なんでもいい Part 2

榊 海獺(さかき らっこ)

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打ち上げ花火、下から見るか

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 最近ふと気付いたのだが、夏の風物詩である花火をしばらくやっていない気がする。手持ち花火のことだね。パチパチと音を立てて、色んな色に燃えるあれだ。
 子どもの頃は家の前の路地に水を張ったバケツと火を灯した蝋燭を置いて、そこで花火をやっていた。よくミュージックビデオとかであるような、手に持って円を描いたり、振ってみたりということはせず、ただひたすらに地面に向かって吹き出す花火を「綺麗!」なんて言いながら見ていた。
 ちょっと大きくなってからは、近所にある地面が砂利の公園や河川敷で花火をやったりもした。映画やドラマのワンシーンにありそうな、青春の1ページのような光景だった。

 花火をやらなくなった要因として1番に挙げられるのが、環境の変化なような気がする。公園はもう殆どが花火禁止。河川敷や浜辺なんかももう出来ないんじゃないだろうか。家の前なんて言語道断だ。
 そう考えると、花火という文化の存続が危ういような気がしてきた。花火が出来る場所がほとんどなくなっている。都心部なんかは限りなく0に近いんじゃないだろうか。
 まぁただ禁止にするという気持ちが分からない訳でもない。火事にでもなったら危ないし。地面が砂利の公園は火事の心配はないように思えるが、対環境ではなく対人の事故の危険を考慮してなのだろうか。知らんけど。

 また一つこの国の文化が風前の灯になりつつある。あとは打ち上げ花火がどこまで残るか。
 最近はなんでもかんでも騒音にしたがる。伝統文化であるお祭りにもクレームを入れ、警官が出動する始末。(神輿担いでる声がうるさいんだって。信じられないよね。笑) まぁ個人的に打ち上げ花火をやって騒音クレームになるのは仕方ないとして、打ち上げ花火を沢山打ち上げる花火大会が怖い。いつ騒音認定されるか戦々恐々とする時代がすぐそこまで来ているような気がする。

 あと怖いのは、何でもデジタル化したがる世の中である。花火もプロジェクションマッピングになったらどうしよう。VRゴーグル等で家で楽しむ物になったらどうしよう。ということ。スマホ操作で360度回転して観れるなんてのもありえるかもしれない。
 そうなってくると、もう打ち上げ花火が丸いのか、平べったいのかなんて考えることもなくなるのか。なんだか凄く寂しい気がする。便利さばかりに囚われて、つまらない時代になってしまうなよ。

 今年の夏がどんな夏になるのか僕には想像出来ないけれど、夜空を背景に咲き乱れる花火を見上げられればそれでいいかな。



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