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「次はどこいこうか。」
「達也誕生日だし、何か欲しいものとか食べたいものとか、行きたい場所ないの?」
「俺は智子がいればそれでいいの。」
達也のこういうところが好きだったりする。困る時もあるけれど。今だってノーアイデアだし。
結局、表参道の街を歩きながら気になったお店に入るという、モヤモヤさま~ず方式を採用した。さすがは土曜日の表参道。行き交う人の群れが波のようだった。車道も沢山の車が通り過ぎていく。
信号に引っ掛かり信号待ちをしていたら、私達のすぐ横に白いアウディが止まった。
「千夏。結婚指輪どんなのがいい?」
「うーん。あんまり飾りっ気の多いのよりは、シンプルなのがいいかも。」
そんな会話が聞こえてきた。いかにもセレブって感じだ。信号が変わるや否や、飛ぶように走り去って行った。私達とは住む世界が違う。さすがは表参道。
そんなことを考えていたら、今度はサラリーマンとすれ違った。土曜日だというのに働き者だ。
「おい。秋野。次のアポイントは取れてるのか?」
「はい。四時から渋谷のH&Kでミーティングです。」
「そうか。お前も成長してきたじゃないか。」
「ありがとうございます。」
この街にもしっかりと地に足をつけて頑張ってる人達もいるんだと少し安心した。
私達はそのまま歩いて渋谷を目指すことにした。恥ずかしながら、手を繋いでキャットストリートを歩いていく。久々に来た渋谷の街は、もう私の知っている渋谷ではなかった。それもそうか。高校生以来なのだ、変わっていても無理はない。ショーウィンドウに映る自分の姿をなんとなく眺めてみる。私も大人になったのだとしみじみしてしまった。前回はお母さんの制服姿だったし。
ガードを潜ってタワーレコードの横を歩いていく。最近話題のアーティストの曲が大音量で流れていた。
「あれ。達也この曲なんだっけ。」
「Official髭男dismの『Pretender』だね。」
「ああ。そうか。今年は紅白とかでちゃうのかな。」
「ここまでヒットしてれば間違いないでしょう。」
「そうだよね。」
渋谷の駅に着いたところで、達也が思い付いたかのように指差した。
「パフェ食べない?」
「パフェ?」
「そう。俺の誕生日プレゼントに。」
「パフェでいいの?」
「うん。智子も好きでしょ?」
「好きだけどさ。本当にそれでいいの?」
「いいの。いいの。」
駅前にある渋谷西村フルーツパーラー道玄坂店に入り、2階に上がり席に着く。
「フルーツパフェにする。」
「早いね。もう決めたの? てか、決めてたの?」
「そうそう。この前Instagramで見て気になってたんだ。」
「女子か!」
「好きな作家さんのエッセイに出てきたクリームソーダも惹かれたんだけど、今日はフルーツパフェにする。」
「相変わらずの甘党だよね。」
「あはは。そうだね。あ。智子大丈夫?」
「勿論。せっかくだから私もフルーツいっぱい乗ってるのにしようかな。」
「いいね。いいね。」
それから私達は、向かい合って同じパフェを頬張った。いつまでもこんな二人で居れたらいいな。
〈あとがき〉
本作品を最後まで読んでいただきありがとうございます。本作の投稿を始めた段階からお付き合いくださった皆様。不定期投稿というのをいいことに、気付いたら長期且つ毎回ゲリラ投稿になってしまったことをお許しください。
さて、本作についてですが、本作は元々発表していたショートショート作品「Sugarless」から始まる作品集。作品集とのことで、作品毎に違った世界観を持たせつつ、その中で共通項を持たせて書いていきました。
本作のテーマは”どんなに一貫性のある人間でも、時の経過と共に変化する。”ということ。私自身、三十二年生きてきて変わったところが多々あります。大きな変化もあれば、小さな変化も。きっと皆さんもあるはずです。何かしら変化したこと。私は今後もきっと変わりながら生きていくことでしょう。変わりゆく街並みと共に。
少し話が逸れましたね。元に戻します。本作を最初から最後まで読まれた方は、なんとなくお気付きかもしれませんが、一度読んだ後も楽しめるような仕組みを施しています。お時間の許す限りお楽しみいただけたら幸いです。(若干時系列に甘いところがありますが、お許しください。)
最後までお付き合い頂きありがとうございました。今後とも引き続きご支援の程宜しくお願いします。
榊 海獺(さかき らっこ)
『Assort』
作:榊 海獺(さかき らっこ)
〈Profile〉
榊 海獺(さかき らっこ)
一九九○年生まれ、東京都出身。
会社員、作家志望、エッセイスト。
二○二一年よりアルファポリス内でエッセイ『なんでもいい』投稿中。『さよならPretender』『Assort-アソート-』
