け飛び、次々にその形を変えていく。
そして・・・この極限の鍔迫り合いを制したのは────
<グルアアアアアアアアアッッ‼>
十二分の速度と位置エネルギーとを味方につけた、カノンの方だった。
バリアが弾けるのと同時に、上体を起こしていたレイバロンの体にカノンが取り付き、相手を仰向けに張り倒す。
<ルアアアアアアァァァッ!>
すかさず──カノンは、容赦なくレイバロンの首元に噛み付いた。
鋭い牙が紫色の皮膚を突き破り・・・大きな血管を傷つけたのか、大量の血が噴き出る。
<ゴボォ・・・ッ‼ バオッ・・・オオォォオッ‼>
・・・巨大ながらも知性のある存在で、おまけに互いが超常の力を備えていても・・・これはあくまで、自然界を生きる動物同士の命を賭けた戦いなのだと──
その事実をまざまざと見せつけられた気がして、思わず息を呑んだ。
<バオオッ・・・・・・オオオオオオオオオォォォッッ‼>
あらゆる生き物の急所である首に深手を負いながらも・・・レイバロンの放つ殺気はなおも衰えない。
カノンの肢に踏み付けられていない右前方の腕をかろうじて持ち上げると、カノンの左前肢に鋭い爪を突き立てた。
<・・・ッッ‼ ルアアアッ・・・グルルルルッッ‼>
先程の加速の影響で、カノンの血の流れも早くなっていたんだろう・・・深く突き刺さった爪が衝撃で抜けると、迸った鮮血がレイバロンの爪を真っ赤に染めた。
「カノン・・・ッッ‼」
激痛に耐えながらも、彼女は首に噛みつく力を緩めようとはしなかった・・・が、あと一歩、レイバロンの抵抗がそれを上回る。
がむしゃらに体を揺すると、カノンの束縛を逃れて、一足飛びに距離を取った。
<バオォ・・・オオオォッ・・・オオオオオォッ・・・・・・>
<ルアアァ・・・グルルッ・・・・・・ルルァァアアッ・・・・・・>
再び睨み合う両者は・・・互いに息も浅く、限界が近いのがこちらにも伝わってくる。
因縁の戦いの終わりが近い──そう確信した、直後───
<ッッ・・・⁉ ルアアアァ・・・ッ‼>
苦悶の声を上げながら・・・カノンは、右前肢から崩れ落ちてしまったのだ。
「そっ、そんな・・・‼」
レイバロンが苦し紛れに放った攻撃が・・・彼女の一番の武器である「肢」を、偶然にも奪ってしまったというのか・・・!
<・・・! バオオオオオオオオォォォッッ‼>
カノンの様子に気付いたレイバロンは・・・再び、獰猛な叫び声を上げる。
そして・・・咆哮のために大きく開いた口を、そのままカノンに向けると───再び、あの光線を撃つ発射体勢に入った。
<グルアアアアアアアアアァァァァァァッッッ‼>
<バオオオオオオオオオオオオォォォォッッッ‼>
あれだけいたガラムたちが、一匹残らず去ってしまった後──
再び、 二つの雷鳴がぶつかり合った。
剥き出しの闘争心が球体の壁越しにも伝わってきて、思わず肌が粟立つ。
「・・・・・・」
カノンには、もうあまり体力が残ってないはずだ。
それを踏まえた上で、相手の武器を封じつつ・・・カノンの強みを生かすには・・・・・・
「・・・カノン! 真っ直ぐ走って!」
<! ───グルアアアアアアアアアアッッ‼>
声をかけると、カノンは即座に駆け出す。
・・・本来は反骨心の塊みたいな彼女が・・・素直に僕の言葉を聞いてくれている。
それは僕への信頼ではなく、今、「守る」ために──レイバロンに勝つために必要だと、そう思ってくれているからだろう。
だからこそ僕は──彼女の期待に応えなければならない。
戦う事に関してプロフェッショナルという訳では全くないけれど・・・冷静に状況を見極めれば、彼女にヒントを伝える事くらいは出来るはずだ・・・!