「達也誕生日だし、何か欲しいものとか食べたいものとか、行きたい場所ないの?」
「俺は智子がいればそれでいいの。」
達也のこういうところが好きだったりする。困る時もあるけれど。今だってノーアイデアだし。
結局、表参道の街を歩きながら気になったお店に入るという、モヤモヤさま~ず方式を採用した。さすがは土曜日の表参道。行き交う人の群れが波のようだった。車道も沢山の車が通り過ぎていく。
信号に引っ掛かり信号待ちをしていたら、私達のすぐ横に白いアウディが止まった。
「千夏。結婚指輪どんなのがいい?」
「うーん。あんまり飾りっ気の多いのよりは、シンプルなのがいいかも。」
そんな会話が聞こえてきた。いかにもセレブって感じだ。信号が変わるや否や、飛ぶように走り去って行った。私達とは住む世界が違う。さすがは表参道。
そんなことを考えていたら、今度はサラリーマンとすれ違った。土曜日だというのに働き者だ。
「おい。秋野。次のアポイントは取れてるのか?」
「はい。四時から渋谷のH&Kでミーティングです。」
「そうか。お前も成長してきたじゃないか。」
「ありがとうございます。」
この街にもしっかりと地に足をつけて頑張ってる人達もいるんだと少し安心した。
私達はそのまま歩いて渋谷を目指すことにした。恥ずかしながら、手を繋いでキャットストリートを歩いていく。久々に来た渋谷の街は、もう私の知っている渋谷ではなかった。それもそうか。高校生以来なのだ、変わっていても無理はない。ショーウィンドウに映る自分の姿をなんとなく眺めてみる。私も大人になったのだとしみじみしてしまった。前回はお母さんの制服姿だったし。
ガードを潜ってタワーレコードの横を歩いていく。最近話題のアーティストの曲が大音量で流れていた。
「あれ。達也この曲なんだっけ。」
「Official髭男dismの『Pretender』だね。」
「ああ。そうか。今年は紅白とかでちゃうのかな。」
「ここまでヒットしてれば間違いないでしょう。」
「そうだよね。」
渋谷の駅に着いたところで、達也が思い付いたかのように指差した。
「パフェ食べない?」
「パフェ?」
「そう。俺の誕生日プレゼントに。」
「パフェでいいの?」
「うん。智子も好きでしょ?」
「好きだけどさ。本当にそれでいいの?」
「いいの。いいの。」
駅前にある渋谷西村フルーツパーラー道玄坂店に入り、2階に上がり席に着く。
「フルーツパフェにする。」
「早いね。もう決めたの? てか、決めてたの?」
「そうそう。この前Instagramで見て気になってたんだ。」
「女子か!」
「好きな作家さんのエッセイに出てきたクリームソーダも惹かれたんだけど、今日はフルーツパフェにする。」
「相変わらずの甘党だよね。」
「あはは。そうだね。あ。智子大丈夫?」
「勿論。せっかくだから私もフルーツいっぱい乗ってるのにしようかな。」
「いいね。いいね。」
それから私達は、向かい合って同じパフェを頬張った。いつまでもこんな二人で居れたらいいな。
〈あとがき〉
本作品を最後まで読んでいただきありがとうございます。本作の投稿を始めた段階からお付き合いくださった皆様。不定期投稿というのをいいことに、気付いたら長期且つ毎回ゲリラ投稿になってしまったことをお許しください。
さて、本作についてですが、本作は元々発表していたショートショート作品「Sugarless」から始まる作品集。作品集とのことで、作品毎に違った世界観を持たせつつ、その中で共通項を持たせて書いていきました。
本作のテーマは”どんなに一貫性のある人間でも、時の経過と共に変化する。”ということ。私自身、三十二年生きてきて変わったところが多々あります。大きな変化もあれば、小さな変化も。きっと皆さんもあるはずです。何かしら変化したこと。私は今後もきっと変わりながら生きていくことでしょう。変わりゆく街並みと共に。
少し話が逸れましたね。元に戻します。本作を最初から最後まで読まれた方は、なんとなくお気付きかもしれませんが、一度読んだ後も楽しめるような仕組みを施しています。お時間の許す限りお楽しみいただけたら幸いです。(若干時系列に甘いところがありますが、お許しください。)
最後までお付き合い頂きありがとうございました。今後とも引き続きご支援の程宜しくお願いします。
榊 海獺(さかき らっこ)
『Assort』
作:榊 海獺(さかき らっこ)
〈Profile〉
榊 海獺(さかき らっこ)
一九九○年生まれ、東京都出身。
会社員、作家志望、エッセイスト。
二○二一年よりアルファポリス内でエッセイ『なんでもいい』投稿中。『さよならPretender』『Assort-アソート-』
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