<バオオオオオオオオォォォッッ‼>
正面から向かってくるカノンに対し、レイバロンは雄叫びを以て返す。
その場を動く様子がないという事は・・・再び水色のバリアで弾き返すつもりのようだ。
両者が交叉するまで、あと僅か──そこで、ベストなタイミングが訪れる。
「カノン! 今だッ! 右に逸れてッ‼」
<? ・・・ルアアアアアァァァ!>
充分にスピードが乗った状態で、軌道を少しだけ変更する。
このまま進めば、レイバロンの横を通り過ぎてしまうコースだが───
<ッ‼ オオオオオォォッ!>
レイバロンは、慌てて頭を左方向に振った。
やっぱり・・・! どうして今までこんな当たり前の事に気付けなかったんだ・・・!
「そのま後ろ側に回り込むんだ!」
相手の左についたカノンは、次は反対側に体を傾ける。
レイバロンは頭と一緒に体を大きく動かしてカノンの動きについていこうとするが──とても間に合っていない。
『成程ね。左眼に傷があるから、当然左側は死角・・・ってわけか。見落としてたよ~』
「うん・・・正直、僕も気付いたのはついさっきだよ・・・」
冷静に考えれば、誰でも判る事だけど──そう思わせなかったのは、レイバロン自身の立ち振る舞いにも理由があるんだろう。
今思えば、カノンを睨む時も常に顔の右側の面を向けるようにしていたし・・・逆に、左眼を掻く仕草をした時の方が不自然だったくらいだ。
あの怪獣はカノンに執着していて、彼女をいたぶるために全力を注いでいるけど・・・
皮肉にもその深い復讐心が、感じさせなかった弱点に気付かせる綻びを生んだんだ。
<ルアアアアアアアアアァァァッッ‼>
カノンは、相手が自分の動きに付いてこれない事を察して、再び軌道を変えた。
大きく弧を描きながら、レイバロンの横腹目掛けて突っ込んでいく。
<オオォォォォ・・・‼ バオオオオオォォォォォッッ‼>
カノンの速度についていけず・・・敵を精確に補足出来ないレイバロンは、苦し紛れに尻尾を振ってカノンを迎撃しようと試みる。
奇しくも、タイミングはどんぴしゃ──バリアの出力は向こうの方が上だ・・・・・・が、しかし──!
<グルアアアアアアアアアアアアアアッッッ‼>
既にカノンは、充分な助走を付けていた。
トップスピードでの突進による衝撃は、せめぎ合った相手のバリアを瞬時に弾き飛ばし、レイバロンの体はスライドするように左へ飛ばされた。
「よし・・・っ!」
<ルアアアアアアァァァッ‼>
更に、カノンはここぞとばかりに追い打ちをかける。
首をグン!と勢いよく右へ振ると・・・反動を付けて大きく振り戻して、巨大な角の腹でレイバロンの横腹を薙ぎ払った。
<バオオオォォォオッッ⁉>
紫の巨体は、喀血を伴って吹っ飛ばされる。滑走した地面から、大量の砂塵が舞った。
<オ・・・オオオオォォォォ・・・ッ!>
手痛い一撃を食らって、立ち上がったレイバロンの瞳には更なる鋭さが宿る。
対するカノンは、突然周囲を見渡して・・・
何かに気づいたのか、レイバロンの元には向かわず、自分たちを取り囲むように聳える岩棚へと駆け出した。
「! もしかして・・・!」
そして、先程自分が崩した岩山を伝い、再び段上へ乗り上げると──そのまま、壁に沿うように走り始めた。
ちょうど、コロッセオの観客席の内周をぐるりと駆けているような感じだ。
きっと、助走を長く取る事で、さっきより速度を上げて突進するつもりなんだ・・・!
<バオオオオオオオオォォォッッ‼>
レイバロンも、その事には気付いたんだろう。
咆哮と共に背中の装甲を水色に光らせると・・・発した稲妻は四本の腕を伝導い、黒く長い爪へと集約されて──
やがて、眩く光る「水色の光球」を形作った。
「なっ、なんだアレ・・・⁉」
『・・・あの怪獣、能力の使い方に関してはカノンの比じゃないくらい熟知してるね』
シルフィが眉を顰めたのと同時に、レイバロンは体を大きく起こす。
そして、既に岩棚の奥の方へ差し掛かっていたカノンへ向け、光球を掲げると───
そこから、バチバチッ‼と炸裂音を立てて、幾筋もの稲妻が走った。
「カノン! 危ないッ!」
先程の光線ほど威力はなさそうだけど・・・カノンの足を止めるには充分だろう。
ジグザグと不規則に折れ曲がっては戻る軌道が、四本の肢に迫る。
<グルアアアアアアァァァァッッ!>
・・・しかし、カノンは一向に止まる気配を見せず──むしろ、グンと加速する。
そして、岩棚にいくつもの稲妻が到達して、水色の光が弾けた時・・・・・・
彼女は既に、その全てを抜き去っていた。
「・・・ッ! 凄い・・・・・・」
カノンは内周の折り返しを過ぎて──こちらへ戻ってくるコースに乗った。
加速を続けるスピードは・・・もはや、先程の比ではない。
<バオオオオオオオオォォォッッ‼>
全長100メートルの巨体が、自分に向かって真っ直ぐに突っ込んで来る・・・それがどのような結果を生むかを悟って、レイバロンは光球から続け様に稲妻を発射する。
だけど、カノンの中には既に「止まる」という選択肢はないようだ。
迫る稲妻を、時にはバリアで弾き返し、時には角に受けながら・・・なおも、走る。
<オオオオオオオォォォッッ‼>
焦ったレイバロンは、遂には手元の光球を丸ごとカノンに向かって放った───
<ッ! グルアアアアアアアアアアアァァッッ‼>
が、しかし・・・それが命取りだった。
カノンは光球が放たれるや否や、地面を力強く蹴って跳躍──光球の軌道の上を通って──勢いそのまま、レイバロンに飛びかかった。
<グルアアアアアアアアァァァァァァッッッ‼>
<バオオオオオオオオオォォォォォォッッッ‼>
空中にいるカノンと、地上でそれを待ち構えるレイバロンとの間で、水色のバリアが激しくぶつかり合い、周囲へ凄まじいエネルギーを放つ。
漏れ出た稲妻によって、辺り一帯の岩石が弾け飛び、次々にその形を変えていく。
そして・・・この極限の鍔迫り合いを制したのは────
<グルアアアアアアアアアッッ‼>
十二分の速度と位置エネルギーとを味方につけた、カノンの方だった。
バリアが弾けるのと同時に、上体を起こしていたレイバロンの体にカノンが取り付き、相手を仰向けに張り倒す。
<ルアアアアアアァァァッ!>
すかさず──カノンは、容赦なくレイバロンの首元に噛み付いた。
鋭い牙が紫色の皮膚を突き破り・・・大きな血管を傷つけたのか、大量の血が噴き出る。
<ゴボォ・・・ッ‼ バオッ・・・オオォォオッ‼>
・・・巨大ながらも知性のある存在で、おまけに互いが超常の力を備えていても・・・これはあくまで、自然界を生きる動物同士の命を賭けた戦いなのだと──
その事実をまざまざと見せつけられた気がして、思わず息を呑んだ。
<バオオッ・・・・・・オオオオオオオオオォォォッッ‼>
あらゆる生き物の急所である首に深手を負いながらも・・・レイバロンの放つ殺気はなおも衰えない。
カノンの肢に踏み付けられていない右前方の腕をかろうじて持ち上げると、カノンの左前肢に鋭い爪を突き立てた。
<・・・ッッ‼ ルアアアッ・・・グルルルルッッ‼>
先程の加速の影響で、カノンの血の流れも早くなっていたんだろう・・・深く突き刺さった爪が衝撃で抜けると、迸った鮮血がレイバロンの爪を真っ赤に染めた。
「カノン・・・ッッ‼」
激痛に耐えながらも、彼女は首に噛みつく力を緩めようとはしなかった・・・が、あと一歩、レイバロンの抵抗がそれを上回る。
がむしゃらに体を揺すると、カノンの束縛を逃れて、一足飛びに距離を取った。
<バオォ・・・オオオォッ・・・オオオオオォッ・・・・・・>
<ルアアァ・・・グルルッ・・・・・・ルルァァアアッ・・・・・・>
再び睨み合う両者は・・・互いに息も浅く、限界が近いのがこちらにも伝わってくる。
因縁の戦いの終わりが近い──そう確信した、直後───
<ッッ・・・⁉ ルアアアァ・・・ッ‼>
苦悶の声を上げながら・・・カノンは、右前肢から崩れ落ちてしまったのだ。
「そっ、そんな・・・‼」
レイバロンが苦し紛れに放った攻撃が・・・彼女の一番の武器である「肢」を、偶然にも奪ってしまったというのか・・・!
<・・・! バオオオオオオオオォォォッッ‼>
カノンの様子に気付いたレイバロンは・・・再び、獰猛な叫び声を上げる。
そして・・・咆哮のために大きく開いた口を、そのままカノンに向けると───再び、あの光線を撃つ発射体勢に入った。
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